さくゆい劇場 感想
推しが「お笑い」をやる!
最高のエンターテイナーと思って推している身からすればこれほど楽しみなことはない。そしてこれを書かない訳にはいかない。
…ファンミ書かなくてこれは書くんかいみたいなところもあるが、あれは単純に満たされ感が凄かった以外にそう言葉が見付からなかったので仕方ない。
入場時はなかなか混雑を甘く見ていて、救済など言われていた入口を余裕で使うことになるとは思わなかった。通常の待機列形成が6時からという時点で何か察するべきだったか。コミケに行くとしても午後からが多い軟弱者なので9:30駅着という甘い見積もりで行き、結局ギリギリの入場と相成った。(ただ開演も延びた。)
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何にせよ始まってみれば大したことではなく、かの「前説」というやつをさくゆいがやっているのを見た時点でぶち上げである。関西ネイティブではないにしても毎週「吉本新喜劇」で似たようなネタを無限に見て、「エンタの神様」で笑いのニューウェーブだ何だをリアタイし、「おもしろ荘」で宇宙海賊ゴー☆ジャスを知り(個人的にはマジで異彩を放つ面白さだった)、そういう世代なので別に現場へ行ったことがなくとも前説の存在は知っている。「ドッが欲しい」「遠慮せずに」とか言っていたのも、コーレスとリアクション(ウケ? 名称不明)の違いを意識というか懸念というかしてのものだと思われた。「ここが笑いどころだぞ」というのはそのまま言う訳ではないので、ある程度ニュアンスの読みが要る。
本編が始まると、さくゆいの身振りにまた上げである。普通の3D配信とかライブとかで見るのとは違う、新喜劇で見たあの体を前になるべく開くような、独特の立ち姿なのだ。演劇というもの自体そうなのかもしれないが、ここにもさくゆいが遂に「お笑い」をやるんだという高まりがあった。そもそも私が今でも見返す配信と言うと合コンだとか大喜利だとかで、推しに対しては笑いへの期待値が最も高い。(ただダンスやゲームについてもかなりある。)もし本当に神がいて椎名唯華の友達なら、間違いなく芸能の神だろう。
更に遡ってしまえば配役からしてそうだ。シスターはインドを踊った仲だし、配信でもざくしいの話をしたりさくゆいに近しい笑いの魂を窺わせていた。社長についても2021年の甲子園の後でさくゆいのエンタメへのリスペクトを語っていたり、勢いの大声から小声の深いツッコミまで多彩にさくゆいのボケへ対応していた印象がある。
本編中もシスターは飲み屋のキャッチを楽しそうにやっていたり、社長の細かいツッコミが非常に嵌まっているなどした。本当に笑いのテンポに沿っているので、逆にツッコミにこれ台本に書いてある通り言ったけどどうなん? 感のあるイブラヒムに「さくゆいにこの言い方させられているのか?」と少し思ってしまった。まぁイブラヒムらしくはある。
四季凪はやはり右端でイブラヒムを思いっきり痛がらせたのがポイントが高い。若女将はあまり「お笑い」の文脈は経ていないイメージだが、旅館組で言うと一番自然な喋りだったかもしれない。早瀬はむしろブチギレパートが輝いていた。
チャイカは日頃3Dをやりたがっているだけにいつも通りの感が強い。
さくゆいについては最早個別に言うまでもない気がするが、強いて言えば冒頭の愚痴を本番で直したという切れ味は笹木にしか出せないだろうし、「ここが笑いどころだぞ」の醸し方は椎名唯華が随一だったように思う。(推し贔屓か?)
お笑いには「くだり」があり、ツッコミなどして一笑いして一区切りという流れがある。無料パートで言えば「生意気そう」→笹木がキレる、「本当のこと」→椎名がキレる、といった部分はそれぞれ一つのくだりだと思うが、この辺りは観客がリアクションしきれなかった印象。こういうところが上記のコーレスとお笑いのリアクションの違いであり、VTuberリスナーにはやや慣れない部分かもしれない。何にせよちゃんと笑いが成立すると一体感があって楽しい。
無料パートでもう一つ挙げると「ほんまは?」のところだ。その辺の作品で見る「本音は?」という掛け合いはどうも苦手なのだが、思い返すと意味的にはこの「ほんまは?」も全く同じで驚いた。恐らくは(関西弁によるニュアンスもあるが)親密感のある言い方こそが、一言で本音を引き出す流れに説得力を持たせるため重要なのだろう。
後の細かいことは笑いすぎて忘れた。たださくゆいは本当に「お笑い」に関して行き届いており、期待を裏切らないのは確かだ。
いやまだあった。普通のお笑いでも客弄りというものがあり、演劇でも「第四の壁」を破るのはありがちらしいが、VTuberがやるとなると「バーチャル弄り」という別のメタが出てくる。浴衣のくだりや温泉の場面はまさにそういう面白さがあるだろう。
キャリーケース、「コロコロの」、懺悔室という風にチャイカはその辺り貪欲というか相性が良い。
さて大きな流れで言えば踊って大団円だろうが、それでは終わらない。まさかの電動ゆがみんにリアルめの貸し出し価格。困惑する観客を置いて終幕。
これがちゃんと狙い通りらしいのでなかなか興味深い。エンタメに徹するのではなく悪戯心を出したかったのだろうか? さくゆいの奥は深い。
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それにしてもにじさんじ推しの友達が全然いないのでnoteに書くことしかできない。助けてくれ。
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