配給者が怠ってきたこと。
昨日 #ミニシアターエイド のクラウドファンディングが立ち上がった。今の時点で3,600万超え。1億円を目指しているので、まだこれからだが、幸先はよいのではないだろうか。目標金額はミニシアター運営団体ひとつあたりに150万円、成功したらそれをなるべく早く渡せるようにしていくという。各劇場はそれぞれ支援を別途募っているので、ここは「思いっきり応援コース」を選び、ご贔屓の劇場には個別で支援が望ましい気がしている。
立ち上げにあわせ、「ミニシアター・エイド基金 × DOMMUNE キックオフイベント無観客記者会見」が生配信された。各劇場の状況は新聞やwebの記事で少しは知っていたものの、中継で劇場からの生の声を聞くと、切実さがより伝わってきた。登場したのは、お世話になっている劇場ばかり。名古屋のシネマスコーレは『365日のシンプルライフ』 の上映をローカルで一番最初に決めてくれた劇場。大阪のシネ・ヌーヴォでは何度も年末年始に上映して頂いた。結果が良い時も悪い時も、ミニシアターと中小の配給者は共に歩んでいく関係にある。劇場の方々がここ数週間の動きを語るなかで、「シニアのお客さんが全く来なくなって、運営が難しくなった」という発言が何回か聞かれた。そうなのだ。ローカルになればなるほど、ミニシアターはシニアに支えられている。1990年代に「ミニシアターに映画を観に行くことがカッコいい」とされたミニシアター文化を謳歌した世代は40-50代になっており、最も劇場に行く時間のない人たちである。そして「若い人が映画を観に行かなくなったから」というのは正しくない。シネコンは若年層で溢れている。2000年代に入ってからの20年、テレビ局資本の邦画の隆盛、洋画買付価格の高騰、単館ではなく数館同時のミニチェーンという劇場の個性を奪った興行形態、デジタル化による制作/配給本数の増加、など様々な要因が考えられるが、その間に老朽化したミニシアターは若年層へのアピール力が薄れ、変わらず劇場に来てくれるシニアを頼ってきた。シニアがずっと頼れる客層ではないことを知りながらも、それに合わせて配給者もシニア向け作品を探し続けてきた。つまり、ミニシアターを支える新たな観客を育てることを、配給者は怠ってきた。そのつけは大きい。コロナ禍でそれは浮き彫りとなった。
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