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仮面ライダーの認知度は低いのかもしれない

「仮面ライダーは知っていますか?」という問いに対しては『知ってる』と答える人がたくさんいるでしょう。日本なら9割超え。

しかし質問を「"最近の"仮面ライダーは知ってますか?」にするとどうでしょうか。
「最近観てないね」「子どもの頃だけだったわ」になるのではないでしょうか?


昭和から平成、令和に至るまで子どもたちのヒーローとして活躍してきた仮面ライダーたち。

本郷猛役を演じられた藤岡弘、さんのエピソードトークだったり、今をときめく人気俳優が初めて出演したのがライダーだったり、と仮面ライダーは我々の心に深く根付いています。

クリスマスが近づけばキャラデコケーキのCMが流れ、初夏にはテレ朝系列の番組に『今放送中の仮面ライダーシリーズから主演の方が!』とゲストで出たりしてるので、子供から大人まで仮面ライダーに触れず育つというのは難しいでしょう。

現在放送中の『仮面ライダーガヴ』も初回から話題を呼び、作中に登場するキャラクターのオモチャが売り切れて買いにくいなんてことも。マジでゴチゾウどこに売ってます?

(お菓子の力で変身! 仮面ライダーガヴ! https://www.toei.co.jp/entertainment/news/detail/1243323_3483.htmlより引用)

しかし、先日そのガヴについて話してるとこんなことがありました

僕「お菓子の仮面ライダーでね……」
友人「最近の仮面ライダーってお菓子で変身するの!?」
僕「まぁ、鎧武とかあったし、フルーツもお菓子
も子どもに馴染みあるし」
友人「フルーツ!?」
僕「フルーツの鎧を着たライダーなんだけど……(画像を見せる)」

(オレンジとバナナ。https://www.kamen-rider-official.com/zukan/kamen_rider_members/210より)

友人「知らない! なにそれ! すっご!」

……もしかして。「ショッカーが現れてライダーがキックで倒す」「イケメン俳優の登竜門」というパブリックイメージの仮面ライダーはみんな知っているものの。

お菓子やフルーツで変身したり、二頭身だったり、DAIGOさんがウルトラマンだけじゃなくて仮面ライダーにもなったりする、という最近のライダーを知らないのでは??、と思うんです。

お菓子で変身であんなに驚くなんて、と。確かに珍しくはあるけどまだフルーツゲーム小説などで変身するライダーの中では納得感がある方ですし。
お弁当箱で変身だったら流石にビビるが。

つまり
「仮面ライダーは知ってる」
けれど
「"最近の"仮面ライダーは知らない」
となっているのでは。

つまり。最近の仮面ライダーに対する認知度は低い、というわけです(ここで表題に至ります)

(マジスカスクエアガーデンさんリスペクト)

『最近の仮面ライダー』ってどんな感じなの、というのを紹介していこうと思います。
最近の仮面ライダー』ってこんな感じなんだ、とみなさんに思ってもらって、あわよくば放送中のライダー(と戦隊)を観て欲しい。

そしてゴチゾウを僕に分けてください。本当にない。

※記事中、『最近』が指す時期や意味が大きく変動します。申し訳ありません。筆者である私にとって電王以降に『最近』のイメージが強いためです。電王は2007年。おそらく最近ではない。

(スナックバス江・タツ兄)

最近のライダーその①『デザインがすごい』

仮面ライダーといえばバッタ、もしくは昆虫、アマゾンなどちょっと奇抜だと動物をモチーフとしてる……というデザインのイメージを持っている人も多いのでは。バッタのマスクに赤いマフラー、これこそまさにライダーだと。

平成1作目のクウガ(2000年)と続くアギト(2001年)は1号〜BLACKの流れを汲むデザインであり、だからこそ昆虫要素がなく複眼がかろうじて見える龍騎(2002年)が物議を醸したと聞きます。

(仮面ライダー龍騎。https://www.kamen-rider-official.com/zukan/kamen_rider_members/181より)

確かにクウガ→アギト→龍騎、の流れだと奇抜すぎるかもしれません。

しかし今の20〜30代の人は龍騎リアタイ世代だと思うので、初めて見た仮面ライダーが龍騎ならそこまで違和感はないかもしれませんね。

ところで2018年のライダーを見てくれ、こいつをどう思う?

