麻雀の世界選手権て何?※無料記事
【幻の第1回大会】
今は2022年8月22日の21時すこし前。成田空港に私はいる。21:40のフィンエアー・ヘルシンキ行きに乗る前の時間を利用して書いているのだ。
ヘルシンキで乗り換えてウィーンへ向かう。
オーストリア・ウィーンで開催される2022WRC(World Riichi Championship)Viennaに出場するためだ。
Riichiとは「リーチ麻雀」のことを指す。つまり「日本式麻雀」のことだ。
日本人は「リーチ」をreachと表記したがる。確かに(テンパイに)「届いた」みたいな意味合いがあるから、reachにしたくなるのだろうが、英語圏の人々のセンスは違ったようだ。
もちろん、reach案もあったようなのだが、やはり「日本」ということを重く見て、日本人が「リーチ」をタイピングする際のriichiをそのまま新しい言葉にしたのであった。
で、reachならreach mahjongとしないと意味不明になるが、新しく作られた言葉であるriichiなら、わざわざmahjongをくっつけなくても良いという理屈で、ただのriichiとなった。
そもそも、なぜ世界中の人たちが日本式ルールの麻雀をやるようになったのだろうか。
前にもnoteの記事にしたが、2002年に麻雀の世界選手権は開催されている。
ただし、それは1999年に中国の体育局(日本でいえば文部科学省のようなもの)が制定した「国際公式ルール」の大会だった。
世界で唯一、国家が制定した麻雀のルールだから「権威」はある。ただ、中国ルールを根幹にして定められたものだけに、日本人にはとっつきづらいものがあった。
たとえば、フリテン則がない。
相手が捨てた牌を切って「フー」と言われることもある。「フー(和)」は「アガリ」の発声であり「ロン」とか「ツモ」とは言わない。
1ハン縛りがない代わりに、安すぎる手はアガれない。役は88もあるのだが、それらを足して、ある一定以上の点数にならないとアガれない。
ツモアガリも出アガリも大差ない。厳密には少し違うのだが、あまり差がないので、放銃はさほど怖くない。
それよりも、高い手になるような鳴きをさせる方がよろしくない。
大まかにいえば、そういったルールなのである。
このルールの制定には、竹書房の創業者であり、当時「麻雀博物館」の理事長を務めていた野口恭一郎氏や、そのブレインたちが協力した。アガリ役が何百もあったのを「縁起の良い末広がりで」と説得し、88まで減らすなど、ゲームのシステム作りにかなり尽力したという。
その「国際公式ルール」の世界選手権が2002年に中国の寧波という都市で開催される予定だった。
寧波は麻雀発祥の地と言われている。
陳魚門という人が麻雀を発明したと言われていて、その人が生まれたのがその寧波だから発祥の地という理屈だ。
寧波には麻雀の記念館も建設され、世界各国で予選会が開催されて、皆が「麻雀の世界選手権が発祥の地で開催される」と思い込んでいた。
が、開催の2か月ぐらい前になって、急に「開催ができなくなった」という連絡が中国から竹書房に入った。共産党の偉い人で、世界選手権のことを動かしていた人物が失脚したという話だった。
野口氏は「それは困ります」と抵抗したが「できないものはできないんです」で終わりだった。
ここで搭乗の時間になってしまった。
続きは後日。
(了)
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