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最強戦で牌が欠けたトラブルは誰が悪いの?

【圧倒的に悪いのは…誰だっ!】

 4月9日の「麻雀最強戦・女流最強スター決戦」で麻雀牌の一部が欠けているのが発覚した。
 
 決勝戦の南2局に入ったところで、選手たちが何かを言っているのが分かった。

 こういう時、私は走って対局スタジオの方へ行く。
 本当は立会人として常にスタジオの中にいるべきなのかもしれないが、他の仕事もあるため、控室があるエリアでモニターを見ていることが多いのである。

 卓の近くには竹書房の社員の方が何名かいる。だいたいのことは彼らがやってくれるのだが、今回の件は「異例」だったため、彼らは事情を聞くだけ聞いているという状態だった。

 すでに配牌は終わっていたが、日向藍子プロの配牌にあった2ピンの背が欠けていた。いわゆるクラック(ひび割れ)ではなく、小さなノミで削ったような欠け方で、誰がどこから見てもハッキリと分かる欠損だった。

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 麻雀牌のガン牌というのは、だいたいはクラックと呼ばれるひび割れだ。麻雀牌の中には磁石が入っていて、その磁力を利用して全自動卓の中で拾い上げたり積んだりする。
 
 昔はその磁石が板状になっていたため、膨張率の差で牌にひびが入ることが多かった。
 金属は気温で膨張したり縮んだりする。アクリル樹脂も同じように温度によって変わるのだが、その変わり方が違うから、ひび割れが生じるのである。

 だから古い牌は茶色いひび割れが多かった。古い雀荘の古い卓の古い牌で麻雀をやると、全部にいろいろなひび割れがついていて、覚えるのもめんどうくさいガン牌だらけということもあった。

 現在の牌は、磁石が板状ではなく、小さな球状になっている。磁石のつぶつぶがアクリル樹脂の中にまんべんなく散らされているので、膨張してもひび割れがしづらいのである。
 
 だが、今回のケースはそういうひび割れではなく、外からの衝撃によって欠けたものであった。

 卓の中で混ざる際に機械にぶつかってそうなってしまったのか。指輪など、誰かのアクセサリーに当たってそうなってしまったのか。
 
 原因はまったくわからない。

 だが、ハッキリと、この件で悪いのは私と金本晃委員長だ。

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【選手に申し訳ないことをした】


 麻雀番組を生放送しているのに、予備の牌がないというのはおかしい。絶対にダメなことである。

 なぜなら、最も必要なのが麻雀牌だからだ。

 私が若い頃、麻雀の生放送はフジテレビの「THE われめ DE ポン!」しかなかった。
 
 その現場には常に予備の麻雀卓が置いてあった。
 そして、その卓を提供していたマツオカの社員の方が何人かいた。もし故障などがあっても、マツオカの社員さんが対応できる体制だった。
 
 生放送ではなかったが、モンドでも予備の牌はあったし、麻雀卓の代理店アルバンの方がいつもいらっしゃった。

 だから卓が壊れたとか牌がどうにかなったということで、収録や放送ができなくなったことはない。

 今回は、まず選手の皆さんにお詫びしなければならない。
 
 私は主催者の社員ではないが「麻雀」にまつわること全般を担当しているのだから、麻雀牌の予備がないというのは私の落ち度である。

 私の仕事は、選手にできるだけ良い環境で対局してもらい、良い麻雀を打ってもらうことである。
 なのに、全自動卓の青い牌を使わず、黄色い牌だけで対局をしてもらうという、とんでもないお願いをしてしまった。

 あの時はそうするしかなかったとはいえ、本当に申し訳ないことをしてしまった。

【最も重要なのは麻雀牌】

 私たちが麻雀対局番組の生放送をやる際に、一番ドキドキするのは「選手がちゃんと来てくれるか」ということである。
 
 だが、よく考えてみたら、本当に大事なのは麻雀牌がちゃんと揃っていることだ。
 
 選手が来なければ、それは選手の責任だ。キャストに連絡をする担当は私だから、私にも責任はあるが、不可抗力という場合もある。
 
 対局者は最悪の場合、誰かを急遽呼んでも良いし、現場にいる誰かが急遽出場してもなんとかはなる。

 全自動麻雀卓が壊れたらどうだろう。

 生放送で手積みの麻雀を見せるのはどうかと思うが、最悪の場合「麻雀」をすることは可能だ。
 
 だが、牌が揃っていないと「麻雀」は絶対にできない。

 だからやっぱり、最低限、牌のスペアは必要なのである。

 10年前、私が麻雀監修を担当するようになった時、全自動卓の予備を現場に置いておくようにお願いした。

 だが、現実には難しいという答えだった。
 
 理由は「金がかかりすぎる」ということであった。

 麻雀卓をレンタルすると、普通は1卓でも10万円以上かかる。
 搬入、搬出の手間、人件費など、最低でもそれぐらいは必要だ。
 以前、アルバンの方に聞いたが、放送のために卓を提供すると、その1日で卓は「中古」になるため、たとえば新品で100万円の卓なら半額ぐらいになってしまうという。
 それを毎月お願いされたら「無理ですごめんなさい」という答えになって当然である。

 だから現在はスタジオに置きっぱなしになっている。美術のセットなどを置く倉庫があるのだが、そこにあるのだ。
 それを2台にしようとすると、その保管のための費用もかかる。

 予備の卓を高確率で使うのであれば、その費用も支払うのだろうが「ほぼ間違いなく大丈夫」というぐらい、今の全自動卓は壊れない。それに対しお金を払い続けるのは無駄、という気持ちもよくわかる。
 現に、10年以上やって自動卓が壊れて動かず、対局ができなくなったということはない。

 だからまあ、百歩譲って全自動卓は予備のない状態で全ツッパするとしても、やはり麻雀牌ぐらいは予備を用意してもらえるよう、もっと強く私が主張するべきだった。
 
 今回はとにかくその一点に尽きる。

 私は、以前は番組の体裁を一番に考えてトラブルを恐れていたが、今は違う。
 対局が増えて、ファンが増え、麻雀対局番組において最も重要なのは「選手にちゃんと打ってもらうこと」であることに気づいた。
 だから、道具はしっかり管理し、トラブルが起きないようにしなければならない。
 
 そんなことは当たり前なのだが、それができなかった。

 猛省する。

 視聴者の皆さんにもご迷惑をかけた。

 大変申し訳ありませんでした。

(了)

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