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人はなぜ他人を叩くのか



【炎上のメカニズム】

 昔からテレビを見ながら文句を言う人はたくさんいた。週刊誌で芸能人の不倫記事を読んだ人が、喫茶店で何時間もその話をするとかもあった。
 SNSが生まれるずっと前から、人は自分と関係ない他人のことに異常な関心を持ち、叩いたり喜んだりしてきたわけだ。
 インターネットが普及してからは、そういった「叩き」行為が全世界に届くようになった。
 テレビで麻雀番組を見ていたオッサンの「なんでこいつはこんなに打牌強打するんだ!」という発言は、かつては同じリビングにいる家族にだけ届いていた。だが、ネットにそれが書き込まれると、地球の裏側にいる人まで聞かされることになる。
 それが「このオッサンの一言」で済めばスルーされるが、同じようなオッサンが100人以上になると「勢いを持った塊」になって存在感を示すようになる。
 存在感が生まれれば、それを見た人がさらに何らかの意見を言う。中には批判している人たちのことを批判して、ケンカになるケースもある。
 これがいわゆる「炎上」という現象で「X」では毎日どこかで何らかの火の手が上がっているから、珍しいものでもない。

 麻雀界にも炎上事案はそこそこあるし、私も「麻雀界炎上事件簿」という本を出したぐらいだから、もう慣れっこではあるのだが、ずっと不思議だったことがある。
 それは「何で他人のことでそんなに必死に怒れるの?」ということだ。
 パリで森山茂和会長が、魚谷侑未プロにお説教したという話を公開したら「酷い!パワハラだ!老害だ!退場しろ!」と騒ぐ。
 当の女性プロ本人が「ぜんぜん大丈夫です」と言っても意味はなくて「老害!早く引退しろ!」という声は鳴りやまない。
 私は最初「魚谷プロのためにパワハラ会長を叩いてやる!」という気持ちでやっているのだと思っていた。
 が、違うのだ。
 皆、自分の身を守るためにやっていたのである。
 つい先ほど、そのことに気づいた。


【自己投影】

 あるネット動画を見たAさんから質問があった。
 「この人はなぜ、叩かれるのが分かっていながら、このような動画をアップしたのか」というものだった。

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