マイノリティの視点から見えた世界
こんにちは、きのこです。
12月に突入し、今年も残すところ1ヶ月となった。1年を振り返る中で、2024年学んだことを記録に残したいと思う。
私が2024年学んだことは、"マイノリティの視点"である。
2023年10月に一卵性の双子の母となった。
双子妊娠の確率は約1%。おおよそ100人に1人というデータがある。
私は、サラリーマンの父、専業主婦の母、2つ下の妹のいわゆる一般的な家で育った。大学卒業後は金融機関に就職、30代前半で結婚。"THEフツウ"の私が双子の母となったのだ。親戚に双子はいない。近しい友達にも。
"双子"が私の人生に登場した日から、様々なことに直面した。情報不足。母子共にリスクだらけの妊娠出産。何もかもが同時に起こる育児の大変さ。出産育児経験者にも理解されない不安や苦労との戦い。
初めてマイノリティになってみて、見えた世界があった。私が双子を妊娠出産育児して見えた世界を3点挙げたい。
感じる視線
双子と街に出掛けると、"双子だ!"と、多くの視線を感じる。声を掛けていただくことも多い。視線は温かいもので。声掛けも「双子ちゃんカワイイね」や「お母さんがんばってね」等ポジティブなものだ。
しかし、例えば障害を持った方が車椅子で街を移動する際の視線はどうだろう。もしかしたら「大変そう」「かわいそう」といった視線になるのかもしれない。何らかの理由で容姿にコンプレックスのある方が視線を感じてしまった場合、外に出られなくなってしまうこともあるのではないか。珍しいモノが目立ち、生きづらい世界が見えた。
移動の困難さ
双子のベビーカーは大きいので、タクシーやバス移動が制限される。
混んでいる電車の乗車もかなり厳しい。
横幅の広い改札がなければ、改札をくぐるのに駅員に声を掛けなければいけない。これが地味に面倒。
いくらその街がすばらしくても、駅の改札を面倒無く通れないのであれば、私だったらその駅近に住むことはできない。引っ越すエリアからは除外せざるを得ない。
このように、移動の不便さによって、住む街の選択肢が狭まることがあるということを"実感"した。
マイノリティに対応していない設備がまだ多くあり、選択肢を狭めなくてはいけない、生きづらい世界が見えた。
家族や友人にも状況や気持ちを理解されない孤独
双子妊娠は、わかった瞬間から、無事に産まれてきてくれるかという不安がママを襲う。双胎間輸血症候群等様々なリスクを伴う妊娠であるからだ。
早産をできるだか避けるためにとにかく動かない方が良いとされる。出産できる病院が限られる。妊婦健診は頻回。
双子の妊娠出産の知識・リスクや、双子が生まれてくるまでのその不安、出産後の育児の大変さを周囲になかなか理解してもらえない。
ある近しい友人からは、「不妊治療で双子を授かったのか?」という質問をされた。不妊治療で増えているのは、二卵性の双子である。我が家の双子は一卵性。双子=不妊治療で授かるという偏見。知識不足。
ある友人は単胎妊娠であったが、「妊娠中2人赤ちゃんが入っているようなお腹をしていた」と言っていた。3000gほどの赤ちゃんを出産したそうだ。
私は双子妊娠後期、お腹が大きくなりすぎて買い物にも行けなくなった。産休に入ってすぐ、実家に娘と帰り、家事は両親に任せて娘のお世話以外は横になる生活を送った。息子たちは早産で小さく産まれたが合計体重は4500グラムほどだった。本当に大変だった。
"フツウ"が通じず、理解を得るためには努力が必要となる、生きづらい世界が見えた。
マイノリティがより生きやすい世界を作るために私たちは何を心掛ければ良いのか?
ある世界のマイノリティは、とある世界のマジョリティである。私たちはどうしたら、誰もが生きやすい世界を作ることができるのだろう。
やはり幼少期からの多様性の教育が大切なのではないか。ローコンテクスト(言ってくれなきゃわからないよ!という欧米諸国に見られる文化)を意識することが必要なのではないか。
私は双子の妊娠出産育児について経験の無い人たちに、状況や思いを"察して"ではなく、伝えなければいけなかった。ハイコンテクストの世界(言葉にしなくても察して!という日本に見られる文化)で生きているのだと実感した。逆に"自分が経験したことのない状況の人"に対して、「わからない。だから教えて。」と正直に伝えても良いのではないか。
お笑い芸人の小籔さんのエピソードが素敵すぎる。
自分は何が必要かわからないから、必要なことを聞く。幼少期からの教育が無くても、心掛ければ今日から誰しもができることだ。
誰もが生きやすい世界になるように、私が出来ることはしていきたい。皆が心掛ければ世界は変わって行くだろう。
娘や息子が生きる世界が、より生きやすい世界でありますように。