ミュージアムロードを行く(その1) Day 23
北海道の、小樽あたりからニセコ一帯にかけてを後志地方と言います。
このあたりには、「しりべしミュージアムロード」という美術館や文学館を結んだコースがあります。正直、あんまり知られていないです。
でも、あるんです。
どのへんかというと、下の赤丸のあたり。
で、こんな風に4つの美術館と、文学館がひとつあります。
いわない高原ホテル
さて、今年の夏、ちょっくらこの辺の温泉に入ってくるべーと車で出かけました。その時の記事全体はこちら。ここで「最初に向かった」と書いたのが上記の地図左上に位置するいわない温泉です。ここに「いわない高原ホテル」というホテルがありまして、そちらに宿泊しました。
露天風呂もあり、ごはんの際にはお酒飲み放題もあって結構な宿でした。地ビールも作っているのよ。地ビールおいしかったよ。ワーホリで一週間くらい滞在したいです。ロビーの椅子にはイカちゃんがいました。
こんな素敵なホテルなのにあんまり知られてないというか、観光客の皆さんは岩内まで来ないのかな。確かに場所的にはマイナーですがお勧めです。ごはんもおいしかった。
朝ごはんは和食です。こちらも日本の朝!という感じ。
荒井記念美術館
そして何が最もお勧めかというと、ホテルと同じ敷地内に隣接して荒井記念美術館というミュージアムが建っていることです。
これが、「こんなところにこんな立派な美術館が!!」って驚くほどなんですよ。とにかく行って損はありません。見るものも多いです。
館内は「ピカソ」「生まれ出ずる悩み」「西村計雄」の3つのパートから成っています。
まず「ピカソ美術館」
この美術館全体は名前の通り、地元の荒井さんという方が私財を投じて作ったもので、ピカソのコレクションがあります。版画です。油絵はないのですけれど版画の膨大な量にはびっくりしました。
中は撮影していいかどうかわからなかったので写真はありません。でもね、1時間じゃあ足りないくらいありました。すごく初期のものから晩年まで200以上あり日本最大級だそうです。ここを見るために行くべきな美術館です。
「生まれ出ずる悩み美術館」はピカソとは別棟で、中で繋がっています。有島武郎「生まれ出ずる悩み」の主人公のモデルとなった木田金次郎の絵など、この小説ゆかりの絵画を中心に展示してあります。日本の画家がほとんどです。木田も岩内出身。後述する「木田金次郎美術館」に入ってない作品がこちらにあります。
「西村計雄美術館」は「生まれ出る悩み」の上階、この地域出身の洋画家西村の絵画を展示したもの。この人も別の場所に「西村計雄記念美術館」があって(後述します)、そちらに作品がまとまっていますが、それ以外の何点かがここにあります。
雪もたくさん降る地域なので冬は休館です。11月の初めくらいまではやっています。春は4月中旬くらいから。
木田金次郎美術館
岩内の市街地にあるのが木田金次郎美術館。海の近くにお洒落な建物が建っています。
今年はここには寄らなかったのですが、2017年にひとりでフラフラさまよった時の写真があるので貼りますね。その時はひとり旅だったんですが、もう身体がダメダメな時期で、自分どうなっちゃうんだろうと不安を抱えて(それでも一人で旅に出て車をぶっ飛ばして)放浪していました。3日だけ。
木田金次郎は1893年にここ岩内で生まれ、漁師をしながら油絵を描き続けました。有島武郎「生まれ出ずる悩み」のモデルとしても有名です。近隣の厳しい自然を描いた作品が多いです。
ずっと描き続けていたのですが、1954年に岩内で大火事があり、その時、持っていた作品がほとんど焼けてしまったのだそうです。今展示されているのはその大火事を免れた絵画。焼けてしまったものにはどんな絵が描かれていたのだろうと思いました。
西村計雄記念美術館
西村計雄は後志の中の共和町というところの出身です。岩内の東南側に広がっている町です。フランスと日本で活躍した洋画家で、画風はアブストラクトながら穏やかできらきらした心躍る感じ。あ、あくまで森野の感想ですけど。わたしこの人の絵がけっこう好きなんです。絵ハガキを何枚も買っています。
こちらは2023年9月に行きました。その時の画像が以下のもの。
お名前は「にしむら けいゆう」という表記が多いですが、どこかで「にしむら けいお」と書いてあるのを見ました。どちらが本当なのかよくわかりません。
続きはまた明日。