小学生が専用iPadを持つ生活のリアル
うちの子供たち(小4、小2)にはそれぞれ1台づつiPad Air(第四世代)を家庭用端末として与えています。子供にデジタルデバイスを使わせることの是非や使わせ方など試行錯誤しましたが、調整次第で最強の教育ツールになりました。
使わせ方、ダウンロードと淘汰を繰り返して生き残った厳選アプリ、子供に与えるために注意している設定などを紹介します。
スマホは育児に悪だと、もはや親が刷り込まれている
子供が未就学児の頃は「スマホ育児の悪影響」なんて記事をよく目にしました。Youtubeを見続けさせたら子供は静かだし、親は楽だし。でも、子供とのコミュニケーション不足、発達への悪影響、目にも悪いし、身体を動かす機会も減ってしまう。教育意識が一定以上の家庭では、子供のデジタルデバイスとの付き合い方は当然のように意識しているのではないでしょうか。
かく言う私も、子供にはデジタルデバイスを触れさせることには慎重でした。私のスマホを触らせるなんてもってのほか。Youtubeを見せるなんてありえない。紙の本を一緒に読み、多彩な画材で絵を描き、料理をする。自分が子供の頃に体験したような子育てを、当然子供にも与えていました。
むやみに遠ざけるよりも、付き合い方を学ばせる
でもずっとそれでいいんだろうか。私自身もタイピングやパソコンが得意で得したことも多い人生です。就学前後には、子供にデバイスを与えた場合の付き合い方も変わってきます。ただ動画を見る、おしゃぶりのような親の自己満な知育アプリを触る、よりもう少し踏み込んだ使わせ方ができるのではないかと、デバイスを解禁することにしました。
子供たちのデバイス遍歴については、こちらの記事に詳しく書きました。
小学4年生 息子の場合
4年生の息子はタブレット端末使用5年目。現在使用しているものは以下のとおりです。
iPad Air 第四世代
Magic Keyboard
Apple Watch SE
QUADERNO A5 第二世代
勉強にも使うことからキーボードは必須です。オンライン講義も多いため、画面の角度をより細かく調節できるMagic Keyboardにして正解でした。トラックパッドがついているので画面を触ることが少なく、汚さず使えているのも予想外のメリットでした。
主な用途として
小学校の宿題
塾のオンライン講義
読書
学習系アプリ
ゲームアプリ
(過去)オンライン英会話
1日の使用時間は勉強を含めて2時間〜3時間です。
小学校の宿題
長男が通っているヨーロッパのインターナショナルスクールは、コロナ禍でのオンライン化に加えて、環境に配慮したペーパーレスの流れも強く、全ての宿題がオンラインで完結します。
Google Classroomで出される課題、学校契約の算数学習サイト、スペリングアプリなど、どの宿題も端末を選ばずログインすればできる仕様です。単元によってはGoogleで調べてまとめたものをデジタルノートにまとめたり、という課題もあります。
塾のオンライン講義
日本で通っていた中学受験塾の学習をオンラインで継続しています。テキストやテストは日本から送ってもらわないといけないため、この環境を整えるのが実は大変でした。テキストをPDF化したものをQUADERNO(電子ペーパー)で表示させつつ、講義の動画はiPadで再生するという2画面体制で今のところ落ち着きました。
読書
読書が好きな長男は、青空文庫で児童向けの本をよく読みます。ソラリという青空文庫用のリーダーアプリを利用しています。
本当はKindleでも任意の本を購入して読ませたいのですが、専用端末でないと子供用の設定ができず断念しています。不適切な本がオススメされちゃうんですよね・・早くアメリカのAmazonみたいに、Amazon Familyの設定ができるようになってほしいです。
学習系アプリ
保育園時代に星座がテーマだった「キュウレンジャー」にハマって以来、ずっと星座と天体が好きな長男。以前は同じシリーズの Star Walk Kidsを入れていたのですが、もう少し掘り下げたいとのリクエストでこちらに切り替えました。
