suffregette〜未来を花束にして〜
ドイケン、よぴたけ、あらぽんたの皆がこの映画を視聴済みだったので、
せっかくだからと感想を共有しあう会を開催。
これがまた、楽しすぎたのでしたっ。
〜いざ、映画オタク3人でsuffregetteを愛でる会、開催〜
…の前に、内容紹介をば。
1912年のイギリス。ロンドンでは、当時の政権に対して女性の選挙権を要求する運動が先鋭化していた。50年に及ぶ平和的な抗議が黙殺され続け、カリスマ的リーダーであるエメリン・パンクハーストが率いるWSPU(女性社会政治同盟)は、”言葉より行動を”と過激な抗争を呼びかけていた。その一方で人を傷つけないことを方針のひとつとする穏健派も存在した。現代社会の深刻な問題となっているテロ行為とは一線を画す、理性に拠る活動だったことが知られている。階級を超えて連帯した女性たちの願いはやがて大きなムーブメントとなり社会を変えていった ― 。
実話に基づく本作は、そんな女性たちの勇気ある行動を描出した感動作だ。(公式より)
本作は実話に基づいた歴史映画です。主人公は洗濯工場で働く平凡な主婦、モード。彼女は洗濯工場で生まれ、若くして仕事に就き、劣悪な環境のもと低賃金で働いてきたのでした。彼女にとっては生まれてからと言うものこのような生活が当然だったので、反抗心なんてありません。旦那さんと息子と、つつましく暮らしていました。ところが、女性参政権運動に関わる女性たちとの出会いを通して「ひょっとしたらこの状況を改善させることができるのかも」と希望を持つようになります。そして、自身の身を危険に晒しながらもどんどん運動にのめり込んで行くのでした。
それでは気を取り直して
〜座談会スタート〜
一同 :まず、モードが可愛いよね(全会一致)
この女優さんはThe Great Gatsby とか、カズオイシグロ原作小説を映画化したNever Let Me Goとかに出てる美人さん。可愛い!
ぽんた:本作、ズバリ女性が権利を求めて(多少過激にも)闘う!という感じの映画よね。男性の視点から見るとどうなのか気になるな。
ドイ :一つ思ったのは、男性、女性という対立構造をあえて鮮明に描いているんだろうなということかな。
フェミニズムにもいろいろあるけど、男は暴力的で強権的で…とレッテル張りされるような場合が見受けられる気がしていて。こうした限定的な男性像に対して女性を理想化・一般化するのには違和感を持ってしまうんだよなぁ。本作にもちょっとその傾向があるように感じた。映画としてあえてわかりやすく描いているのかもしれないけれど。
次に、各人にそれぞれの正義があるのだと感じた。
本作をあえて二項対立構造に落とし込むと、suffregetteV.S.男性公権力になると思っていて。両者は対立すれど、どちらも社会をよくしようとしていることは一緒だと思った。そのやり方が違うからこそ対立が起きてしまうのは歯がゆいことだよね。
法を守る→男性側の正義
法が間違ってるから、正す→女性側の正義
が真っ向から対立して、平行線になっていた。
よぴ :なんかさ…レミゼを彷彿とさせるよね。
ぽんた:わかる!
時代は100年くらい違う(※)けれど、本作で参政権運動を取り締まるスティード警部は、レミゼでいうジャベール警部に似てると思った。理屈は通っているけれど、前提が間違ってる感。最後にそのことに気付いて愕然とするところも似てる。
それにモードと同様に、レミゼのファンティーヌも洗濯工場の工場長のセクハラに耐えながら働く貧しい女性だった。
※(レミゼはナポレオン1世没落後の1815年から7月革命後の1833年までの18年を描いている。らしい。ありがとうwikipedia)
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ぽんた:ちなみに最後に登場する当時のイギリス国王のジョージ6世ってさ、英国王のスピーチの主人公よね。
英国王のスピーチではヘレナ・ボナム・カーターが妻役だったなって。
本作ではsuffregetteの一人。身分全然違うな!
