今週のkinologue【7/11-17】
ぼんやりと雨を眺める週末。梅雨明けしてから雨ばかりとはいったい??四季も崩れていっているし、「いつもはこうだった」と天候を語ることに意味がなくなっているのだろう。
今週からいろいろ新しい動きが出てきた。しかし権利元とのやり取りだけが千々として進まない。こういうときに限って、サーバーのゴミ箱に待っていたメールが溜まっていたりして青ざめる。「先週素材送ったよ」「トラッキングナンバー教えてください」のやりとりから、またパタリ。ヨーロッパの人々はバカンス・モードでもう頑張って働いてくれたりしないしなぁ、、、くー、シビレる。
先週から少しだけ精神的に落ち着いてきたので、仕事や研究に関係ない本を読んだり、ドラマを見たりする余裕が出てきた。『災害ユートピア』は図書館の「お気に入り資料」フォルダに入ったままでまだ読んでいないけど、レベッカ・ソルニットの『私のいない部屋』を一気に読んだ。女性というだけでずっと脅え、たたかっていなければならなかった彼女が「なにはともあれ、なるべきものになったわね」と言われたシーンにじーん。私もいつか「なるべきものになった」と誰かに言われたり、自分で思ったりするときが来るのだろうか。それはちょうど観たばかりだった『わたしは最悪。』の主人公ユリヤにも「そんなときが来るよ」と伝えたいと思った(ソルニットとは「マンスプレイニング」つながりでもあるのだけど)。というのも、ラスト近くのユリヤの顔が初の頃と全く変わっていて、彼女が受賞したのも納得。「なにかになれる」とか「ここは自分の場所じゃない」とか根拠なく思い込んでいた20代〜30代前半の心持ちにはただただノスタルジー。もうそんな日は来ない。笑。NHKで始まった杉咲花ちゃん主演のドラマ『プリズム』も通じるところがある気がしたけど、こちらは少し物足りなし。デンマーク人監督のヨアキム・トリアー作品を観たのは初めてで、てっきりデンマークが舞台なのかと思っていたら、私がここ数年一番行きたい街No.1のオスロで撮り続けていたとは。ずっと白夜の街、トラムが坂を上っていくさまも美しく、魅力的。ヘルシンキより静かそう。行きたい気持ちがますます募った。
4-6月クールは見ているドラマが少なかったが、朝ごはんどきの習慣として惰性で見ていて毎日怒りがおさまらない朝の連ドラ『ちむどんどん』 。ここまで脚本が酷い朝ドラは久しぶり。前作が100年分の伏線を回収する精緻な脚本だっただけにツラい。全く共感されない主人公も近年珍しい。毎朝放送中から #ちむどんどん反省会 #ちむどんどんしない のタグと怒号がSNSに飛び交っている。1回も見たことがない人が、この二つのタグを追っていくだけでドラマを見るより楽しんでいる。毎日増幅するタグの一人歩きは、もはやコンテンツを必要としない。毎日同じ時間に、半年という長期にわたって放送するという朝ドラのメディア特性ゆえの新たな楽しみ方か。とでも思わないと辛すぎる毎日。早く10月になってほしいな。まだ見ていないけど、今週から始まった坂元裕二脚本ドラマがきっと怒りを鎮めてくれると信じている。
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