読者アンケートで選ばれた女流プロ対談 木崎ゆう(2024年)&篠原冴美(2023年)
麻雀最強戦ファイナルまであと1カ月を切った。
最強戦実行委員会は昨年から、雑誌「近代麻雀」の読者アンケートで最も得票数の多かったプロに最強戦の予選に出場してもらう方式を採用。昨年は篠原冴美プロが、今年は木崎ゆうプロが堂々1位の得票数で最強戦予選に参加して戦い、見事ファイナリストになった。
今回は、このお2人に竹書房に来ていただいていろいろなお話を伺った。
じつはお2人は友達どうしで、一緒に食事に行くこともあるという。ところが、お話を聞いていると、いろいろな面でまったく正反対であることが分かった。
例えば、自分の麻雀の強さについて、篠原プロは「ほとんどのプロは自分よりも強いので、勉強させてもらうことがたくさんある」と言うが、木崎プロは「強いと思う人と打った事がない」と言い切る。
麻雀の勉強について篠原プロは「週3回、Mリーグルールと公式戦ルールの勉強会に参加している」が、木崎プロは「負けたら勉強しようと思うけど今のところその必要性を感じないのでまったく勉強したことがない」と言う。
読者アンケートで1位になって予選を勝ち抜いてファイナリストになった、という部分は共通しているのに、こうも違うものかと驚いた。
しかし、お互いを否定し合うような展開にはならず、対談は終始、笑顔の絶えない楽しいものになった。
その実録を、読んでいただきたい。
1位になるのは大変
金本「まずは近代麻雀の読者アンケートで上位になったことについて、振り返ってもらえますか?」
篠原 「一番最初、アンケートの途中経過を見たときはびっくりしました。どんな人がエントリーしているのかな、と思って見たのに、そこに自分の名前があったからです」
金本 「あのアンケートは、初めての試みということもあって東京での女流リーグに参加しているプロ全員の名前を出して、投票の対象とさせてもらいました。だから、エントリーした覚えがないのnoteに名前がのって驚いた、という人がほとんどです」
篠原 「そうですよね。私は自己肯定感が低い人間なので、自分からエントリーするという行動には出なかったと思います」
金本 「勝手に名前を出されて人気投票の対象になって、ムカつきましたか? あの人選はじつは、ちょっと怒られたりもしたんですよ」
篠原 「そんなことないです! ムカつくというよりは、ものすごい圧を感じました。
麻雀プロをやりながらタレントの仕事もやっていて、SNSのフォロワー数も麻雀プロの中では多いほうなのに、投票結果が出たときに上位に入ってなかったらどうしようと思いました。少なくとも10位以内には入っていないと、各方面に影響が出てしまうだろうな、と不安で。自分のブランディングというか、『篠原冴美は人気がないんだ』と思われることで仕事にキズがつくと思うと、大変だと思いました。
だから、『ここに載ったからには頑張ろう』と思ったんです。
今になって思えば、あのアンケートがなかったら、今の私の人生はこうなってなかっただろうなと思うのですごく感謝してます」
金本 「木崎さんは、昨年は対象になってなかったですよね」
木崎 「私はリーグ戦に出ていませんから」
金本 「最高位戦のプロなのに?」
木崎 「大阪を拠点にして活動しているので、リーグ戦のために東京に出てくるのが大変なんです。関西の女流リーグに出ていたこともあるんですけど、そこで昇級したら東京に来ないといけないし、他の仕事もたくさんやっているのでなかなか時間が取れなくて。せっかく昇級したのに東京に行くことを避けるためにまたわざわざ関西の下位のリーグに参加したりして、それではやってる意味がないなと思って今はリーグ戦に出ること自体をやめています。正直言うと、麻雀をあまり打ってませんね。打つとしても三麻です。最強戦までに四人打ちをやっておかなくちゃ!」
金本 「でも、今年はアンケートで1位でしたね」
木崎 「去年の投票の時『木崎さんの名前があってほしかった。応援したかった』と言ってくれる方がいて。だから、今年『投票企画がありますがエントリーしますか?』という案内が来た時に迷わずにエントリーしました。ファンの方は最強です」
篠原 「私は自信がないから自分から行動できなくて、自らエントリーするタイプではないので、最初からエントリー方式だったらその機会がなかったと思います」
木崎 「去年は、私のファンの人で『木崎さんの名前がないから篠原さんに投票したよ』って言ってる人もいました。お礼の写真目当てだったみたいだけど」
篠原 「私にたくさん投票してくれた方には、お礼の写真を送ることにしたんです」
金本 「その効果があったんですね」
篠原 「これは私がやり始めたことではなくて、先輩がやっておられたのを参考にしてみたんです。投票するためには雑誌を買ってもらわないといけないし、ハガキを書いたりするのも手間だし、それでもそのお金や労力を使って私に投票してくださる方に何か御礼をしたいと思って。投票して、その写真をダイレクトメッセージなどで見せてくれた人には、公開していない自撮り画像にコメントを付けて返信することにしました。
誰でも見られる公開済みの写真じゃなくて、ちょっと角度の違う写真とか別のショットの写真をコメント付きで。
お礼の画像を送ることについては、SNSで叩かれたりもしましたけど、ファンの中には『俺たちはお礼の画像が欲しくてやってるんじゃないから』と言ってくれる人もいました。ファンの皆さんに支えられて1位になれて本当にうれしかったです」
木崎 「去年は私から見たら、サミーちゃん(篠原プロ)が圧倒的1位で、それに追いつくために他の人達が必死で頑張ってるなあ、という感じでしたね。サミーちゃんはこんなに人気者なのに更に努力していてすごいなと思います」
東京ではまだ無名の木崎プロがなぜ1位に?
金本 「その戦いに、木崎さんは今年自ら参戦してみてどうでしたか?」
木崎 「思った以上に大変でしたね」
金本 「去年上位にいたのに今年はエントリーしなかった人もいました……」
木崎 「その人たちは去年やってみてすごく大変だったんだろうと思います。私も実際にエントリーしてみると、自分よりもファンの方たちが大変な思いをしてくれたと思います。雑誌を買いに行かないといけないし、1枚1枚ハガキを書かないといけないし。私はファンの人同士が仲がいいので、票を取りまとめてくださる人がいて、地域ごとに担当を決めたり、いろいろ工夫して分担してたくさん投票してくれました」
金本 「じつは僕、このアンケートをするまで木崎さんのことを知らなかったんです。票がいっぱい集まって来て『この人いったい誰だ?』と思ったんですけど、木崎さんのファンってどういう方たちですか?」
木崎 「大阪の麻雀店でずっと働いてるので大阪にファンがたくさんいてくれるのと、パチンコのイベントに来てくれるファンと、ボートレースのファンですね。月に1回、山口県のボートレース徳山というところでYouTubeの公式番組のMCをしているんです。普段から2000~3000人の視聴者がいますし、大きなレースになると何万人もの方が見てくれます。そういう方たちに支えられて、1位になれたんだと思います」
金本 「たくさん投票してくれた方へのお礼は? 写真ですか?」
木崎 「ありません! 私は麻雀でしか返せないです。『最強戦に出させてください! 出してくれたら絶対勝つので出させてください!』ってお願いしました」
最強戦に出て変わったことは?
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