一同 :笑笑
ちなみにこのヘレナ・ボナム・カーターという女優さん。本作では過激派suffregetteとしてバリバリ女性参政権運動の先鋒という立場ですが、興味深いことに彼女の先祖はアスキス政権の政治家。このアスキス政権、女性参政権には反対の立場でした。Suffregetteに出演する彼女にとっては不思議な因縁というか。実際、カーター女史がそのことについてとあるインタビュー記事で語っていました。
→記事はこちら
よぴ :それにしても父親がね…
モードが運動に加担するようになってから急に冷たくな理、徐々に気性が荒い面が現れる。本性はこっちなんだろうなって思っちゃった。
彼にとってはおとなしかった所有物のようなモードが突然意思を強く持つようになったことで、彼女が自分の思い通りにならなくなった。それが気に入らなくて、モードに対して理不尽な態度をとっているように思えた。
ドイ :そうかもしれないし、一方で彼は普通の暮らしを守りたかっただけなのにモードがそれを壊した、「裏切られた」という思いだったのかもしれないとも思ったな。息子を養子に出した時にとても悲しそうな 切なそうな顔をしていたのを見て、親心というか、「愛が!そこにはある!」と思ったな。
よぴ :なるほど〜(ドイケンの圧倒的大人解釈を受けて心の狭さが露呈)
ドイ :ちなみにさ、女性の社会的地位が低下したのって資本主義社会になってからだよね。産業革命が起こって都市部の男性にフルタイム制工場労働が普及するようになってから、女性は家に縛り付けられるようになった。
よぴ :確かに。
その後女性の社会進出が進んだのが、第一次世界大戦の頃。
確かこれって、洗濯機が普及ことと関係しているんじゃなかったかな。
洗濯機は1880年頃にはすでに発明されていたけれど、需要がなかった。そこに第一次世界大戦が勃発して男性が戦場へ駆り出されると、人手不足から女性が工場労働に従事せざるを得なくなった。そこで家事を代行する機械として洗濯機に注目が集まって、急速に普及した。
この洗濯機の話、今日でいうzoomを想起させられるなあ。
もともと存在していたツールだったけれど、発明後すぐにちやほやはされず。社会的要請に伴って満を持して急速に浸透した。
ぽんた:発明品関連の話題でいくと、「写真」も印象的だった。
suffregetteたちを偵察する時にカメラを使っていたけれど、警部曰く「当時では最先端の犯罪捜査ツール」。
写真ってきっと元々は素敵なツールとして発明したのに、
こんなことに使われるようになったんだなって笑。
よぴ :最後のシーンについてはどう思った?
ぽんた:エミリーがダービーに突っ込んで死を持って大衆に訴えかけた時、モードは真っ先にマギー(洗濯工場に勤める少女。工場長からセクハラを受けている)のもとに行った。
これが印象に残った。
エミリーの自己犠牲は結果的に人を動かすことに寄与したってことよね。
まず第一に、ジョージ6世と、視聴者。
一人の女性が馬の前に身を投げ出してまで伝えたかったことはなんなんだ?と国王は思ったことだろう。中継を見た世界中の人たちも、これをきっかけにsuffregette運動を知った・もしくは立ち止まって考えた。このことが女性参政権獲得に向けて世論を前進させた。
次に、モード。よくよく考えると、彼女はこれまで大きな変革は起こしてこなかった。周囲の行動に反対するかついて行くかという程度だった。そんなやや没個性的なモードが、エミリーの行動を受けてからすぐに意を決したように一人の少女を助けに向かった。
一同 :山川の世界史の教科書を引っ張り出して、英国の女性参政権の項を参照。
「「「 一行!少なっっっっ笑笑 」」」
本作、考えさせられるテーマがてんこ盛りの映画。
トークにも花が咲きまくりました。
同じシーンであっても受け取り方が多様なのが面白い。
自分にとってはなんのことはないシーンでも、誰かの目を通すと示唆に富んだシーンだったり。
楽しい〜〜〜〜〜。
一人で観るだけじゃなくて、こうして他者とじっくり感想を言い合うのもまた一興。
ではまた。
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