陰陽道閑話~【番外編】 安倍晴明 (3)
お待たせいたしました。ようやく続きとなります。なんだか妙に色々と用事があって、気が付けば5月も中旬になりました。陰陽道閑話の番外編として安倍晴明を特集して書き綴っております。今日はその3回目。40代で歴史の表舞台に登場した晴明の後半生、具体的にいえば天文博士に再任された頃の話からスタートしていきます。
その前にひとつ訂正。前回の「安倍晴明(2)」の中で、晴明が陰陽師に昇進したのは霊剣鋳造の際に「祭郎」を務めたからだ・・・と書いてしまいましたが、正確には「奉礼」でした。「祭郎」は味部好相でした。失礼いたしました。
さて。先程「今回は天文博士に再任された頃から」と書きましたが、さっそく特徴的な話題があるので紹介しておきたいと思います。
【晴明、仕事をサボる?】
藤原実資の日記『小右記』永延二年(九八八)八月七日の事。この時、熒惑星(けいごくせい/けいわくせい。火星のこと)が、軒轅女主(けんえんじょしゅ。しし座α)を犯す、という天変が起きました。熒惑星は火星、つまり火をもたらす星として、災いを招く星とされています。天文道(陰陽寮の天文部門)としては、とにかく熒惑星は警戒しなければならない星でした。
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