ばあちゃんのことば②
早起きばあちゃん
私のばあちゃんは早起きです。必ず朝一番に起きて朝ごはんの支度、洗濯、掃除、畑仕事、ぜんぶこなして平気な顔をして私に言います。
「さぎしんでままけや~」
※さきにごはん食べなさいね~
食卓にはあきたこまちのごはんと、大根とわかめと豆腐の味噌汁、お皿に焼き鮭と鰹節のかかったほうれん草のお浸し、味付け海苔、それぞれタッパーに入ったたくあん、菊の茹でたやつ、牛肉とごぼうのしぐれ煮、あと私の好きなふりかけ(味道楽)。
食べ盛りの中学3年生の頃の思い出です。
ばあちゃんの掃除
ばあちゃんはいつ掃除しているのか分かりません。いつの間にかどこもかしこもぴかぴか。掃除をしている姿を見かけるのは本当に稀で、見かけたときに手伝いを申し出たことが何度かありますが、決まって断られます。
「ばあちゃん、手伝うよ」
「あいー、あど終わるどごだ、いーでゃ、どんもなぁ」
※ああ、もう終わるところだからいいよ、ありがとう
今でも謎なのがお風呂の掃除。ばあちゃんがお風呂の掃除をしている姿は一度も見た事がありません。なのにいつもお風呂はぴかぴか。
「さぎしんで風呂さはれや~」
※先にお風呂に入りなさいよ~
なみなみと張ったお風呂の湯気と、清潔なにおい。ばあちゃんが使う軽石が置いてあります。入浴剤はバスクリン。どこもかしこもぴかぴかなお風呂。
「さぎしんで」のやさしさ
ばあちゃんは朝早く起きて夜は早く寝ます。お昼、NHKのど自慢が好きなばあちゃんに孫はいつも時間を知らせます。
「ばあちゃん、のど自慢やってるよ」
「あいー、観ねばね、どんもなぁ」
※あら、観ないとね、ありがとう
ばあちゃんは働き者だから、少しの楽しみも逃してほしくないし。そんな思いは伝わっているのかなぁ。
今のばあちゃん
85歳を過ぎたばあちゃんは朝が遅いらしいです。でも夜は早く寝ます。今はなかなか帰れないけど、実家に帰ったらばあちゃんより早く起きて朝ごはんを作ってあげて、
「ばあちゃん、さぎしんでままけ」
お風呂掃除をしてぴかぴかにして、なみなみと張ったお風呂にバスクリンを入れて、
「ばあちゃん、さぎしんで風呂さはれや~」
って言いたい。そしてお昼の時間には、
「ばあちゃん、のど自慢やってるよ」
「あいー、観ねばね、どんもなぁ」
ってやりとりしたいです。