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「きのぴーはなぜ表現するの?」と問われ、涙がこぼれた - グループ展「忘れてただけ」振り返り

「ずっと気になってたんだけど、きのぴーは何か表現したいものがあるの?あまりそれを感じなくて、きのぴーの動機(なぜ動いているのか)がまだ掴みきれてない感じがあって」

2023年5月6,7日、代官山で3人のグループ展「忘れてただけ」を開催した1週間後、振り返りの場でわかさんに「きのぴーはなぜ表現するの?」と問われた時、なぜか涙がこぼれた。


1. グループ展「忘れてただけ」とは

▼ギャラリーのWebページ
Takahiro Hashino Tomomi Waka Satoshi Kinoshita 主催 グループ展「忘れてただけ」|UPSTAIRS GALLERY

【展示のコンセプト】
あの頃無我夢中に遊んだ記憶は、どこに置いてきてしまったんだろう。

新しいことを覚えるたびに、大切なものを忘れていく。
そこに在るのかないのか、記憶は曖昧で。

遊び心をこころみて、オールを漕ぐ。
その先にあるのは、忘れてただけの景色だった。

色なのか、光なのか、音なのか、形なのか。
作品に触れたときにふと、ほのかに香りがして、
あなたの記憶がじんわりと浮かんでくるかもしれない。

【開催内容】
コーチングを通して出会った3人が、日々感じたもの、インスピレーションが湧いたものをフリースタイルで制作し、展示します。Takahiro Hashinoが写真と言葉の展示、Tomomi Wakaが絵画の展示、Satoshi Kinoshitaが絵画・インスタレーションの展示とキーボード演奏を行います。

3人の作品がどのように混ざり合うのか、主催の私たちも分かりませんが、あなたがどこかに忘れていた大切な記憶と出会える時間になればと思っています。

▼グループ展での人生初ライブ



2. グループ展が生まれるまで

2022年12月30日、地元大阪の鶴見緑地で、ZaPASSのコーチ仲間はっしーさんにプロフィール写真を撮ってもらった。

私は昔から、写真を撮られることに苦手意識(どう振る舞ったら良いかわからない)があって、後回しにしてきたので、1つのチャレンジだった。

写真を撮ってもらいながら、曇り空の下、お互いの近況を話した。フリーランスの仕事のこと、お互い引っ越しを考えていること、そして表現について。

私は、「2022年に初めて個展をやってみて、来年は何人かで展示や表現をしてみたい」という想いを話した。はっしーさんは、写真だけでなく、やりたいと思っている文章の表現について話してくれた。

私はストレングスファインダーで着想が1番目、MBTIはINFPということもあって、常にいろんなアイデアが湧き出る中で過ごしている。

この日も、お互いの想いを分かち合う中で、一緒に表現するイメージが湧いてきて、気づいたら「一緒にやりませんか?」と提案していた。

直観で「いい!」と思ったら、現実的な側面を脇に置いて、動き出してしまうのが私。


それから数日後、以前からいい味の絵を描くなぁと思っていた、同じくZaPASSのコーチ仲間であるわかさんをお誘いした。私の周りに表現する人は何人かいたけれど、特に「この人の作品は、今もっと知られるべきだ」と思うのがわかさんだった。

もはや何を話したか覚えていないが、一緒にやる方向で合意形成した。

当時のメモ

それから「あ」というLINEグループをつくり、オンラインで10回打ち合わせを重ねた。

「あ」というのはふざけているわけではなく、不用意に意味を生み出したくなかったからそうした。たとえば「展示」というグループにしてしまうと、意図せず「私たちは展示をやる集団なんだ」という意識が強まってしまう。

それはさておき、打ち合わせでは色んな話をした。

各々が表現および展示をやる理由、これまでつくってきた作品、展示と言ってもどこでどれくらいの期間やるものなのか、そして今ある気持ちをただただ分かち合う時間。

そんな中で1度だけ、3人の気持ちがシンクロするタイミングがあった。

普段はそれぞれの周期で周っている3つの惑星が、ある日だけ1つの直線上で重なるような感覚だった。



3. グループ展をやってみて

「ずっと気になってたんだけど、きのぴーは何か表現したいものがあるの?あまりそれを感じなくて、きのぴーの動機(なぜ動いているのか)がまだ掴みきれてない感じがあって」

