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おすすめ短歌集6選

私は短歌が好きです。
短歌は昔のもの、国語の授業で少し習ったもの、という印象で過ごしてきた人生でしたが、数年前、現代歌人さんの短歌に出会い、今の短歌ってこんなに読みやすくて親しみやすいんだ!と衝撃を受けました。日常の切り取り方、31文字への収め方が美しすぎて、短歌が大好きになっていきました。短歌ファンを増やしたいので、おすすめの短歌集を紹介します。(歌人さんのお名前からtwitterアカウントへ飛べます)

食器と食パンとペン わたしの好きな短歌 / 安福望

縦書きの国に生まれて雨降りは物語だと存じています(飯田和馬)
散髪の帰りの道で会う風が風のなかではいちばん好きだ(岡野大嗣)
海だってあなたが言えばそうだろう涙と言えばそうなんだろう(木下侑介)

短歌には興味あるけど、何から読めばいいの?という人におすすめの一冊。イラストレーターの安福望さんが様々な歌人さんの短歌を集め、安福さんのイラストが挿絵になっている一冊。ページを捲るたびに新しい出会いのある感覚。ひたすらにワクワクします。安福さんの絵もとても素敵で、画集としても楽しめます。ネットではもう販売されていないみたいだったので、本屋に現品があることを願います…短歌への一歩に是非どうそ。

オーロラのお針子 / 藤本玲未

隕石のふる夜だからあくびから金平糖が出ちゃうしさむい
窮屈な家から出ちゃえぼくたちはSuicaで月へ行こうじゃないか
不純物ひとつもなくて怖かった試験管から見上げる空は

透明感があって美しい藤本さんの歌集。私は、一首目の「隕石の〜」の歌に出会って、短歌が好きになりました。上の句から下の句への内容の繋がり方が予想できなさ過ぎて面白い。一首一首が絵画のよう。夢の中にいるような浮遊感がある、ファンタジーな歌も魅力的。「Suica」とかの固有名詞も短歌に使っちゃうんだ!という驚きもありました。

最初からやり直してください / 宇野なずき

僕だけがインターネットの亡霊で他のみんなは居酒屋にいる
土曜日に土星に行って死のうかな輪っかも用意してくれてるし
あの人の恋を応援する 水をやり過ぎた花は枯れるらしいし

絶望を、美しくユーモアに昇華している歌集。題材が職場だったり恋愛だったり…普段短歌に触れていない人でも非常に読みやすいんじゃないかなあと思います。「明るい短歌を読む方が難しい」とあとがきに書いてあるくらい、暗い歌が多い。けれど、読むことで心がストンと落ち着く感覚があって、時折、ボウッと照らしてくれるようなものがあります。(本は売り切れですが、Kindleで販売中のようです)


砂丘律/ 千種創一

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カフェラテの泡へばりつく内側が砂浜めいてもドトールここは
ぼかしたら油彩のようになる畦を君と歩いたではないですか
アラビアに雪降らぬゆえただ一語ثلجサルジュと呼ばれる雪も氷も

視点の面白さ、言葉選びの美しさ、読むたびに好きな歌が増える一冊。カフェラテの泡が砂浜に見えるなんて、想像力(創造力?)が凄すぎ…素敵すぎる…と、めちゃくちゃに感動したのを覚えています。出版当時は中東在住だったそうで、歌の中にアラビア語が出てくるのも興味深い。装丁もかっこいいので是非手に取ってほしいのですが、今は絶盤だそうで…店舗で見つけたら大変ラッキー。次作の歌集「千夜曳獏」もかなりおすすめです。


サイレンと犀 / 岡野大嗣

えっ、七時なのにこんなに明るいの? うん、と七時が答えれば夏
もういやだ死にたい そしてほとぼりが冷めたところで生き返りたい
きみがきみの道を向くとき僕はそのうしろで小さくならえをするよ

一首目に紹介した歌は、夜なのにまだ明るいなあ、と思う夏の始まりの頃に、毎年私が思い出す歌です。二首目は、嫌なことがあった時に思い出す歌です。そんな感じで、岡野さんの短歌は日々を送る中でふと頭をよぎる。もう頭の中に入ってしまっている。日常の切り取り方がとても素敵な短歌ばかりで、そんな歌たちは私の生活に優しく寄り添ってくれています。


コンビニに生まれかわってしまっても / 西村曜

貼り過ぎで意味を失くしたふせんのよう絵画棟での出来事たちは
だったんだだったんだと行く鈍行で俺はあなたが好きだったんだ
「花束」の手話がわからず思い切り抱きしめてみる たぶん合ってる

気になるタイトル!と思って思わず手に取ったこちらの歌集。タイトルからしてユーモア系が多いのかなあと思いきや、ジンとくる、愛に溢れている一冊でした。一首目に紹介した歌は、全部大事な出来事だったんだよねって思うと泣けてくるほど好きな歌です。三首選ぶの難しかった。このタイトル「コンビニに〜」は、本に収録されている短歌の上の句でした。

以上、6冊ご紹介させていただきました。短歌の魅力を知ってほしい、そして短歌に触れてほしい一心で書きました。もしハマったら私と一緒に短歌話に花を咲かせましょう〜。貴方のおすすめや好きな短歌を教えてください。
この記事をゆっくり書き進めている間にも、何冊も歌集を増やしてしまいまして、来月発売のものも予約しまして…こちらもまた紹介できればなーなんて思います。ではでは。

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サトウナツキ
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