萩原聖人の五萬切りについて(文・黒木真生)
ドラと赤が2枚ずつで三色が見える。何を切る?
皆さんはこの手牌から何を切るだろうか?
ドラが対子で赤が2枚あるイーシャンテン。345の三色が見えて、場に切られている関連牌は、1ソーが1枚と7ソーがドラ表示牌含めて2枚といった状況。ルールはMリーグルールである。
こんなもん、5ソーしか切る牌ないだろう。そう思う人が大半ではないだろうか。私も脊髄反射でノータイムで5ソーを切る。
ただし、この打牌の弱点は1ソーをツモってきた時である。せっかくここまで良い手だったものを、五萬と8ソーのシャンポンリーチに行かなければならない。アガったら大きいが、相手がど真ん中の五萬やドラの8ソーを切ってくれるだろうか。たぶん、ツモらないとアガれないだろう。
あと、5ソー切りの弱点はもう1つ。鳴いてテンパイを取った時に147ソー待ちになり、1ソーをツモってしまうとフリテンになるということである。
5ソー切りのデメリットを考えて、何か嫌だなーと思う人は2ソーに手をかけそうだ。
2ソーを切っておけばタンヤオが確定する。愚形リーチを掛けなくても満貫、ハネ満のテンパイを維持しながら好形変化を求めることができるのだ。
だが、47ソー待ちのテンパイになった場合に、とても損をした気分になる。四萬とか五萬とか8ソーとか、苦しいところが入るんなら147ソーで良かったじゃないかと。そういう気分になるのだが、これ気分どころではなくて、1ソーでアガれないというのはかなりアガリの確率を下げることになる。
4ソーは自分で1枚使っていて7ソーはすでに2枚見えているのだ。しかもドラ表示牌なので、ヤミテンでも場には出づらい牌である。そう考えると、この手牌の待ちのポイントゲッターは実は1ソーであり、彼を早々に見切ってしまうのはもったいないのである。
で、この手牌の持ち主の萩原聖人は何を切ったかというと、何と五萬だったのである。
萩原さん、さすがにそれはないわ。さすがにドラ4枚の手で三色を狙う必要ないんじゃないか。うーん。正直そう思った。
そのままスルーしそうだったのだが、Twitterで私がフォローしている方が「何切るシミュレーター」にこの手牌を入力してみたら意外と五萬切りの期待値が高かった、とつぶやいていたのを見て「あれ?」と思った。
5ソー切りが1位で、五萬切りが2位、2ソー切りが3位なのである。
そうなの? ふーん。
そういえば、私は萩原の「麻雀脳力がハンパではない」ことをよく知っているはずだった。ただ「三色にしたい」というだけで打牌を選ぶわけがないのも知っていた。シミュレーターとやらが何をもって順位をつけているのかわからないが、これはスルーせず、本人に聞いてみる価値があるのではないだろうか。
しかも、もうすぐ8月21日で、萩原のお誕生日ではないか。これは絶対ご本人に直接聞いてみよう。
本当はさっさと聞いて21日中にアップしたかったのだが、別の仕事の締め切りが迫っていて、二日間ほぼ徹夜仕事をしていたので、無理だったのである。
「お誕生日おめでとうございます」というお祝いもそこそこに、打五萬について聞いてみた。
「ダメかな?」
いや、ダメってことはないんですけど、普通の人は5ソーとか2ソーとか切るじゃないですか。
「オレ、フツーじゃないし(笑)」
いや、それは前から知ってるんですけど。
「5ソー切って1ソー引いてシャンポンでリーチっていうのはオレの麻雀じゃないからね」
それも知ってるんで、だから2ソー切るかなと思ったんですよ。
「2ソー切りも考えたけど、この手牌が345になるとは限らないでしょ? 456になる場合だってあると思うよ。そもそもすんなりテンパイするかどうかわからないし。たとえば二萬とか六萬引いたら345には固執しないでリャンメン形にするから、そうしたらソーズは147受けが残っていた方が良くないかな?」
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