見出し画像

今週のkinologue【2/24-3/2】

いつものように、2月はあっという間に終わる。最終週は自分メンテナンスと3月の用意に費やした。といっても確定申告までは手が届かず、その前でバタバタ。そんな中で驚いたのは突然の朝日新聞・天声人語(2/25)。

この執筆者は編み物好きなのだろう。男性だったら面白いけど、女性でしょうね

1年ちょっと前に配給権が切れた『YARN 人生を彩る糸』。なんで今?なタイミングで出て、「どうやったら見られますか?」の問い合わせにも答えられない不甲斐なさ。映画は流行りよりちょっと前じゃないとカッコ悪いと思うが、公開から7年ちょっと経った今が編み物ブームと言われると、笑うしかない。今だったら、新たにこの映画に出会ってくれる人がいるのだろうか。

明日はいよいよオスカー授賞式。去年は「婦人之友」で取り上げた『オッペンハイマー』が期待通りに作品賞を獲ったが、今年は同じく取り上げた『ANORA アノーラ』が獲ったらすごい。書いた時よりずっと本命に近づいていて、もはや意外ではないところまで来ている。前の会社の後輩が両方とも宣プロをやっていて、受賞したらこれも快挙でしょ。作品賞は獲れなくてもショーン・ベイカーが監督賞を獲れたら嬉しい。主演男優賞争いで急に追い上げを見せている『名もなき者』や長尺の『ブルータリスト』を授賞式前に観たかったが、叶わず。しかし主演女優賞本命デミ・ムーアの『サブスタンス』は試写を観に行けた。もうちょっと内容を調べてから行けばよかった、、、これはさすがに書けない。最後の方はほぼコメディなホラーだし、長く感じた。しかし10数年ぶりに再会した人がいて、行った甲斐はあったか。

いちごみたいに見える柿。彼女は渋柿の形が気に入っていたのだろう

気持ち悪くなったところの口直しに超絶効果的だったのが、ステーションギャラリーの『宮脇綾子の芸術』。閉幕まで2週間ちょっとだし、日美でやったばかりだったからか、おばさまを中心に激混み。しかしささっと全体を見てから、閉館間近にじっくり見直す作戦で堪能できた。宮脇綾子のことは今回初めて知ったが、彼女の作品をアプリケという昭和の手芸としてしか捉えないのは確かにもったいない、非常にイマドキでサステナブルなアートだった。これも用の美、民藝に通じるアートの形。とにかく「モデル」を見る。様々な角度から観察してスケッチする。表現する布を選ぶ。「モデルと布とわたしの気持ちがひとつになる」時を求め続けるそう。こうやってモノと対峙していった90年の人生は、さぞかし飽きることなく楽しいものだったろう。その朗らかさの反面、魚や柿の形に切った布を6万個だったか載せた蒐集帳は狂気的でもある。署名でもあり驚きの表現でもあった「あ」の配置に、絶妙なバランスを感じた。何事もバランスの良い人なのだろうなぁ。文字も美しかったが、文章も上手い。長い文を読んでみたくなった。

これがチューリップだとわかる人、どれくらいいるかな

3週間経ったチューリップは、ますます工藝的な美しさが炸裂。形の変化に日々目が離せない。外では梅の花吹雪が舞い、白木蓮の蕾が膨らんできた。週末が暖かかったから春がぐっと進んだけど、明日から極寒で小休止か。

いいなと思ったら応援しよう!