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世界選手権と永久欠番 ※無料記事
【永久欠番は縁起が良い?】
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パリ大会の私の選手番号は23だった。
阪神タイガースの名遊撃手で、日本一の監督にもなった吉田義男さんの背番号だ。永久欠番といって、以後、タイガースでは誰がつけることも許されない番号である。
最終的な順位は11位だった。11は阪神タイガースの名投手で、天覧試合で長嶋茂雄にホームランを打たれ「あれはファールだった」と死ぬまで言い続けた村山実さんの背番号だった。当然、永久欠番である。
ラスベガス大会の選手番号は10番だった。
10はプロ野球黎明期に活躍した阪神タイガースの四番打者で、物干し竿バットと呼ばれる、規定ギリギリの長いバットを振り回していた藤村富美男さんの背番号だ。阪神で最初の永久欠番である。
ラスベガスでもランキングは11位で終わった。
そして今回、私の選手番号はまたしても10番。初日の成績は23位で終えた。
しかも途中11位という成績もあった。
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とにかく、なぜか世界選手権においては、私には10、11、23という番号に縁がある。
このままだと、また11位になりそうなのだが、今回はちょっと違うのが、1と6にも縁があったことだ。
1はショートで2,000本安打を打った鳥谷敬選手の背番号だ。永久欠番ではないが、現在、誰もその番号は使っていない。
6は金本知憲選手だ。広島カープから阪神に移籍した選手だが、連続試合フルイニング出場などの世界記録を持つ「鉄人」だ。6番も現在使用している人はいない。
つまり、1と6は暫定的な欠番になっている。
何が言いたいかというと、今回は最終的に「11」ではなく「1」になったらいいのにな、という話である。
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現在、大会2日目の2試合目が終わったランチタイムだ。結構長くとってあり、すでに食事を終えても40分ほど時間があったので、この原稿を書いている。
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朝イチの試合はデキが悪すぎた。
下家のイタリア人選手が毎回のように早いリーチを掛けてくる。5回中4回はリーチのみだったが、私が放銃した時だけ一気通貫の高目だった。
一二三三四五66白白 チー七五六 ドラ白
ホンイツにしようと思っていたのだが、打ちづらい6ソーが重なってしまい、ドラの白の後ヅケとなった。
イタリアおじさんリーチは2ピンの対子落としリーチだった。
二⑨七②②西(リーチ)
なんだか気持ち悪いリーチだ。ホンイツだったら嫌だし、6ソーは切るまいと思っていたのだが、6をツモってきてカチンときてツモ切ってしまった。
北北12345789③④⑤
北家なので5,200点だが、これが結構痛かった。
というか、マンズがだいたい通っていたので、一萬とか五萬を切って、白が刻子になったらタンキ待ちにするように打つべきだった。
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どうも昨夜からイライラしていて、精神状態がよろしくない。 一応は選手として試合に出ているのだから、恥ずかしいプレーをしないように、部屋に戻って気を鎮めた。
自分がなぜこのような大会に出ているのか。ただ勝ちたいだけだったら出るわけがない。海外旅行には興味がない。ただ、偶然とはいえ、自分が職業として麻雀を選んだ結果、こういう「成り行き」と出会ったわけである。
海外のプレーヤーたちが「日本式の麻雀が楽しい」と言ってくれて、世界中から集まってくれている。 その「現象」に対して感謝しているから出場しているのである。
麻雀と関係ない日常のことで気持ちをクサクサとさせ、それを卓上に持ち込んではならない。ましてや、世界中のプレーヤーたちの目の前で、少しでもしんどそうな顔をしてはならないのだ。
部屋の中で自分に言い聞かせ、ついでにジャケットを着替えた。
https://twitter.com/kurokimasao/status/1563086764235161601?s=21&t=fymN8jx5yXSK67V62C3xHA
ツカないからジャケット変えました#Riichi2022 pic.twitter.com/HODSPwAANC
— 黒木真生(日本プロ麻雀連盟) (@kurokimasao) August 26, 2022
2戦目は2着で終われた。
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あと3戦、少し上積みすればベスト32である。
だが、勝ち残る以上の「意義」があることは忘れたくない。
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(了)
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