ホーム画面にこのアプリのウィジェットを出して、国際宇宙ステーションの通過や天体ショーの観測時刻などがわかるそうです。
もう4年くらい使っているのですが、飽きずにずっと続けています。立体図系や論理思考などを促すパズルができる、知育アプリです。アプリのデフォルト(そして強制!)で1日に3ゲームまでしか遊べないのが長期的に考えると飽きない理由なのかな・・
Think!Think!と同じワンダーラボが中学受験用の算数アプリを出している!と見つけました。切断、展開、計算とシリーズで3つ出ています。めちゃくちゃ良いんだけれど・・びっくりするほど高い。1つ5000円。長男はハマって、完全に勉強ではなくゲームとしてチャレンジしているのでよかったけれど、合わないと出費としては痛いですよね・・
2年ほど紙ベースで100マス計算をしていたのですが、下の子が2年生になってアプリに切り替えました。これまで毎日目が痛くなりながらしていた採点が不要になり、時間計測もグラフ記録も自動でされて、正直言って革命的です。100マス計算の要は「真剣味をもたせて進めること」なので、アプリ化して緩くならないよう、兄妹同時にスタート、時間のカウントダウンなどは継続して行っています。
ゲームアプリ
言わずと知れたマインクラフト。ゲーム導入にも慎重だったわが家が最初に入れたのがマインクラフトでした。ポイントは、ゲーム側で課題設定がされないため、成功報酬の出ないゲーム。自分でやりたいことを考えてそれを進めていくので「クリアすることに中毒」になりません。
チェスのソフトは数多出ているのですが、初心者〜上級者まで講座があったり、親の私とオンライン対戦できたりするのでこれに落ち着きました。オンライン対戦はタイムリミットを3日とかに設定すれば交換日記のように少しづつ対戦を進められるので、仕事が忙しい時期のコミュニケーションツールとして実は私が気に入っています。
(過去)オンライン英会話
今は英語圏の学校に通っているのでお休みしていますが、こちらに渡航するまで日本でNativeCampのオンライン英会話を受講していました。1日25分を毎日です。外国語の早期すぎる学習は避けていたわが家ですが、小学1年生からの1年半の受講で長男は英検3級を取りました。
小学2年生 娘の場合
iPadを買った際、2年生に専用端末はまだ早いか・・とも迷いましたが、上の子が自分の端末を不自由なく使えるためにも、同時に娘のものも買いました。
iPad Air 第四世代
Smart Keyboard Folio
Apple Pencil 第二世代
Apple Watch SE
クラフトや料理が好きで何かと周りを汚しがちな娘には、キーボードに隙間がなく防水仕様のSmart Keyboard Folio一択でした。なぜかそこはかとなくベトベトしがちなので、しょっちゅう除菌シートで拭かせています。
漢字学習などでも手書きが必要なことが多いので、遅れてApple Pencilも導入しました。
小学校の宿題
学習系アプリ
動画系アプリ
趣味系アプリ
本人の趣味に合わせて、お兄ちゃんとは少し内容が変わっています。
学習系アプリ
日本だと九九を習っている学年。イギリス系インターでは掛け算の授業こそあれど、九九はありません(!)こればかりは、日本式の九九に頼るしかありません。読み上げアプリの声真似→九九カードで練習、テストを繰り返しています。
ついでにトドさんすうもやっています。インターフェイスがよくできていて可愛いので、遊び感覚のようです。
ゆびドリルの漢字もやっています。Apple Pencilを併用して、手書き対応です。紙のドリルも日本から持参してやっているのですが、私が横でつきっきりで見ていないと書き順の間違いには対応できません。ゆびドリルだと書き順ミスを判定してくれます。
動画系アプリ
英語習得のため、Disney+とYoutube Kidsで英語の動画を見れるよう設定しています。Youtube Kidsは親が許可したチャンネルのみを視聴できる設定です。
英語学習を始めた2年前は赤ちゃん向けの歌のような動画を繰り返し見ていましたが、いつの間にか一丁前にディズニーチャンネルのシットコムを見て笑っています。
