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陰陽道閑話~【番外編】 安倍晴明 (2)

 長らくお待たせいたしました。引き続き、番外編として安倍晴明に注目していきます。前回までは陰陽寮での学生時代から陰陽師になった所までのお話でした。今回は言わば「現役時代」と呼ばれる時期・・・陰陽師を経て天文博士となった晴明の活動を見ながら、いろいろと考えていきたいと思います。

【天文得業生から陰陽師へ】

 安倍晴明は応和元年(961)に陰陽師となりました。これは前年の天徳四年(960)の内裏大火災で焼損した霊剣の再鋳造の際に行われた祭儀に補助役である「祭郎」として従事した功績によるものだと思われます。これで実質的に陰陽寮の成員となったといっても過言ではないでしょう。

 ところで、晴明は学生時代「天文得業生」として天文を学ぶエリート学生でした。このコースに乗っていれば、余程の事がない限り、最終的には「天文博士」のポストが回って来る事になるのですが、当然ながら即座にやって来る事はほとんどありません。ましてや、技能機関ですから「技能」の習得がしっかり出来ていないと困る訳です。そこで陰陽寮は、漏刻以外の三部門(天文・暦・陰陽)で学生期間を終えた者に実地経験を積ませるため、彼らを一旦「陰陽師」にして現場を体験させ、その後に然るべき役職に昇進させる・・・という方式をとっていました。

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