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編集者という仕事【11/18-24】

突然ですが、note177本目を記念して(ウソ)「今週のkinologue」からタイトルをつける仕様に変更。基本的に自分のための備忘録なので、いつ書いたかすぐわかるように、、、自分で書いたものを必死で探すとか、ホント無駄だと気づいた次第です〜

和洋折衷なファサードと格子が青空に映えて美しい日本近代文学館

今週は冬晴れの日に、銀杏並木に観光客が溢れる本郷から駒場へ移動。といっても、キャンパスではなく駒場公園へ。旧前田侯爵邸は閉まっていたが、前の秋バラが見頃。春のバラより、花が少ないときに咲く秋のバラは愛おしい。今回のお目当ては日本近代文学館。駒場公園には何度も来ているというのに、ここに入るのは初めて。終わりが近い展示『編集者、かく戦へり』のために来た。その前に喫茶BUNDANにて腹ごしらえ。思ったより狭くて満席につき、しばらく待ってから、林芙美子ゆかりの牛めしをいただく。コーヒーは芥川をチョイス。デザートまでガッツリ食べている人が多く、お会計時にコーヒー豆を買う率の高さに驚く。レトロ図書室な雰囲気で撮りたくなる人続出だろうけど、厳しく撮影禁止とあり、ホントに嫌なんだと思う。

左上の坂本一亀は坂本龍一の父。そっくりじゃん。

入館料300円を払うと1枚100円で売っているポストカードを観覧記念として頂く。ここの運営は大丈夫だろうか、と余計な心配をしつつも嬉しい。編集者に焦点をあてた展示は珍しい。自分も配給者という「裏方」だからこそ、光が当たる作家との間に必ずドラマがあることは察しがつく。そして、そんな裏方の仕事が好きだし興味がある。展示は編集者と作家が交わした書簡が中心。原稿依頼から催促、叱咤激励、作家からの締切延期依頼、原稿を受け取ってからの厳しい修正依頼、修正したくないという抵抗と駆け引き(美しい字で修正を拒む宮尾登美子!)、そして原稿が形になってからの深い感謝、合わせての原稿料前借り依頼など、ドラマチックなこと、この上なく、面白すぎる。速達のやりとりが多く、確実に切羽詰まっている(たまには持参もあったらしい)。ベテラン編集者が若い作家を育て、若い編集者がベテラン作家に鍛えられていたのだろう。中上健次の『岬』をめぐるやりとりなんて、ヒリヒリ泣けてくる。展示のカタログを買って帰ったが、編集者についての本も読んでみようかと。話題の藤野千夜のデビュー作『編集ども集まれ』も必読か?
学生時代、出版社でアルバイトしていたので、編集者は憧れの職業だった。狭き門なのもわかっていたが、バイト先では「こんな斜陽な業界に来ちゃいけない!」と止められた(結局、新卒で映画業界に入って斜陽まっしぐらなのが今も続いているけど)。それでも一度だけ、ちょうど30歳くらいのころ、編集者にならないか誘われたことがあった。憧れていただけにものすごく迷って、ある仲良しの編集者のおじさんに相談したところ、「編集者ってとにかく待つ仕事だよ。待てる?」と一言。ナルホド、確かにその通り。友人の編集者たちとも「待ち時間」によく会っていた。待てない!と判断しただけではないが、結局、編集者になることはなかった。
あれから随分と時間が経った今、私には担当編集者がいる。まさか、そんなことになるとはねー。雑誌連載の編集者なので、展示のような書籍編集者とはきっと関係性が違うのだろうけど、いつも彼女に原稿を送ると「お原稿をありがとうございました」と返事がある。この「お原稿」という言葉を展示の書簡の中に発見してほくそ笑んだ。ヘナチョコ連載でも、いっぱしの著者と編集者みたいじゃん!と嬉しくなった。どんな時も励ましてくれて、「読者の反響ありますよー!」と慰めてくれる、ありがたい存在。とりあえず私が出来ることは締切に間に合わせることで、この1年なんとか死守してきた。

そんなに天気が良いわけではなかったのに、大島が見えた

週末の部活帰りに、冬の海。波がなくて穏やかな海に、不穏な冬空の雲のコントラストが好きなんだよなぁ。富士山にも雪が積もったし、ようやく良い季節になってきた♪
そういえば、今週の非常勤で初めて映画が好きな学生がいることが判明。毎年1人、2人はいたのに、今年度は人数が多い割にコンサバな感じだからいないんだなぁと思っていたら、授業後に声をかけてくれた。ちょっとモチベーションがアップ。次回はこの時期恒例の『東京物語』だから、ダメなコはホントにダメだろうけど、気にしなーいと割り切る。いつかわかるさ〜




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