(2018年の仮面ライダー、ジオウ。https://www.tv-asahi.co.jp/zi-o/rider/zi-o/より)


すごく……『ライダー』です……

https://www.kamen-rider-official.com/zukan/kamen_rider_members/210より

これは平成仮面ライダー20作目の仮面ライダージオウ(2018年)。
仮面ライダーのデザインは年々奇抜になっていっていますが、ジオウは顔にライダーって書いてあるから奇抜だろうと何だろうとライダーだ、と言わんばかりのデザイン。
奇抜すぎるだろ。

仮面ライダーはシナリオや世界観が毎年ガラッと変わり、デザインも前年と大きく変更されます。その結果として「こんなの仮面ライダーじゃない」と毎年言われたりします

そして「動くとカッコいいじゃん」までがワンセンテンスだ。よろしいか?

ジオウは「こんなの仮面ライダーじゃない」と言われる前に「私は仮面ライダーです」と主張していると言えましょう。
アイサツ前にアンブッシュしてるみたいだな。

しかしこの2年前にはもっと奇抜なデザインのライダーがいた──仮面ライダーエグゼイド(2016年)である。

(https://www.kamen-rider-official.com/zukan/forms/80より)

お……おい!! 最近のライダーのデザインは奇抜って言っても限度あるだろ!?!?

2016年のライダー、仮面ライダーエグゼイド。アメトーークの仮面ライダー芸人にて初登場したこの二頭身SDビジュアルにみんなのけぞってました。

流石に毎年新しいライダーを流し込まれてきたと言っても、あまりにもなエグゼイドのデザインに慣れ始めた特撮オタクがみんなビビってました。昆虫要素以前の問題。

でもこの二頭身もまさに仮面ライダーの多様性を表すようなもの。エグゼイドはこの二頭身が基本形態ではなく、ここからスタイリッシュな姿にレベルアップします。ぜひ本編を見てほしい。

仮面ライダーの新しいビジュアルが発表されるたびに、毎年特撮ファンは「このモチーフをこう落とし込んだか!」とデザインから読み解いたりします。
エグゼイド、ジオウが引き上げた『デザインの天井』があるからこそ、最近のライダーのかっこよさとユニークさを兼ね備えたデザインを素直に楽しめる心の余裕がある気がします。

その②『ベルトで変身……だけじゃない!』

最近……といっても10年以上前から(タツ兄)、ライダーはベルトだけで変身するわけではなくなりました。

ポーズを取って仮面ライダーに変身!!……に、もうワンプロセス挟み込まれたのです。

それが「ベルトにアイテムをセット!」という行程。

(最新作仮面ライダーガヴでの変身シーケンス。https://toy.bandai.co.jp/series/rider/item/detail/14041/より)

ベルトにアイテムをセット! ベルトのギミックを起動! 変身ポーズをとって……変身!!

これが最近のライダーの変身シーケンスです。

最新作の仮面ライダーガヴ(2024年)では、お菓子を模したアイテムをベルトにセットすることで変身します。
お菓子を模しているため、グミ、ポテチ、チョコ、キャンディ、クッキー、ショートケーキなどたくさんのアイテムが存在してます。

それら一つ一つに専用の音声があり、ベルトにセットすることで『どんな力を持ったライダーになるか』という変身遊びを楽しめます。

クウガの頃からライジング→アメイジング→アルティメットなどありましたが(もっと遡ればストロンガーのチャージアップも?)、このフォームチェンジにアイテムを使うようになっているのが最近の特徴かもしれません。

たくさんのアイテムを使い分け、様々なフォームチェンジをしていくのが最近の仮面ライダーのメインムーヴだと言えるでしょう。

ベルトや武器だけでなく変身用の小物アイテムを収集する楽しみがある。それが最近の仮面ライダー。最初に描いたように、変身用のアイテムが人気すぎて手に入らない……なんてことも。

『メダル争奪戦』と名付けられたほどアイテムの人気が出て、購入したくても売り切れてて買えないという状況が起こったオーズ(2010年)などは知ってる人もいるのでは。

(メダルに秘められた動物の力で変身する仮面ライダーオーズ。https://www.kamen-rider-official.com/zukan/kamen_rider_members/136より引用)

中には『アイテム全コンプ』を目指しプレバン限定のアイテムや前売り券限定のアイテムも揃える人たちがいます。すごい。

そしてこのアイテムに関連してさらに『最近のライダー』の特徴と言えるものがあり……


最近のライダーその③『音がすごい』

下記をご覧ください。

ドライバーオン! プリーズ……
シャバドゥビタッチ!
ヘ〜ンシ〜ン
🎵
シャバドゥビタッチ!
ヘ〜ンシ〜ン
🎵
シャバドゥビタッチ!
ヘ〜ンシ〜ン
🎵
「変身!」
フレーイム!
プリーズ……
ヒ〜! ヒ〜! ヒ〜ヒ〜ヒ〜!!

