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ばあちゃんのことば①

実家のこと

私は秋田県の峰浜村というところで生まれました。現在は北側に隣接する八森町と市町村合併して八峰町となっています。青森県との県境、日本海に面した自然豊かな地域です。

八峰町にある実家には両親と祖母が住んでいます。祖父は私が25歳になる年にガンで亡くなりました。78歳だったと思います。

祖父母はとにかく私を愛してくれました。私は祖父母に育ててもらったと思っています。特に祖父は私を、よく言われるように目の中に入れても痛くないほどに愛してくれました。祖父については別の記事でご紹介したいと思っています。

秋田県内に大雪・暴風雪警報

2021年1月7日から8日にかけて、秋田県内で発達した低気圧に伴う大雪・暴風雪が起こり、それによって大規模停電が発生しました。八峰町も多くの地域で停電しているとのこと。気温はマイナス7度。

両親から私には特に連絡はありませんでしたが、9日になって電気が復旧していることを地元の友人に確認し、私からLINEで両親に確認すると2日ほど停電していたとのこと。暴風雪でカーポートが壊れ、車に傷がついたとのことでした。

私が聞きたかったのは祖母が大丈夫かということでしたが、両親からは祖母の話はなにも出てきませんでした。

早朝の電話

10日になり、いつも早起きの祖母ですから起きているだろうと思い、午前7時に実家に電話をしました。案の定、祖母は起きていて電話に出てくれました。

「雪、大丈夫?」

祖母は2日も停電していたこと、停電の間に高齢者施設のデイサービスがあってお風呂にも入れたし床暖房で暖かく過ごしたこと、家では豆ストーブにやかんで湯を沸かし、デイサービスで買ってきたトンカツとかを食べたことなどを教えてくれました。

「苦(く)しぇらったぁ」

新型コロナウイルス感染症の拡大で長らく実家に帰れていない私は、まだしばらく帰れないだろうなという話を祖母にしました。

「んだべなぁ、いづ収まらったがなぁ。」

※「そうだなぁ、いつ収まるんだろうなぁ」

祖母は生まれてからずっと峰浜、八峰町に住んでいます。生粋の秋田っ子の私も知らない秋田弁がたまに出てくる秋田弁のエキスパートです。

「おいだばおめどご苦しぇらったぁ」

※「私はあなたを心配しているんだ」

「なして?」

※「なんで?」

「毎日電車さ乗ってらべぇ、コロナさかがんねべがぁど思ってしゃあ」

※「毎日電車に乗ってるでしょ、コロナにかかるんじゃないかと思って」

心配

私は秋田の暴風雪と停電のニュースを聞いて、祖母が心配で実家に電話をしました。85歳になる祖母は相変わらず元気そうでホッと安心しました。

祖母は私の毎日の心配をしていました。毎日長時間の電車通勤をしている私が新型コロナウイルス感染症になるのではないかと。祖母は私が元気にしていることを聞いてホッとしたようです。

「苦しぇらったぁ」

祖母が言うこの秋田弁、私は祖母の言葉を聞くまで忘れていました。

心配しているということは、心配する相手を思って苦しむこと。

こころにスッと沁み込む言葉、私の好きな言葉。

私も祖母を思い、苦しぇらったんだなぁ。。。

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