小川山で初心者が登るとき…の注意点
こんにちは。クライマーのKinnyです。
最近、海外からのクライマー君から、
「小川山、一緒にどうですか?」
というお誘いが来た。
「どの課題を登りたいの?」
と聞いたら、
「みんなが登っている後ろをついていくだけさ」
というお返事。
とほほ…。
これでは、一緒に登れないなぁということになった。
■ ”みんなが登っている課題のあとをついていくクライミング”が、できない小川山
誰も言語化しては教えてくれないので、ジムクライマーから外岩デビューしようという人は大変です。
一般的にリード課題があるクライミングジムみたいに、「〇〇って課題おもしろかったよ~登って見たら?」みたいな具合には、小川山は作られていないようです。
小川山が作られた歴史を考えると、もともとヨセミテに行った人がショックを受けて、これを日本にも…と思って作った。そのため、ヨセミテのような倫理観で出来ている、というのが、小川山。
登る課題は自分で選ぶ、です。
東南アジアのクライマーにとっては、ヨセミテに行くより安くつくのではないかなと思って、友人のタイのクライマー君に薦めていました。
海外では、クライミングが、日本でいうボーリングくらいの気楽なスポーツになったので、
”登る課題選び”
も、上記のごとくお気楽です。
しかし、小川山では、それは許されていないです。
みんなのあとをついて登っていくというのは、ないです。
そこが海外から来ている初心者のクライマーには難しいです。海外のクライマーでも、ヨセミテで教育を受けた人や、スラブやトラッドを登るのが、登り慣れて、自分で課題を選ぶ力がある人向きの岩場です。
一方、先輩クライマーのビレイヤーをする、はあります。その場合、ビレイヤーには課題の選択権はありません(笑)。先輩のフォローで回収を担当してください。こんな簡単なのしか、登れないのか?というのもなしです。先輩は大きなリスクを背負って登っています。
■ そうはいっても選ばないといけないときの注意点
そうは言っても、どこかから始めないといけないのですから…
気を付けないといけない大原則は…
1)易しいグレードは、安全という意味ではない
2)トポのグレードをそのまま信用してはいけない
3)外岩の5.9はインドアの5.9とは別物。特にジムから入った人は要注意。
4)スラブも、クラックも、インドアジムでは学べない
これらは、トポに言語化されていません。
新人クライマーは誰からも、このように教えてもらえることがない、というので、無邪気に取りつく人が多く、事故が後を絶ちません。
以下、詳述です。
1)易しいグレードは安全という意味ではない
小川山では、5.9以下のグレードで、トポで★マークが付くような、面白いとされるルートは、
・ボルトが離れていることが多い(ランナウトという)
・NP(ナチュラルプロテクション)が必要 (カムをつけ足して登る)
場合が多いです。
リードで登るとなると、5.12以上のボルトルートよりも、リスクが高いルートが多いので、クライミング初心者がグレードだけ見て、安易に取り付くのは危険です。
小川山では、むしろ、低いグレードがよりリスクが高い、という課題設定になっており、これは暗黙知とされています。
2)トポのグレードをそのまま信頼してはいけない
5.9と書いてあるので、5.9と思って取り付いたら、5.10cというのは起こりえます。
インドアのジムでは、ありえないですが、外の岩場では、小川山以外でも頻出する事態です。
3)外岩の5.9はインドアの5.9とは別物。
特にジムから入った人は要注意です。
インドアの5.9なんて、一体これの何が難しいの、というくらい簡単です。そのイメージで外岩の5.9に取り付いたら、ひどい目に遭います。インドアの5.9と同じくらいの簡単さだったのは、私の経験の中では、台湾で登った5.4だけでした。
おおよその感覚で、ボルダリングジムの5級が、大体、外岩の5.9です。ボルルジムの3級で、5.12程度と言われています。
5級が楽に登れる、というのが、一般的な外岩デビューの目安です。リード壁で、5.9とあるのは、ボルダリンググレードに直すと、10級とかでしょう…
インドアの5.9と外岩の5.9を同じ内容だと思って取り付くと、実際の登攀力が大きくかけ離れていることになります。インドアで5.11が登れても、外岩では5.11は全く歯が立たないでしょう。
インドアのグレードは、最低でも5級以上を登れるようになってから、外の岩場に出ましょう。また、外岩グレードとは、インドアのグレードは別のクライミングとして理解しましょう。
4)スラブとクラックはクライミングジムでは学べない
インドアジムで5.13が登れるクライマーも、ヨセミテでクラックの5.9で墜落死しているレポートが、AACの年次レポートにも載っています。
スラブは、先輩にトップロープを張ってもらって学ぶもの、です。
クラックも同じです。
どちらもクライミングジムで習得することができないテクニックです。
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