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総合内科流 一歩上を行くための内科病棟診療の極意(完結)

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▼森川暢 市立奈良病院▼ 内科病棟を見回すと、高齢者ばかりというのが今の日本の現状だと思います。高齢者診療では、内科医として、ただガイドライン通りに治療するというだけでは、立ちい…
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記事一覧

最終回 ケアの移行

総合内科流 一歩上を行くための内科病棟診療の極意 著:森川暢(市立奈良病院) 最終回 ケアの移行 ---------- ---------- 症例(病棟の極意・実践前)心不全で入院した83歳男性。心エコーで弁口面積が0.4cm2、左室駆出率(EF)42%と低下しており、重度の大動脈弁狭窄症によるHFrEFと診断されていたが、手術希望はなく利尿薬で経過観察になっていた。しかし1年で3回以上、心不全による入退院を繰り返していた。心房細動も合併し頻脈となっていた。 今回、フ

第18回 高齢者への対応 CGAプロブレムリスト

総合内科流 一歩上を行くための内科病棟診療の極意 著:森川暢(市立奈良病院) 第18回 高齢者への対応 CGAプロブレムリスト ---------- ---------- 症例(病棟の極意・実践前)82歳男性、糖尿病が既往歴にある。今回、心房細動による心不全で入院した。心不全は利尿薬で改善したため退院とした。しかし、退院後に自宅で転倒し、慢性硬膜下血腫を認め、再度入院となった。 ---------- 【極意】① CGAとは?そもそもCGAとは何でしょうか? CGA

第17回 一歩進んだリハビリオーダー

総合内科流 一歩上を行くための内科病棟診療の極意 著:森川暢(市立奈良病院) 第17回 一歩進んだリハビリオーダー ---------- リハビリオーダーを漫然としていないでしょうか? 実は、リハビリオーダーをICF(国際生活機能分類)に基づいて行うだけで、リハビリオーダーの質が明確に向上します。リハビリセラピストと恊働するためにも、ICFについて勉強しましょう。 ---------- 症例(病棟の極意・実践前)82歳女性。変形性膝関節症と認知症があるが独居で、徐々に

第16回 BPSプロブレムリスト

総合内科流 一歩上を行くための内科病棟診療の極意 著:森川暢(市立奈良病院) 第16回 BPSプロブレムリスト ---------- 皆さんはプロブレムリストをどのように記載されているでしょうか? 生物学的問題だけを記載するというプロブレムリストが一般的ですが、ゴール設定や多職種連携をするためには、心理・社会的要因も把握し介入することが不可欠になります。そのために、必要なBPSプロブレムリストを解説します。 ---------- ■症例(病棟の極意・実践前) 80歳の

第15回 超高齢化社会における感染症のTips

総合内科流 一歩上を行くための内科病棟診療の極意 著:森川暢(市立奈良病院) 第15回 超高齢化社会における感染症のTips ---------- 抗菌薬、感染症診療において、特に高齢者では教科書通りにいかないケースもあります。超高齢化時代の感染症診療について考えていきたいと思います。 ---------- ■症例(病棟の極意・実践前)89歳の女性が、尿路感染症で入院した。全身状態は良好だったが、施設からの入院であり、神経因性膀胱も認めたため、複雑性尿路感染症として尿

第14回 DVT予防について

総合内科流 一歩上を行くための内科病棟診療の極意 著:森川暢(市立奈良病院) 第14回 DVT予防について ---------- 整形外科術後の深部静脈血栓症(DVT)予防は認知されつつありますが、内科病棟ではDVT予防の認知度はまだ低いのではないでしょうか。原則として、全ての内科急性期病棟に入院した患者さんにおいて、DVT予防について考える必要があります。今回は、内科病棟に入院した初日にDVT予防を行うべきかを考えたいと思います。 ---------- 症例(病棟の

第13回 せん妄

総合内科流 一歩上を行くための内科病棟診療の極意(13) 森川暢 市立奈良病院 第13回 せん妄 ---------- せん妄は、高齢者の入院患者を担当していれば、本当に頻繁に出会う病態です。実際に70歳以上の急性期入院患者の3分の1で、せん妄が発症するとされています[1]。さらに、せん妄は、おそらく過少診断となっています。不眠や不穏と扱われ、仮にせん妄と診断されたとしても、とりあえずハロペリドールで興奮だけ抑えて身体抑制するという戦略がまかり通っています。 せん妄は、

