【Vol.2】BOPIS, ROPIS, BORIS
BOPIS<ボッピス>とは?
オムニチャネル戦略の中でもポピュラーな施策が自社Webサイトやネットサービスを通して注文や予約を受けるものの、商品の受け渡しなどはお客様自身が最寄りの店舗で行えるようにするBOPIS<ボッピス>だ。
以前はクリック&コレクトと呼ばれる事が多かった印象だが、2021年9月時点では特に米国においてBuy-Online-Pickup-In-Storeの頭文字をとったBOPISと称される事が多いようだ。
誰が使う?
もともと送料が比較的高い欧米において送料を無料にする代わりに最寄の店舗まで注文を受け取りに来て下さい、という文脈で始まったサービス(という風に理解している)だが、このご時世においては店舗滞在時間を減らす買い方の一つとして受け入れられているようだ。
日本においても通勤の際にパッと商品を受け取りたい、そもそも自宅に受取ボックスが無いので配達の方が受け取りが難しいといった一定のニーズがありそうに思う。
また、メガネなど購入後ある程度の調整が必要な商品にもマッチするのではないだろうか。
また、派生サービス・概念として、Reserve-Online-Pickup-In-Store/ROPIS<ロッピス>や、Buy-Online-Return-In-Store/BORIS<ボーリス>などがある。購入前に商品をみたい、返品は返送料をかけたくないので最寄店でしたい、といったニーズにも対応した派生サービスだ。
BOPIS事例
https://www.jins.com/jp/clickandgo/
導入する際の考慮点は?
このBOPISだが、顧客目線では単純明快で簡単に聞こえるのだが、提供者/ビジネス側の立場で考えると実装はなかなかハードルが高い。最終的にどこの在庫を使うかによって、システムやオペレーションなどが大幅に変わり、やり方を間違えるとお客様にとってもビジネス側にとってもあまりメリットの無いサービスに成りかねない。
例えば、ネット上で購入された商品を消費者が最寄店で受け取る場合、そもそも購入された商品がその店舗にあるのかないのかで大分状況が変わる。
商品がもともとその店舗にある場合は最短で当日に商品を用意する事も可能となり消費者メリットが高くなる。
一方でビジネス側はその店舗に該当商品の在庫が必ずある事を担保しなければならない。その場合、店舗在庫の在庫数も精緻に管理出来てなければならないだろうし、その在庫データをネット上である程度リアルタイムに検索・表示・引当させる事が必要となる。
また店舗側においてもネット経由での注文をどう受けるのか、誰がどうやって商品の確保を行い、加工が必要な場合はどうするのか、などオペレーションの変更が求められる。
さらに店舗の大きさによってはネットよりも商品数が少ない場合もあるだろう。ネットの方が商品数が多い場合はBOPIS対応商品が少なく見えてしまうのも課題となるかもしれない。 BOPIS対応商品を多く見せるには店舗の取り扱い商品バリエーションを多くする(その分各商品毎の在庫数は数量を減らす)事が考えられるがその場合は個別店舗における在庫の適正化ができなくなるリスクもある。 別のやり方としてネット在庫を使い中央倉庫から店舗に送る事も考えられるが、この場合は納期が長くなるなど本末転倒になってしまうリスクもある。
まとめ
BOPISの導入は店舗在庫のリアルタイム化とEC連携、そして既存オペレーションの変更等が必要となり、場合によっては莫大なシステム投資やオペレーション負荷がかかる。導入を決める際には何を目的とするのか(CX向上、売り逃し防止等)及びどういった評価指標で成功を判断するのかを事前に決めておく必要がある。
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