趣味系アプリ
お絵描き系のアプリはもっと子供向けのものも入れていたのですが、Adobe Frascoの水彩が気に入ってこればかり使うようになりました。Apple Pencil対応なのでデジタルネイティブのお絵描き感がすごく強いです。
お菓子作り、特にデコレーションカップケーキ作りが大好きな娘は、よく奇抜なデコレーションケーキ動画を見つけては見入っています。たまに兄妹で動画を参考に料理をつくってくれます。
兄妹で時々、Garage bandをBluetooth接続して合奏しています。目の前の端末から音が出てるから接続しなくても合奏できる気もするのですが・・・録音するにはその方がいいとか。
このアプリは最近入れました。めちゃくちゃいいです。iPadで使えるタイピング習得用のアプリが意外となくてずっと探していたのですがやっと出会えました。いきなり難易度高/キッチュなデザイン/高い値段/フィードバック皆無・・と個性揃いだったiOS向けタイピングアプリの中で、ちゃんと段階を踏んでホームポジションを意識しながら楽しく学べる(しかも広告非表示なのに無料!!)アプリで、子供に使わせるにはもはや一人勝ち状態。
アプリ、コンテンツを選ぶ際に注意していること
後述のスクリーンタイム(ペアレントコントロール)はiOSデバイスを子供に持たせる時にはもはや必須機能ですが、本当に安心して子供に端末を触らせようと思ったらペアレントコントロールだけでは十分とは言えません。留守番時の連絡端末としても使用するし、小学生2人ともなると片時も目を離さず見守るなんて現実ではないので、親が目の前にいなくても安心できる設定は必須です。
そもそも、iPadである理由
iPhoneは内部の機能的にはiPadの小型版ですが、子供にiPhoneを与えることは当面考えていません。どんなに早くても中学以降だと思っています。
視力への影響
ローマ字入力をベースにするため
家の外には端末を持ち出さないため
デバイスで何をしているか親が関知しにくくなる懸念
といった理由からです。
まずは物理的にiPadを守る
前の世代のiPadはこってこてのEVAケースに入れていました。画面も全部保護されて、投げたってジュースをこぼしたってピンピンしてそうなやつです。でも、キーボードを使用するようになると、そうはいきません。
そもそもカバー兼用としているApple純正キーボードは、設定もほぼ不要な上に自動スリープもするマグネット仕様のおしゃれで便利なものですが、つまり子供の使い方次第ではすぐ外れるという致命的な欠陥があります。
キーボードが外れたらちゃんと戻して使いなさいよ、なんて一度言い聞かせたら素直にそれを続けるほど行儀の良い子供たちではありません。キーボード外して使っても、子供的には特に困ることもない訳だし・・・
試行錯誤の末「物理的にキーボードが外れる状況を排除する」ことが最善策という結論になりました。
具体的には
画面縦向き仕様のアプリを使わない
え、そこ?と思うかもしれませんが、これでキーボード外れたままのiPad使用が99%撲滅できました。iPadが常時横向き利用だと、スマートキーボードの類が外れることはありません。子供が寝っ転がろうと、ソファでiPadを使おうと。もちろんホーム画面も横ロックです。
正直、タイピングアプリも学習系アプリも、内容的にはほとんど理想通り・・ただ唯一、画面が縦向き固定でなければ・・・というものがいくつもありました。でも探し続ければ、ほとんど同じクオリティで横向き仕様のものを見つけることができました。上に紹介しているアプリはどれも横向き固定で使えるものばかりです。
ブラウザ系のコンテンツは排除
ペアレントコントロールでもブラウザの使用環境をコントロールすることはできます。小さい子供の場合、親が許可したサイトのみ閲覧可能な設定にすればほとんどの心配は排除できます。
ただ高学年になって、Googleを使って調べ物学習をしたりする場合、ブラウジング設定で親が頼れるのは「アダルトコンテンツの非表示」や、特定サイトの閲覧禁止のみ。
