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ボルダリングのリスク管理は、ランディングですよ
■ ボルダリングジムから、外ボルダーへ
外ボルダーへ新人を導入する際のリスク管理を書いておきます。
1)降りること(ランディング)
ちょっとシミュレーションしましょう。
あなたは岩場につきました。首尾よく、初めての外岩ボルダリングで、外ボルダー登れました。ハイ、そのあとどうなりますか?
登ったら?次はどうなりますか?
当然ですが、登ったら、降りなくてはいけませんよね。
あったりまえじゃーん!って思いますが、岩場に来る9割の人が気が付かないで、登ることだけを考えてきます…。これはリードでも同じです。
登った場所から、安全に降りれる、ということが第一に安全管理の要です。
登ったら降りることが付いて回る…という、この当たり前のことですが、リードをする人含め、ほとんどの新人が見落とすのが、不思議でなりません。
山登りをしないから?山登りをしたら、普通は降ります。ですので、普段、山登りをしないで、クライミングだけ…それも町中のボルダリングジムだけの人が陥る盲点です。逆に教える側にも、当然すぎて、盲点になっています。
たぶん、その理由は、”無意識(前提)”、にあるのではないでしょうかね?
ボルダリングジムでは、降りるプロセスがない。
日本各地のボルダリングジムの数がうなぎ上りに増え、クライミング人口60万人とか言われていますが…、ジム育ちの人が、ジムでグレードを上げていく中で、全く出てこない技術が、降りること、です。
外岩のボルダリングでは、専門用語で
ランディング
と言われています。綴りはLandです。飛行機が着陸するのと一緒ですね。一般的には、
裏から歩いて降りる
のが普通です。一般に、外のボルダーでは、大体は、傾斜の緩い場所があり、裏から歩いて降りれるようになっています。
しかし、裏から降りれないような形状のボルダーにも、課題が設定してある場合があります(上級者向け)。降りるほうが核心になりますね。登ったところをクライムダウンで降りることになるかもしれません(登るより難しい)。こういうボルダーでは、梯子の持参が必要かもしれません。
盲点になりすぎており、ボルダーのトポに、降り方が書いていない。
そのため、と思いますが、多くの人が、どうやって降りるか?を確認せずに登る。降りることが、それだけ盲点になっているということです。
岩場で3mのボルダーから、降りれず、やむを得ず、飛び降りているクライマーを目撃したことが何度もあります。これでは、登るよりも降りるほうが危険です。
着地した場所も、岩であれば、衝撃の吸収がないため、非常に危険です。着地する場所が岩であるシークリフのボルダーよりも、土である、山にあるボルダーのほうが、初心者向き、です。
クライミングインストラクターの講習会では、最初に降りる場所を確認した後しか、ボルダーには取りつかないです。
2)登り終わりのマントリング
ボルダリングジムでは、トップアウトする習慣がない。そのため、外ボルダーで初めてマントルすることになる人も多いです。これも、外ボルダーを新人さんに導入する際に、見過ごされているリスクです。
外のボルダーでは、最後にかならず、マントリングというムーブが出てきます。
ボルダリングジムでは両手マッチで終わりです。マントルすることがないので、初心者はマントルのムーブに不慣れです。
マントルで落ちると、アンコントロールな墜落になり、マットの上にランディング(着地)できない可能性があります。
3)マットの量や厚さ
ボルダリングジムのマットの上に落ちるのと、クラッシュパッドの上に落ちるのでは、どんな差があるか?それを考えてから、外ボルダーに行きましょう。
ボルダリングジムのマットは、人ひとりでは動かせないほどの重量です。厚みは50㎝以上もあります。一方、クラッシュパッドは、厚くても20㎝ほどです。その上、小さく、隙間に落ちてしまう可能性もあります。
したがって、ボルダーでも、トラバースではなく、直上するだけの課題が落ちることを想定すると、マットを移動したりせずとも登れる、初心者向き課題と言えます。
つまり、安全の量=マットの数。
ボルダーはビレイヤーが必要ないので、一人でも登れる、と思っている人も多いですが、マットの量こそが安全の大小を決めます。
ということは、セーフクライミングには、マットの持ち寄りが必要だということです。
このことは10年以上登っていても、分かっていない人が多いです。一人でボルダーに行き、誰も下のマットを動かしてくれる人がいなかったら、地面に落ちてしまう可能性もあります。ボルダーこそ大人数で行き、マットを多数持ち寄りましょう。
■ ボルダーにもロープを出す場合もある
今は、ハイボルダーというカテゴリーになっています。しかし、人間は基本的に、12~13kNの衝撃で壊れます。これは、3mの高さから落ちても壊れるということです。
また、人体の壊れやすさは、性別や年齢でも異なります。筋肉隆々の18歳の男性が8mの高さから落ちて、無傷で済んだからと言って、他の人も同様であるとは限りません。おばあちゃんたちは、室内で物に躓いただけで、骨折していますよね?
余談ですが、ボルダーでも、開拓者はロープを固定し、ぶら下がって、掃除しています。つまり、オンサイトはないです。現代の開拓にあるのは、頑張ってフラッシュです。
■ 気温、天候、日射、虫… 普通のアウトドアのリスクはハイキングで出てくる
ボルダリングジムでの活動が室内なので、そこから外ボルダーに行く場合に、一般的に指摘されるのが、お天気だったり、野外生物だったりの問題です。
しかし、それらは、あまり盲点にはなっていませんし、誰でも思い付き、普通にハイキングに行くことで、一人でも学ぶことができます。
■ まとめ
ボルダリングジムから、外ボルダーにステップアップしたい場合、
1)登りたいボルダーの降り方をまず確かめる
2)マントルを十分練習する (例:マントル練習用のボルダー)
3)たくさんマットを持っていくために仲間を作る
4)ハイキングで、天候、野外生物対策になれる
以上です。
新人ボルダラーの方のご参考になれば幸いです。