2023年5月6,7日、代官山で3人のグループ展「忘れてただけ」を開催した1週間後、振り返りの場でわかさんに「きのぴーはなぜ表現するの?」と問われた時、なぜか涙がこぼれた。

「うーん…」という言葉を挟みながら、2分間沈黙し、私は話し始めた。

「もしあの場が、2人の作品しかないか、僕の作品しかないかだったら、絶対前者を選んでいて、僕の作品・表現がまったくないとしても、けっこう満足していた気がしていて、動機はそっちの方が強い。

けど、表現したい・している自分で存在していたい。「その(表現者という)ラベルにしがみつきたい」ってのもあったと思っていて、演奏以外はぶっちゃけ「サブ」というか、2人の作品に比べたら、のせてる想いは本当に軽いし、(メインは)演奏だけって感じで、演奏も2人が今回展示する意味に比べたら薄いというか、この機会がなくても進んでいけると思ってる。

今は良い環境にいるし、応援してくれる人がいるし、正直(自力でも)進めてしまう分、今回このタイミングで絶対に自分が表現を人に見せないといけない理由はなくて、だから「やらなくていい」ってわけではなく、やってよかったんですけど、絶対にやる意味は・・・自分の表現にはなかったかもしれない」

大切にしたいけど、素直に肯定し切れない本音がそこにあった。

表現者で在りたい。

でも今回は、それ以上に2人が目一杯表現できる場をつくりたかった。

心から「目一杯表現したかったし、それができたよ」と言えたら、どれだけ晴々とした気持ちだったろうか。どちらも大切で、でも両方を100%大切に扱うことはできない有限さを身体がひしひしと感じ、スムーズに話すことができなかった。

調子よく話出せない、うーんと堪えながら、苦しそうに話す私を見て、わかさんは「こういう意図で聞いたよ」と補足してくれた。

わかさんからすると、そんな苦しませるような問いをぶつけたかったわけじゃないんだろうけど、私の中で何かがうごめいていた。



4. 今後、表現とどう関わるか

基本は、自分の中にあるエネルギーに耳を傾け、それに従ってやるのみ。ジョジョを練習し続けたら本展で初演奏の機会が訪れたように、Vision、目標、計画は後からついてくる。

(1)音楽

次は、ベートーヴェンのソナタ「クロイツェル」第一楽章を練習する。

この曲は、シェアハウスのドイツから来たピアニストとカナダから来たバイオリニストのハタチコンビが練習していたのを聴いて、知った。一度、練習風景を数十cmの距離で見させてもらい、ずっと心に残っていた。

迫力ある部分と静かな部分の緩急、そしてリズムがとても美しく、何千回でも繰り返し聴いて、弾いていられる曲だと感じている。

いまの私はこの曲を練習し始めると、疲れていても心が躍り、「楽しい」では済まない命の輝きが止まらなくなる。

また、そのようなタイミングが訪れたら、ボーカルやギターなど仲間をつくって、セッションしてみたい気持ちもある。


(2)アート

今はあまり制作意欲がない。やれば楽しいと思うが、仕事やピアノなど他に優先したいことがあり、「まさに今、絶対やることだ」とは思わない。

しかし、0か100かで考える必要はない。「近々シェアハウスで絵を描いて、ごはんを食べる会をやろうかなぁ」「いろんな人に、意外と手軽なアクリル絵の具に触れってもらって、誰か表現に目覚めないかな」などと考えたりはしている。

実際、展示の2週間後、シェアハウスで絵(ドローイング)のワークショップをやった。

なにかビビッときた人は、一緒にやろう!