実際アダルトコンテンツやYoutubeだけ排除したところで、際どい広告や子供の心を惹きつける記事など、ネットにはグレーゾーンのコンテンツが無限にあるのはご存知のとおり。Googleを使う前提にしている時点で、既に入り口は開かれていますもんね。
そうなると親としてできる最善策は
望ましくない不特定多数のコンテンツとの接触機会を極力減らす
ことに尽きるのではないでしょうか。つまり、webブラウザはGoogleでの調べ物や塾のオンラインページにログインする時など限定用途のみ、ゲームや読書などの楽しみは他のアプリで完結させる。自ずと、望ましくない広告の表示やコンテンツを目にする機会が少なくなります。
無料アプリよりも、少額課金しても広告非表示
同じ理由で、アプリも無料にこだわるよりは広告表示を消せることを重視しています。広告の内容だけでなく、ワンクリックでブラウザに飛ぶ仕様、そしてそもそものアプリの使用体験の低下などを考えれば、これなら子供に使わせたいと思ったアプリに200〜300円払うことは痛くありません。
そしてもちろん、スクリーンタイムの設定
子供一人づつにApple IDを作り、親とファミリー設定にすれば、親のAppleデバイスから子供の端末使用についてこと細かに設定できます。
端末使用可能な時間帯の設定→就寝時間の20時〜朝5時までは緊急連絡のみ
アプリごと、アプリグループの使用時間設定→ゲーム系は1日30分まで
メールや電話ができる相手の設定→電話帳登録者のみ
表示されるコンテンツの対象年齢設定
不要なアプリの非表示→Appストアも非表示に設定しています
週末などたまに「2人でマインクラフトの通信プレイをしていい?」と子供達が聞いてくることがあります。そういう時は時間制限を解除するのですが、私が仕事に出ていても自分のiPhoneから遠隔で必要なアプリのみ解除できます。
子供との約束も大事
子供にiPadを与えた際、そしてその後も折に触れて以下のような話をしています。
これはお父さんとお母さんが買ったもので、あなたたちに借して使わせる。「僕のだから」「私のだから」という既得権は発生しない。
普段のお小遣いやお年玉とは比べ物にならないくらい高い。それでも使わせるのは、長い時間をかけて付き合い方を学ぶべきツールだから。相当の扱いができなければ、使うタイミングを見直す。
ゲームなどが使える設定の時間は「遊んでもいい」時間であって「遊ぶ権利が保証されている」時間ではない。学校や宿題、習い事、食事や就寝時間など優先すべきことがあって規定の時間が使いきれない場合の救済措置は設けない。繰越しもできない。
ゲーム以外のアプリの使用時間が設定されていないのは、常時使い続けていいという意味ではなく、自分で使用時間をコントロールする練習の意味。週間使用時間のレポートを見て多すぎる場合は話し合いを設ける。
お父さん、お母さんからの連絡(メール、電話)には必ずレスポンスを返すこと。
親も実は、試行錯誤。子供の年齢と共に見直しも。
子供には色々と条件を並べていますが、実は親としても試行錯誤。だって自分が子供時代には存在もしなかったツールです。「ためになるし、いくら使ってくれても構わない」と思っていたアプリを「いやいやちょっと待って」と見直したことも多々あります。逆になんとも思っていなかったアプリが実は知識を深めていて見直したことも何度もありました。Disney+やTastyなど正にそうです。
今の年齢ではAppストアなども直接アクセスできない設定ですが、年齢が上がるにつれ、自分で必要なアプリを見繕う→親にインストールの許可をリクエスト、といったステップに移行していく必要があると思っています。
今は友達とのSNSも皆無ですが、そのうちメッセージをしたい、と言うようになるでしょう。魑魅魍魎のインターネットの海からの隔離だって、いつまでもはできません。そのうち距離を取らせるよりもいい付き合い方を模索させる時期が来るはずです。
あくまで2022年1月段階での、わが家の小4、小2の使い方でした。誰かのご参考になれば。
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