シャグマアミガサタケ食レポ
発生条件が特定の標高と樹木種に限定され、毒性の高いヒドラジン類を含む猛毒きのこ「シャグマアミガサタケ」
剥き出しの脳みそのような形状で見た目通りの毒きのこですが、食べられます。
ですがそのまま食べた場合、食後4〜24時間に吐き気・嘔吐・激しい下痢と腹痛、重症化すると発熱・けいれん・消化器系の内臓出血が発生と、おそろしいスペックですが沸騰水中で毒成分が加水分解され、科学的に毒抜き可能な毒きのこです。
「加水分解」と聞くとあまり馴染みのない化学反応に聞こえますが、人間が炭水化物を摂取し体内で単糖類などに分解される工程も加水分解なのでありふれた化学反応なのです。
シャグマアミガサタケは長年探し求めたきのこで、シャグマアミガサと普通のアミガサタケを狙って県外に遠征した際、日程を詰めすぎた疲労から単独事故で廃車にした時もありました。
けがもなく無事でしたが、石壁ではなく道路の反対側にある民家に衝突していたら社会的に死んでました。
予測発生ポイントでも多くの浮石に騙されてきました。
その度に何度でも騙されてやると心燃やしてきました。
そして本物を見つけた際はきのこのツヤツヤ感が輝いて見え、お宝を発見した喜びから誰もいない森の中で「見つけたー!」と叫んでしまいました。
さっそく沸騰した湯に5分晒し湯を捨てる工程×2セット行い毒抜きしていきます。
沸騰した湯気にも毒性があるので屋外にて。弱い風が吹いており空間濃度が低かったので嗅いでみましたが独特のきのこ臭があります。※良い子はマネしないように!
長年の夢だったので我慢出来ずに浮いた端材をすくい食べてみます。
まず感じたのは柔らかさ。
柔らかさの種類を良く言うとトロトロに煮込んだ玉ねぎのような、なめらかさと食感。
悪く言えばニュルん…モチョ…っとしてる。
そういえばフィンランドでは「コルヴァシエニ(Korvasieni)」との名で、直訳すると「耳きのこ」と言われており、ミミガーなど茹でた豚耳料理の食感に似てるので耳きのことは食感を表しているのかもしれません。
ちなみに素の状態ではきのこの味はあまりしませんでした。
そこで自分の得意料理の「クリームシチュー」に入れてみました。
市販のルウを使わず、隠し味に生クリームやチーズを使ったレシピで、過去に貸店舗で特殊なきのこ専門の飲食店を行った際の人気メニューでした。
味はというと…
シチューの旨味ときのこの旨味が調和していて素で食べた時よりおいしい!
きのこの食感も煮込んだ野菜とよく合い違和感なく食べられます。
そして食後24時間、中毒症状もなく無事でした。
思えば最初に「毒きのこは食べることが出来る」と分かって図鑑を見ながら採取目標とした毒きのこ、ベニテングタケ・ツキヨタケ・オオワライタケ・アミガサタケ・シャグマアミガサタケ、全部制覇しました。
次はどんな毒きのこを食べようか、ハンターシェフの次回作にご期待ください!
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