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安藤忠雄の「建築手法」を読んで、Ando Galleryに行った話

たまたま図書館で見つけたのが安藤忠雄の「建築手法」。安藤忠雄の本は結構読んできたと思っていたが生い立ちやプロジェクトの解説が多く建築手法という観点での本は読んだことがなかったので読んでみた。

2005年に初版発刊。

印象に残ったところ

壁への考え方

日本伝統の柱梁の構造としての要素を見つめ直した結果、柱とか構造体に対し意識化を行い、その中で壁に対する強いこだわりが出てきたそう。壁に開口は不必要に開けないようにして壁一つに対しても緊張感を持たせて美しく完全な壁を目指していたという。

ただ開口のない壁を目指す中で採光の問題が出てきて壁でありながら採光ができる「閉じながら開く」ガラスブロックの壁に注目してを作るようになった。

しかし通風や室内環境の関係上、ガラスブロックに普通のガラスを使うことやガラスブロックなのに機械的設備を使用する違和感により使わなくなったそう。

さらに変化してコンクリート壁、閉ざされた箱をいかに開いていくか、スリットやトップライトを設けて光を取り込み、光の推移で空間を変えるように外部環境を取り入れるようになった。

これらは住吉の長屋からガラスブロックの家、小篠邸のように変遷している。

閉じている空間をだんだん外部に開いていく過程がおもしろかった。

スケール感を大事にしている

住吉の長屋とか住宅から始まった安藤建築だけど小篠邸や公共建築や地中美術館や淡路夢舞台などだんだんスケールが大きくなると普通、縮尺も小さくなって描きたくなるところだが、100分の1を守って描くことでスケールを間違わなくなるという。

あとどんなに規模が大きくなっても敷地図は必ず周辺を全部描くことで周辺状況の正確な把握ができる。

縮尺で考えるときにヴォリューム感覚を自分で把握しながら、思い描いている空間を前に進めるためには、自分が興味のある建物を片っ端から空間感覚を保ちながら見ることが大切だという。

建築を学び始めに習うことであり、基礎がやっぱり大切なんだと思わされた。

この二つの項目に新鮮さを感じたが、読んでてただやっぱり凄いと思ったのは知識の量が凄すぎる。独学で勉強したことは有名だが色んな建築の一生ものの知識が身についてるということ。古いものから新しいものまで色んな場所、建築を見ているのが本から伝わってくる。
自分の未熟さを感じる。

そして社会的産物の建築に関わっている以上、受け身でいるのでなく、勇気を持って発言するべきで与件に対して機能と解を求めるだけでなく執念深く理想を追求していく、つくり手としての強い意志の力が必要の言葉に強く惹かれた。

建築手法に注目して読んだが結局、建築に対する姿勢や理想を追い求めるしつこさや情熱が語られる箇所で自分のモチベーションがあがった。対談形式の本で読みやすく、数年後また読むと注目する箇所が変わってくるだろうと思えるほど濃い内容だった。

Ando Galleryへ

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さらに先日、ずっと気になっていた兵庫県立美術館の増築されたAndo Galleryに行ってきた。
2019年に増築された鉄骨造の3階建。

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おおまかな内装の仕上げは、床はタイルカーペットや壁クロスの上に塗装、天井は岩綿吸音板の上に塗装の簡素な作りとなっているが、外部の御影石を内部にまで取り込まれた連続性やカーテンウォールの中央にあるコンクリートの柱が象徴的だった。本に書いていた柱が構造体の意識化として現れており、鉄骨造にも関わらずSRCのように鉄骨をコンクリートで巻きつけられている。

また展示されているのは今まで行ってきたプロジェクトの数々の図面や模型があった。図面も本の通り、100分の1や50分の1であり、模型は20分の1が多く、スケール感がわかりやすく伝ってくる。

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さらに屋外テラスには新たに追加されていた青いリンゴのモニュメントがあった。「目指すは甘く実った赤リンゴではない。未熟で酸っぱくとも明日への希望へ満ち溢れた青りんごの精神」とメッセージが綴られている。

2005年の本に記載されていることを一貫して今なお同じメッセージを残し続けていることに感銘を受けた。

そして何よりもAndo Galleryの資料が無料で見れるところが凄い。兵庫県立美術館の建物とAndo Gallery合わせて凄い勉強になった。

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