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結婚式を、写真で残さない理由は『好きなことに価値を感じているから』


”動く”記録を残したい


友人の結婚式に参加するたび、僕は一眼レフカメラを構えながら会場を歩き回る。カメラを向けられた人は、写真を撮られると思ってピースしながら笑顔でこちらを見つめてくる。


これ、動画ですよ


 一言で急に動き出し、「なんだよ~」と言いながら笑う姿も、僕にとって素敵な素材になる。結婚式でバージンロードを緊張しながら歩く姿、指輪の交換で焦って手が震えながら相手の指に入れる光景、新郎新婦が不在のときの会場の雰囲気、新婦の言葉で涙する友人。様々な光景を映像に残している。

僕はプロカメラマンではない。カメラに特段詳しいわけでもない結婚式の参列者。カメラも決して特別なものではなく、中古で購入したNikonの一眼レフカメラ。秋葉原のショップで一目ぼれして、人生で初めて買ったカメラだ。最近の高機能を兼ね備えた数十万のカメラに比べれば、安物なので少し粒が細かい写真が撮れるくらいだ。スマートフォンのカメラの方が綺麗じゃないかって感じることもある。それでも、一眼レフが作り出す立体感のある映像・写真が僕は好きだ。

ほとんどの人が、結婚式でスマートフォンを構えて写真を撮る。撮った写真はそのままLINEを通じて新郎新婦に送る。昔のように写真を現像する必要もないし、その日のうちに共有できるのは便利な時代だ。
 きっと僕は、その時代に反したやり方をしている。撮影した映像を編集して新郎新婦にプレゼントしているからだ。結婚式で撮影した1時間分くらいの映像を編集し、次の日までは送るようにしている。手間のかかることを何故わざわざやるの?と妻から聞かれるが、僕にとって動画編集は好きなことだから苦とか手間に感じない。誰かの幸せを記録にすることが価値なのだ。

■動画の価値

 スマートフォンで写真・映像を残すことが当たり前になった時代。一昔前は、旅行先で写真を撮るのもデジカメをぶら下げて、128MBの限られた容量で撮影していた。家に帰ったらSDカードをパソコンに差し込んで、写真を整理してから友達にメールで送っていた。小学生の頃は、父親のフィルムカメラでよく遊んでいた。撮影した写真はその場ですぐ確認できなかった時代。写真屋さんで現像すると、よくわからない写真が何枚か紛れ込んでいて家族で笑っていた。そういうのも含めて記録に残すことが楽しい時代だった。

 友人宅にはビデオカメラがあり、撮影した映像をVHSに保存して棚に飾っていた。僕の家にはフィルムカメラしかなかったので少し羨ましかった。幼少期の頃に動く僕の映像はないから。

 僕の家にあった大きな庭(田舎なので土地が広い)で、爺ちゃんと弟と遊んだ写真は残っている。しかし、僕と弟、爺ちゃんの声、鶯の鳴き声、風で揺れるチューリップの映像は、僕の記憶の中にしか存在しない。

写真を見れば思い出を振り返ることができる。しかし、欲を言えば動いている姿を残したい。人はいつかこの世からいなくなる。その人が動いている記録を誰かが残さなければ、記憶を辿るしかないのだ。結婚式で涙を流す親族の動画を撮影しておけば、ずっとその人が動く姿を残すことができる。

■音楽の価値

 僕は結婚式で使われた音楽を用いて編集している。何故なら、結婚式で使う曲は2人で選んだ特別な曲だから。特にエンディングで使われる曲は思いが詰まっているからこそ、記憶に残り続ける音楽だと思っている。カフェでたまたま流れてきたときに「あの結婚式大変だったね」なんて、自然と振り返る瞬間が訪れる幸せを夫婦に感じてほしいからだ。

 結婚式のオプションで、エンドロールを制作してもらえるところは多い。しかし、映像制作に20万円以上かかるところがほとんどなので、拘りがなければ断るところも多い。結婚式を終えた女性から「やっぱり作ればよかった」という声を聞いたことがあった。結婚式の費用が嵩むあまり、少しでも削れるところを探し、旦那さんがエンドロールに拘りがなかったので意見に便乗したが、2人きりで1日を振り返る動画が欲しかったと言っていた。

 僕は動画編集が好きなので、好きなことが誰かの幸せに活かせるなら喜んでやろうと決めて、今日まで参加した結婚式では映像を撮り、編集し、プレゼントするようにしている。

■好きなことの先にある価値

 20年前に、動画編集でご飯が食べられると誰が想像していただろうか。YOUTUBEで活躍する人が現れ、編集をサポートするクリエイターが増え、副業という言葉が世間で当たり前になっている時代。結婚式の動画を編集するたびに友達から「お金取れるって!」と言ってもらえるほど、以前に増して技術は上がっている。ただ、僕が出席する結婚式に関しては一切お金を取らないと決めている。自分がやりたくてやっている好きなことだから。

 続けられること、無償でもできることの先には価値があると思う。僕にとって動画編集は「僕の記録が、誰かの幸せになること」が価値だ。動画編集でお金持ちになりたいと思っていたら、きっと続けて来なかっただろう。

誰かの幸せのために、これからも僕は記録を残し続けるだろう。

#結婚式の思い出




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