(https://www.kamen-rider-official.com/zukan/kamen_rider_members/302より)

「さあ……ショータイムだ!」

……どうです?
うるせぇでしょう。

これは仮面ライダーウィザード(2012年)が基本形態のフレイムスタイルに変身する時の音声です。変身するたびに流れます。省略もされます。

変身用のアイテムにはそれぞれ音声が用意されてるのは前述の通りですが、その音声が最近はめちゃくちゃうるさくなっています。
仮面ライダーオーズ(2010年)からこの『変身音声を盛りだくさんに!』の流れがあり、変身音声は年々長くなり、今ではラップを歌ったり小説の内容を吟遊詩人めいて朗読したりします。

変身中に。変身中よ?

「なら敵は変身中に攻撃すれば良くない?」と思われるでしょうが、変身の際に現れるエフェクトが敵の攻撃を弾くので大丈夫です。(これは自体は2004年のブレイドからあった)

(戦隊レッド 異世界で冒険者になる(作:中吉虎吉)の12話より引用。)

変身音声の盛り盛りはライダーだけではなく、最近の戦隊モノでも同じように言えます。
戦隊シリーズをパロディした『戦隊レッド 異世界で冒険者になる』でもそこが取り上げられていました。アニメ化おめでとうございます!!


今ではシュイシュイシュイシュイーン! とかじゃないんですよ。『𝑨𝒋𝒖𝒎𝒑 𝒕𝒐 𝒕𝒉𝒆 𝒔𝒌𝒚 𝒕𝒖𝒓𝒏𝒔 𝒕𝒐 𝒂 𝒓𝒊𝒅𝒆𝒓𝒌𝒊𝒄𝒌.』ってベルトから流れるんです。
その影響か、歴代ライダーがアベンジャーズめいて集合する映画(通称春)で平成1期のライダーと平成2期以降のライダーが同時に変身すると、音圧の差が激しく出てしまうレベル。

しかしこの変身音声も楽しみの一つ。システマチックに機械音声が流れる『テクノロジーによる変身』を軸にした音声。
対して、魔法の詠唱、ラップ、朗読など『ファンタジックだったりオカルティックな力を使った変身』が音声からわかるなど。

変身音声からその仮面ライダーがどういう雰囲気なのか、どんな力を持っているのかが分かったりもします。

特撮ファンはベルトにアイテムをセットし変身音声を流してはウットリする夜を送っています。


最近のライダーその④『スーツアクター』

BLACKといえば岡本次郎さん、クウガは富永研司さん。
そして平成仮面ライダーのスーツアクターといえば高岩成二さん。2号が永徳さんかな。サブで伊藤慎さん、渡辺淳さん、女型を多く演じられてる藤田慧さん……などの方々をライダーのスーツアクターとして認識されてる人も多いと思います。

ですが、令和では1号ライダーを担当されていません。平成最後のライダーであるジオウから令和最初のライダーであるゼロワンに移る際にバトンタッチされました。

令和になってからは1号ライダーは昭和のように持ち回り制となっており、

縄田雄哉さん(仮面ライダーゼロワン)

浅井宏輔さん(仮面ライダーセイバー)

縄田雄哉さん&永徳さん(仮面ライダーリバイ、仮面ライダーバイス)

中田裕士さん(仮面ライダーギーツ)

永徳さん(仮面ライダーガッチャード)

縄田雄哉さん(仮面ライダーガヴ)

といった感じ。なんか1号って色気のある演技をされる方が多いように感じます。個人的に。

個人的な感想として、平成で多くの2号を演じられてきた永徳さんが令和で1号ライダーを担当されてるのがすごい嬉しくあります。
スーツアクター運動会で高岩さんから「1号になったからって油断してるとすぐに抜かれちゃいますよ」ってコメントされてるところで涙ぐんでしまったのは俺なんだよね。


