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2020年コロナ禍後半①(8-10月)を振り返る。

コロナ禍において、7月まではとまどいながらもそれなりに勢いがあったのは、思い返すとそこまでコロナの影響を受けていなかったからだったかもしれない。しかし、8月になって予定していた仕事が飛んで初めて、その影響を実感した。宣伝受託をしていた2月公開予定映画の本国公開が延期になり、そのまま日本も公開が無期延期となったのだ。これから少しずつ外出も増えて、ほぼオンラインだった仕事もハイブリッドになっていくだろうと用意をしていた矢先だった。1本の映画がずっと頭に住みつき、どんなことをこの映画で伝えたいか、何が出来るかを考え続けて宣伝企画書をまとめ、プレゼンしたところでの一旦終了。先ずは、その映画を頭から引き剥がし、切り替えることに苦労した。宣伝という仕事は厄介だ。

もちろん、その間も色んなことはやっていた。Help!のオンライントークイベントを8月は3週連続開催。

無理ない形で、8/29に小さく開催した鎌倉でのクリーニングデイ。

7月の終わりと9月初めに開催した、はじまり商店街さんとのオンラインWORKSHOP。

オンラインでもリアルでもやり続けたこれらのイベント(オンラインでなかったらこんなにやれなかったが)で、新たな人との出会いや考えに触れたり、久しぶりに同じ場所で集う楽しさを取り戻したり、この時期の精神状態を考えると有り難かった。2回のオンラインWORKSHOPは参加人数が少なかったものの、その分、濃いトークが展開されて心地よい場だった。リアルだと、そこにいるだけでも参加していることになるが、オンラインはなかなかそうはいかない。それをわかって参加してくれる人と一緒に場をつくっている実感がリアル以上にあったと思う。そうやって、はじまり商店街さんとの場は、いつもオンラインの可能性を感じさせてくれた。コロナ禍で得られたことのひとつだと思う。また来年もリアルも含め新たな可能性に一緒にチャレンジしていきたい。

空いた仕事時間を埋めたのは、『365日のシンプルライフ』DVDブックの制作。遂にひとり配給者だけでなく、ひとり出版者にもなった。その詳細については別のnoteで連載中。

それなりに忙しい日々だったが、9月になり、生活圏に閉じこもりきりの自粛生活に本当に疲れてきた。いつもだったら、9月はフィンランドに長期滞在をしている。年に一度、日常から遠く離れ、気心が知れた場があって会いたい人たちがいる特別なところで過ごす時間に、自分をリセットし、先に進むエネルギーをずっと貰っていた。あああ、とにかく遠くに行きたい!しかし、仕事でもないのに県外に行く度胸もなく、県内の温泉地で5日間滞在することとした。その間に、ヘルシンキで毎年参加している映画祭にオンライン参加。事前に資料と一緒に、サウナ用石鹸やらFazerのチョコレートやらサルミアッキやら、たくさんのフィンランド土産が送られてきた。これをインターナショナルのゲスト全員に送っているなんて、つくづくフィンランド人は狂ってるなぁと思うが、FROM HELSINKI WITH LOVEのシールが貼られたパッケージに嬉しさしかなく泣けた。来年は行けますように。。。

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配給者として、これからどうやって配給していくのか、先のことを考えていくmtgを重ねた。Help!でアンケートを取り、私たち独立系配給者が映画を届けているオーディエンスがどんな人たちなのか、実態を探ることにした。そんな中での10/6『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』公開。世界中の映画館が通常営業に戻れない中、興行収入歴代1位に最速でたどり着くような映画が現れたのは大きな衝撃だった。事前のアニメ配信、ハリウッド大作公開延期でのシネコンの穴埋めなど様々な要素が絡み合っての大ヒットだが、これで映画業界はもう大丈夫といった見方をされたことが恐ろしかった。この大ヒットは、私たちのような独立系配給者やミニシアターには全く関係がない。フランスのように興行収入の一部が業界全体に還元されるようなシステムがない日本では、上映をしている映画館(興行会社)・配給会社・製作会社にしか利益はまわらないからだ。

4月から始まったミニシアターエイドは1万人以上から3億円以上が集まったが、1本の映画で2,000万人以上の動員・300億円以上の興行収入という現実は、ミニシアターが自分たちのまわりから一歩外に出ると全く関心を集めていないということを突きつけた。
そんな中、6年前に公開した映画を振り返って原稿を書き続けている自分がシュールに思えてならなかった。が、今、自分がやるべきと思うことに手を動かす。それしかなかった。

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