5. 出展作品

Day128- キーボード演奏(アニメ『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』より『Jolyne Theme』)(2022年9月-2023年5月)
私が愛してやまないジョジョの主人公の1人 空条徐倫のテーマソング。この曲が流れると、徐倫は窮地に立たされていても、オラオラと叫びながら敵を殴り倒していく。そんな姿に何度も勇気をもらった。

原曲はこれで、以下の動画を見て練習した。楽譜はまったく読めない。

恣 / Hoshimama - アクリル 2023年1月

紅 - アクリル(2023年5月7日)
展示初日に描いた1枚。最初は壁に飾ろうと思ったが、キーボードの前に呼び寄せられ、飾られた。私には、2つのものに見えた。

業火 - アクリル 2023年1月

幸せ - ビニールテープ / 花(2023年5月)
なんの想いも込めず『幸せ』と名付けた本作は、開場から1時間も経たない内に地面へと叩きつけられた。

ドローイング集 - オイルパステル(2022-2023年)
ドローイングは、その時の自分を映し出す鏡である。

いつでも - アクリル / 花(2023年4月)
生の象徴たる花に、静のアクリルを被せていく。

輪 - アクリル(2023年5月)

二 - アクリル(2023年5月)
全然気に入らなかった作品だが、何人も「特にこれがいい」と言ってくださった。「なんだか納得がいかないなぁ」という想いで上塗りした気持ちが、伝わってしまったんだろうか。

劉 - アクリル(2023年5月)
劉には「殺す」という意味がある。西洋の騎士の兜のような鬼気を放つ。

散 - アクリル(2023年5月)

藤- アクリル(2023年5月)

吊 - アクリル(2023年5月)

巨 - アクリル(2023年5月)

忘れてただけ - アクリル(2023年5月)
展示の直前、シェアハウスのリビングから見えた景色。

花瓶 - アクリル 2023年1月

菜 - アクリル 2023年1月

味わい - 短歌(2016年8月)



6. 写真

(1) 開場以前

本のしおり
当初はチラシやステッカー等のグッズをつくりたかったけど、あまりしっくりこず、そんな時に「本のしおり良くない?」という話に。本にずっと挟んだままにして、「忘れてただけ」の文字を見て、私たちのことを思い出してほしい。

アクリル画
ひっついてもすぐ剥がれるので、アクリルはすき。

アクリルと花を用いた制作

▼前日準備(in 私のシェアハウス)
なにか作業してる、わかさんとはっしーさん

作品に貼れパネ(のりパネ)を貼る、わかさんとはっしーさん

展示前夜に焼いたカヌレ
極めて忙しい中、何をやっているのか自分でもわからなかったけど、お菓子づくり欲は収まらなかった。


(2) 当日

当日朝の設営
大変だった。

会場の代官山の風景
初日は晴れ、2日目は雨ときどき大雨だった。

外から見た様子
ほんとこんな雰囲気。

「紅」をつくる私
制作の様子ってあまり撮ってもらう機会がないので、こんな感じなのかぁと思った。

演奏前に話す私
7回も演奏させてもらえて、1回1回がいい時間だった。

絵の前で謎ポージングする私
ポージング、もうちょっと上手くなりたい。

突発的に始まった来場者たちの対話
いろんな友人たちが交わる瞬間が、私はすきだ。

キーボードの前から見えた景色
1つの感情では言い表せないような、見たことのない景色だった。

集合写真
はっしーさんがフォトグラファーということもあり、意外と3人の写真を撮れてなかったので、とりあえず撮った1枚。

Day1 打ち上げ
適当に入った韓国料理屋が大当たりだった。

ペタペタするはっしーさん
当たり前だけど、こういうのも自分たちで用意しなきゃなんだよね。

はっしーさんのスマホで謎の自撮り
ジョジョの主人公 空条徐倫を意識して、黄緑のカラコンを入れていた。

ジョジョ立ちを練習する私
会場に誰もいない時は、割とおふざけしてた。先生がいない教室みたい。

耳にたくさん穴をあけた(気分)
ピアスは怖いので、一生開けないと思う。

撮るはっしーさん
フォトグラファーの眼。

わかさんと、なんかいい写真
誰か油絵にしてほしい。


ニッコニコで腕を組んできたわかさん
ニッコニコしてる。


(3) 終了後

搬出完了!
めっちゃ疲れたけど、3人共やり切った顔してる。

終了直後、会場1Fのベンチにて
ライブ終わりのバンドマン風(実際疲れてるけど)。

恵比寿駅で解散した時の写真
わかさんはカメラに気づいてなかったそう。ナチュラルでこの表情は天才。

駅で歩くはっしーさん

振り返り会
なんだか卒業式みたいだった。

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