令和ライダーは作品ごとにライダーが多い多人数性を採用されてる作品が多いため、『誰がどのライダーを担当されているか』に注目されていくのもいいかもしれません。

高岩成二さんも1号を担当しなくなったとは言え、ライダーから離れたわけではありません。ゼロワンでは仮面ライダー滅(敵側のライダー)を演じられたり、パラダイスリゲインでファイズを演じられたりもされています。
高岩ファイズは本当に嬉しかった。

また直近の夏映画「劇場版仮面ライダーガッチャード ザ・フューチャーデイブレイク」にて、富永さんがオリジナルキャストとしてクウガの中に入られてます。

それ以外にも、渡辺淳さんや藤田慧がアクション監督として戦隊・ライダーの両方で活躍されたり……などなど、新しいアクターさんとこれまでのアクターさんの両方が幅広く活躍されてるのが『最近の仮面ライダー』と言えるでしょう。

鍛治さん、さんの活躍がすげぇ楽しみなんですよね個人的に……。


最近の仮面ライダー⑤『ライダーは一年で終わらない』

仮面ライダーシリーズは平成以降、1年ごと世界観や設定をがらりと変えていくのが25年前からの決まり事……ですが、電王(2007年)以降、特にディケイド(2009年)からはあまり『一年』の縛りがなくなったりしています。

仮面ライダーW(2009年)以降のライダーは映画Vシネマ配信限定ドラマ小説舞台などで一年番組の枠を超えて作品が展開しています。

基本的な流れは

9月 番組開始

12月 冬の映画(先輩ライダーと)

7月 夏の映画

8月 番組終了

12月 冬の映画(後輩ライダーと)

2〜3月 Vシネマ

といった感じ。この合間に配信限定のエピソードや、てれびくん(児童向け雑誌)限定DVD、後輩作品へのレジェンド客演、小説などなど。

一年が経ち番組の枠が終わった後もライダーのお話が続いていきます。

語るべきは冬休みに合わせて公開される冬映画。
これは8月に終了したライダーと9月に開始したライダーのクロスオーバーが描かれる映画であり、1年間番組を続けてきたライダーの先輩としての面と、これから1年を走っていく後輩ライダーの魅力を見せる味わい溢れる映画となってます。

そして子供向けの描写ではやりにくいことをやるVシネマ、映像媒体の縛りをなくした小説などなど……仮面ライダーは一本の番組には収まらないほどの広がりを持つようになったと言えるでしょう。

特に仮面ライダーW(2009年)は15年経っている現在でも展開が続いており、本編のアフターストーリーとして『風都探偵』というコミカライズ作品が生まれたりしました。

(風都探偵1巻(脚本・三条陸/作画・佐藤まさき/原作・石ノ森章太郎/監修・塚田英明/クリーチャーデザイン・寺田克也)より引用)(敬称略)

この『風都探偵』、アニメ化や舞台化、劇場版とさらに大きくなっています。
何年経っても仮面ライダーWの世界が続いているのはファンとしてとても嬉しいです。

劇場版『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』は絶賛公開中! ここから仮面ライダーWの世界に入るのもありってくらいです。一見の価値あり。
この宣伝だけはしたかった。

(https://www.kamen-rider-official.com/news_articles/2600より引用)

最後に。

大きく5つのことをまとめさせていただきましたが、まだまだ「最近の仮面ライダー」の特徴はあります。

ライドカメンズという仮面ライダーを元にしたアプリゲームがあったり
シン仮面ライダーアマゾンズBLACK SUNなど大人のファン向けの作品があったり
いろんな作品のライダーが集結するアウトサイダーズがあったり。
語ると来年の9月までやれるレベルになってしまうんです。

「あの話はどうなんだ!」
「あれ抜けてるぞ」
「ぬるい解説しやがって……」
という特撮ファンの方がいるならば申し訳ありません。

最近の仮面ライダーは多岐にわたっており、触れて広がっていく世界を追っていくのもとても楽しいです。

みなさんも最近の仮面ライダー、観てみませんか?

ほんっとうにオススメですから……仮面ライダーは面白いんですよ。2000年からシリーズが途切れることなく続いてるだけの魅力があります。
好きな俳優さん、声優さんから入るのもオススメと言えるでしょう。

仮面ライダーシリーズ、ぜひ!!

それでは。

【おしまい】


仮面ライダーが好きすぎてクウガのポーズで写真撮影をした私。

Twitterやってます、よろしければぜひ
https://twitter.com/deka_kintama

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