不思議で美しいミクロの世界
海の水、川の水、池の水、自然界の水の中には、たくさんの小さな生物が暮らしています。人間には泥水にみえても、顕微鏡を通してみる世界は、全く違った輝きに満ちています。目の前にあるのに見えていなかった、美しく不思議な世界へ導いてくれる本の紹介です。
珪藻美術館 ちいさな・ちいさな・ガラスの世界(奥 修 文・写真 / 福音館書店)
珪藻というと、皆さん何を思い浮かべますか?最近は、吸水性・速乾性にすぐれているとして、珪藻土を加工したマットやコースターが売られていますよね。その珪藻と関係があるのかな?はい、まさにその珪藻です。でも、表紙には、精巧で美しいガラス細工がならんでいますよ?!
この本は、珪藻という小さな小さな藻(わかめや昆布の仲間)の生態、採取や観察の方法について詳しく書かれています。川底の石が茶色くなっているところ、泥水に見えるところ、なんだかちょっと汚れているように感じるけれど、実はそれが生きている珪藻がいる証拠。顕微鏡でみると、様々な種類の珪藻を観察することができます。表紙のガラス細工のようなものは、珪藻のカラでした。
著者は珪藻のカラを採取してきて、洗い、種類に分けて、きれいに並べていき……と、簡単に書きますが、珪藻1つ1つは0.005mmから0.5mmというから驚きです!ほこりを立てないように、静電気をおこさないように、小さな小さな芸術作品を作るのは、様々な努力の積み重ねが必要なことが綴られています。
完成した作品は1mmほどの大きさ!人の目でみても、小さな白いシミのようにしか見えません。本では顕微鏡写真で、その美しく不思議なアートを堪能することができます。レンズの先に広がる大自然からインスピレーションを得て、大変な時間と労力をかけて産み出された珪藻アート。花、虫、車、人、家などなど……1mmの中に広がる世界を、あなたも覗いてみませんか。
この度、著者の奥 修さんが、アトリエ樹乃会主催の「アート×ウェブ『こころ ひろがる×ここで つながる』今を生きる 子どもたちの展覧会」の趣旨にご賛同くださり、ご著書「珪藻美術館」を2名様にプレゼントしてくださることになりました!募集要項など、詳細はこちらをご覧ください。
追記:こちらの本は、第1回「アート×ウェブ『こころ ひろがる×ここで つながる』今を生きる 子どもたちの展覧会」の賞品として当選者にお届けしました。第2回以降は別の本になります。(2021/8/22追記)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?