片親阻害の子供のこころ

こんにちは。Kinnyです。
今日は片親阻害という言葉を学習したのですが… 子供のころ、

 幼児決断

として、酒乱の父親を嫌いになる決断をしました。

それが、クライマーになってから、ナルシスト的な男性との関係性の難しさにつながっているのではないか?と…。

以前、作ったお話を共有したいと思います。姉の私と弟に起こったことを性別を入れ替え、子供にも読みやすいお話にして、書いています。

お話を書くことで、自分を癒す試み、です。

■パパを嫌いになるルールを守るショーンとジェーンのお話

「だめだよ、ジェーン、これは、パパからもらったおもちゃでしょ」

ジェーンは、ふくれっ面だった。ショーンも嫌だったけど、まぁ、仕方ないよね、と思っている。ショーンだって、自分の機関車をすてたのだから。

「この人形も?」ジェーンは、もう涙目だ。

「そうだよ、知ってるよね、ママがどうなっちゃうか」

「うん」

(挿絵: 子ども部屋の絵)

近所にある焼却炉に、とぼとぼ持っていく。

お友達にあげるっていう手もあるけど、お友達が使っているところを見たら、また欲しくなっちゃうから、焼却炉で焼く。ママは、パパのもの、ぜんぶ焼却炉で焼いた。

ジェーンは、まだ未練があるみたいだ。二人で、手をつなぎ、目をつぶって、思い切って焼却炉の口に入れる。

おもちゃたちは、ごうごうと燃えさかる火の中で、どろんと溶け、ジェーンの人形は、あっという間に黒くなった。

(挿絵: おもちゃが燃える絵 黒い人形)

パパには、半年に一度会うことになっている。ほんとは一か月に一回だったんだけど、ママがおかしくなってしまうから、半年に一回になった。

パパのことは、よく知らない。一緒に住んでいるときから、パパは、朝はいなかったし、昼頃帰ってきて寝て、また夜になると仕事に行くという生活だった。家にいても、パパの部屋は、シーンとしていて、少しでも物音をたてようものなら、ママが

「しっ!パパが寝ているでしょ」

という。(挿絵:シーンとしている寝室の絵)

だから、ショーンもジェーンもパパのことをよく覚えていない。最近は、半年に一回しか会わないから、どんどんパパのことを忘れていきそうだ。

一回目の面会の時のことをショーンは良く覚えている。パパがジグソーパズルをくれた。ショーンは、そのパズルを一週間かけて作った。別にパパに会いたかったわけじゃない。ただ、そのパズルが嬉しかったのだ。

ママはその一週間、ずっと不機嫌で、そして、土曜日におばあちゃんに電話をかけて、「ショーンが、パパからもらったパズルを嬉しそうにしている。パパはずるい。たまにしか会わないのに、子どもの心をお金で買っている」と言っていた。

そして、そのまま泣き始めた。

(挿絵: 泣いている絵)

僕とジェーンからは、全部、聞こえていた。

僕たちは、ママに連れていかれて、パパに会っていらっしゃいと言われたから、パパに会っただけだ。パパとは1時間くらいしか、会っていないし、それにパパに、おもちゃを下さい、なんて頼んだことはない。

だから、ママは、不公平だと思った。なら、最初から、パパになんか会わせなきゃいいじゃないか!家にいた時から、会っていないんだし!

ジェーンは、まだ小さいから、パパはね、パパはね…と家に帰ったら、パパの話でもちきりで、嬉しそうにしていた。でも、ジェーンも、ママが怒っていることは知ってる。

(挿絵: おんなの子)

パパとの面会が4度目の時、ショーンは、

「僕、もうパパに会いたくない」

って言った。そしたら、ママが喜んじゃった。

「もう、あなたには子どもたち、会いたくないんですって!」電話先で話している相手は、パパなんだろう。

ジェーンはがっかりしたみたいだったけど、これでいい、と僕は思った。

ほんとは、パパに会いたくないんじゃなくて、ママが狂ったようになるのが嫌なんだ。

ジェーンは、小さいころから、お腹を壊しやすい。パパの面会の日があると、一週間はママの機嫌が悪いから、ジェーンのお腹も、もちろん痛くなる。僕は、毎回トイレに付き合ってやらないといけなくなるんだ。ママはジェーンのお腹が痛いのは、パパのせいだと思っている。

(挿絵: ジェーンが、「おにいちゃん、あたし、お腹痛い…」と言っているところ)

正直、僕はパパとママが仲良くできないのは、どうでもいい。でも、僕たちを巻き込んでほしくないんだよ。

ジクソーパズルが燃える様子を見ながら、ショーンは、思った。

パズルより、平和が好きだよ、僕。

(お終い)

■ 解説

これは当時、6~7歳だった私と2歳下の弟の物語です。私は子供ながらに自覚があり、父を愛さない決断を母を救うにはしなくてはならないという自覚がありました。そうしないと、全員が共倒れになる、という危機感でした。

幼児決断: パパを愛さない、弱い者(ジェーン)を守る 
出来たスキーマ: 問題を回避する、弱い者を守る、臭いものにふたをして、振り向かないで前進する
健全な大人としての見解: 母親の問題だと切り分けて母親に対処させる、母親が乗り越えるべき課題
メンタルブロック: どうせ誰も分かってくれない
昇華: 第三の大人(メタ認知)を登場させ、子供に愛される夫への嫉妬を妻に辞めさせる。子供の愛の取り合いから、子供を愛す大人同士に転換させる。

■ 子供としての適切行動は何だったのか?

離婚した夫婦が子供の愛をめぐって、張り合うのはよくある。

しかし、当然だが、子供は両方に無条件に愛着をもっており、その条件の無さが、養育している親からは、理解できない。大人世界の愛は、条件付きだからだ。

それぞれの親は、相手の悪口を言ったり、相手をけなしたりすることで、父親から、あるいは母親から、子供の愛を引き離そうする。

しかし、子供は、無条件に生物学的な親を愛しており、それが心理学以前に、生物としての掟、となっている。

しかし、片方の親が他方を攻撃すると、双方が失われてしまうと、動物は、親がいないと生きてはいけないため、生き残りの戦略として、片方を嫌うという要求を受け入れます。これは受け入れざるを得ないために受け入れるだけです。

この心の動きのために、もしかすると片親疎外を幼児期に受け入れた子供は、大人になっても、理不尽な心理取引に応じてしまうかもしれません。

例えば、課長と部長が嫉妬しあっている場で、片方の肩を持つなどです。冷静に見れば、いがみ合っている課長も部長もどっちの肩ももたずに済むはずですが、子供時代の母親への認識…親へのロイヤリティ…と同じ行動を、必要のない職場で摂ってしまうかもしれません。

人によって現れ方はそれぞれだろうが、理性的心理行動ではなく、どちらがより可哀そうか?という天秤にかけた感情によって動かされるかもしれません。

さて、これ、分かったんだけどどうしようかなと思っています。

大人の都合で作られた歪んだ世界観…気が付くのも大変だし、気が付いた後に修正するにしても何をしていいのやら…。

私の場合は、7歳時点で自覚的だったので、まだ傷は浅いほうだと思います。弟はまだ5歳で意味も分からず父を憎むように仕向けられ、しかも、それが同性なのですから、大人になって問題が大きいのは、同性の側、弟の側だったかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?