【知的財産権の学習・初学者向け】著作権法について② -著作者とは?-
こんにちは。中小企業診断士・紀の川きのこです。
今、「知的財産管理技能検定3級」という知的財産権に関する検定資格の学習を進めています。
実は私、9年ほど前にこの資格取得してるんですが、特許法や意匠法、著作権法などについて知識を深めることができる資格なんですね。
最近、お客様から特許に関する相談をいただき、頭のなかにあるぼやっとした知識を取り出しながらお話させていただいた経験がありました。
その時の経験から、もう一度知的財産権について学びなおそうと思い、最近腰を据えて学んでみることにしたんです。
学習内容の最も効率的な理解と習得には「自分が得た知識は速やかにアウトプットすべし」という鉄則があります。
そこで、自分の知識定着の加速化目的とも合わせて、せっかくなのでこの場で皆さんとも共有していこうかなと思います。
自分の学習ペースに合わせて少しずつ取り上げるため不定期となりますのでご了承ください。
さて本日は、
・著作者
・著作者人格権
以上についてご紹介します。
著作権法について
(1)著作者とはなにか??
著作者とは、たとえば作家さんが小説を書いた場合、自動的にその作家さんが著作者になります。つまりはそういうことなんです。
一方、「著作者の推定」というルールがあります。
実際に、本当にその人が著作者であるかどうかなんてなかなか証明が難しいのですよね。
例えばアトリエにこもって創作する画家さん、本当に自分で絵を描いたの?もう信用するしかないですよね、そこで、著作物上に、実名又は周知の変名を著作者名として通常の方法で表示した者は、その著作物の著作者と推定されるというものです。
「有名な漫画家のペンネームで作品を発表した場合、その漫画家が著作者と推定される」、イメージとしてはこのようなものです。
著作者には誰でもなることができます。子供でも大人でもプロでもアマチュアでも関係ありません。また、著作権は、わざわざ役所へ行って登録する必要はありません。作品を創作した時点で、自動的にその作品に対する権利があなたに与えられるのです。このような、登録の手続きなしに権利が発生することを「無方式主義」といいます。
ところで普段よく見かける「Ⓒ」のマークですが、これは著作者がいますよというのを表しているにすぎず、通常の表示方法ではありません。
こういった場合、著作者の推定に関するルールはあくまで「推定」規定であるため、真の著作者は反証を挙げて著作者たる地位を争うことができるわけです。
一方で、著作者とならない者とは次のとおりです。
1.素材の提供者
2.金銭の提供者、作成の依頼者(発注者)
3.他人の著作物を模倣・コピーした者
4.アイデアや技術の提供者
5.執筆等に関与しない監修者
6.著作者のアシスタント、助監督など
ただし、著作権移転(譲渡)契約等によって、著作権者となることができます。
(2)職務著作とはなにか??
会社の従業員が職務上作成した著作物(職務著作)については、原則としてその会社のものとなります。
著作物は日常的に会社のなかで作られるものであるため、最初から会社がその著作権者になるわけです。
たとえば、会社員が会社のパソコンを使って作成したプログラムや、会社で行ったプレゼンテーション資料などが職務著作の例として挙げられます。
例外的なルールとして、会社と従業員が特約で持って従業員に著作権があると規定することができます。
余談ですが、特許権の場合は職務発明における発明者は会社ではなく従業員となります。
職務著作の要件については次の通りです。
1.法人その他の使用者の発意による(業務上創作された)著作物であること。
2.業務に従事する者(指揮命令下にある者)による著作物であること。
3.法人等の名義で公表するものであること。
→ただしプログラムの著作物については要件としない
4.著作者について法人と従業員間に別段の定めがないこと。
(3)著作者人格権について
著作者人格権とは「著作物の創作と同時に著作者に発生する、著作物に対する人格的・精神的利益が保護されるという権利です。
著作者人格権は、著作権と同時に発生し、登録不要であるため無方式主義とよばれます。この権利は「一身専属権」であり、その人限りの専属権であるため、他人への譲渡や親族への相続はできません。
著作者人格権は、著作者の精神的な利益を保護するものであり、著作物の質を向上させる上で非常に重要な役割を果たしているのです。
著作者人格権の内容は次の3つになります。
➀公表権
➁氏名表示権
③同一性保持権
また、③同一性保持権に関連して、著名な著作者には、「名誉声望保持権」も認められています。
➀公表権
著作者は、その創作した著作物を公表するか否か、また、いつ、どのように公表するのかを決定する権利を有しています。
ただし例外として2点が定められています。
・未公表の著作物の著作権を譲渡した場合
・未公表の美術又は写真の著作物の原作品(所有権)を譲渡した場合、など
上記の場合には、公表に同意したものと推定され、公表権の例外に該当します。
➁氏名表示権
著作者は、その著作物の原作品に、または公衆への提供等に際して、実名又は変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこと(匿名すること)を決定する権利を有します。
ただし例外としては、例えばレストランでのBGMなどのように、たとえ著作者が望んだとしても著作者名の表示が困難であり、著作者の利益を害する恐れがないと認められるときは、原則として氏名表示を省略できることになっています。
③同一性保持権
著作者は、その著作物及びそのタイトルの同一性を保持する権利を有しています。その意に反して、変更、切除その他の改変を受けないという権利です。
ただし例外として次のようなものが規定されています。
・学校教育上、やむを得ない改変
→ 教科書のページの関係上平仮名でなければ低学年が読めない
・建築の著作物の増改築や修繕
→ 建物のオーナーが修繕を行いたい場合など
・プログラムの著作物のバージョンアップ
・著作物の性質や利用目的上やむを得ない改変
最後に、この同一性保持権に関連した「名誉声望保持権」についても触れておきます。
名誉声望保持権とは、著作者の名誉又は声望(社会的な高評価)を害する方法でその著作物を利用された場合に著作者人格権を侵害する行為だとして保護される権利のことを指します。
この権利はすべての人に与えられるものではなく、著名な著作者のみに適用される権利です。
本日はここまでです。
少し冗長的な文章になってしまったので、次回からはもう少しまとめて書きたいと思います。
ここまでお読みくださりありがとうございました。