第12回 検査フォローの考え方

総合内科流 一歩上を行くための内科病棟診療の極意(12) 森川暢 市立奈良病院 第12回 検査フォローの考え方 ---------- 病棟での検査フォローをどのように考えれば良いでしょうか。基本的には、ルーチンで行うべき項目や検査について自分なりの型を作ることが重要です。そして、基本的な検査から得られた結果を適切にアセスメントして行動に繋げることが、病棟での安全な診療に繋がります。最もよく行う検査の血液検査を中心に、病棟で行う検査フォローについて考えていきます。 ---

第11回 薬剤オーダーの考え方

総合内科流 一歩上を行くための内科病棟診療の極意(11) 森川暢 市立奈良病院 第11回 薬剤オーダーの考え方 ---------- 持参薬をそのままDo処方していませんか?確かに、「持参薬継続」と指示簿に書けば済むので、楽です。しかし、本当にそれで良いのでしょうか? 若年者はそれでも良いです。しかし、「ポリファーマシー」「ポリドクター」が問題になり、さらに長期間入院することが予想される高齢者では、薬剤の適切な把握と調整は、明らかにアウトカムに影響を与えます。 今回は

第10回 一歩進んだ輸液の考え方

総合内科流 一歩上を行くための内科病棟診療の極意(10) 森川暢 市立奈良病院 第10回 一歩進んだ輸液の考え方 ---------- 輸液は漫然と行うべきではありません。そもそも何のために輸液を行うのでしょうか? 輸液の目的は以下の2つに分類されます。 1)血管内volumeを速やかに補正し、血圧を維持し、末梢臓器血流を保つこと これは最もシンプルな目的だと思いますし、わかりやすいです。 救急外来や急変時の輸液は、原則として「細胞外液」のみで良いです。なお筆者は、

第9回 一歩進んだ入院指示

総合内科流 一歩上を行くための内科病棟診療の極意(9) 森川暢 市立奈良病院 第9回 一歩進んだ入院指示 ---------- 指示簿は入院時セットでオーダーして終わりになってはいませんか?入院時セットは確かに有効ですが、特に高齢者では潜在的に有害な指示がセットになっていることもあります。 また、指示簿は一度入れて終わりではなく、常に吟味する必要があります。看護師にとって医師指示は基本的に絶対的なものであり、医師が思っているよりも絶大な影響力があります。改めて医師指示に

第8回 タイムマネジメント

総合内科流 一歩上を行くための内科病棟診療の極意(8) 森川暢 市立奈良病院 第8回 タイムマネジメント ---------- 今回は、症例を使わずに解説していきましょう。少し視点を変えて、病棟でのタイムマネジメントについて考えていきます。タイムマネジメントの原則として、緊急度と重要度に分けて仕事を整理することから始めます。今回は、図1に沿って、4つの段階に分けて解説をしていきます。 図1.タイムマネジメントの4つの段階(文献[1]より引用改変) ----------

第7回 入院時や入院前から退院後のことを考える

総合内科流 一歩上を行くための内科病棟診療の極意(7) 森川暢 市立奈良病院 第7回 入院時や入院前から退院後のことを考える ---------- 現在の超高齢化社会における急性期病院の役割として、急性期内科疾患を治癒させるだけでは不十分と言えるでしょう。外来、訪問診療、病棟をシームレスに繋げるような配慮が必要です。 筆者の尊敬する病院家庭医である大浦誠先生が、ブログで“日本版Extensivist”という概念を提唱されています[1]。急性期だけではなく、急性期が落ち着

第6回 マネジメントを意識した入院時サマリーの書き方

総合内科流 一歩上を行くための内科病棟診療の極意(6) 森川暢 市立奈良病院 第6回 マネジメントを意識した入院時サマリーの書き方 ---------- 多忙な内科医が入院時サマリーに割ける時間は、それほど多くはないと思います。しかし、入院後のマネジメントに繋げるためにも、要点を押さえて入院時サマリーに書くことは重要です。 ---------- ■ 症例(病棟の極意・実践前)78歳男性が、傾眠傾向と肺炎で入院した。肝障害の既往歴があった。状態が悪そうなので内服薬は全て