私設Mリーグダービー②全盛期の選手は誰だ?【平岡陽明】
仲間内でMリーガー4人を取って(チームはバラバラ)4人の総合成績を競い合うことを始めた著者たち(おじさん)。
勝手にオーナー気分が味わえて楽しいらしい。詳しく読みたい方はこちら↓(読まなくてもこの話は楽しめます)
ドラフト会議の日が迫ってきたというのに、私は指名選手を決めかねていた。
昨年の「total -779(渋川難波 -105 堀慎吾-124 近藤誠一-195 魚谷侑未 -355)」という歴史的大敗により、選択に自信が持てなくなってしまったのだ。
そこで私はまず2つの大方針を定めた。
1 昨シーズンから全選手を入れ替えること。
2 いまが全盛期にある選手を指名すること。
まず「1」について。
私は2年連続で堀、近藤、魚谷の3名を指名していた。
初年度はそれで優勝したから、動かしづらかったのだ。
だが昨年このメンバーで大敗した以上、チームを刷新するのはオーナーの義務だろう。
「わたしを捨てるの?」というユーミンの声が聞こえてくる。私は答える。「ごめんね、ユーミン。俺もつらいんだ。でもきっとまたどこかで逢えるさ」
胸中でそんな寸劇を演じつつ、新たな4名について考える。
まず決まったのは醍醐だった。
誠一さんが「いま強い選手を獲った」と言うくらいだから、いまが打ち盛りにあるのだろう。
醍醐と誠一さんは長年、最高位戦で凌ぎを削っている。
その誠一さんが言うのだから間違いあるまい。
いま、醍醐は強い。私も好きなタイプの打ち手だ。
それに醍醐なら3位でも獲れると思った。
なぜなら、新規加入選手については「様子見」とする傾向があることは、昨年の仲林・優・渋川でわかったからだ。もし昨年、私が渋川を指名しなければ、3名とも「空き家」だった。
となると、次は1位指名だ。
これについては松ヶ瀬がずっと念頭にあった。
松ヶ瀬は新規加入からの2年間、「チーム・タクシー貴」のエースとして、+200オーバーの成績を叩き出してきた。
プロ野球でいえば2年連続16勝をあげた投手のようなものだ。
「強い……。これが全盛期を迎えた打ち手の麻雀か」
私は何度もそう唸ってきた。
豪腕にして繊細。松ヶ瀬に腕があるのはもちろんだが、全盛期を迎えた打ち手というのは、素点力が違うように思う。
ハコ点すれすれまで行っても、「ここぞ」という親番で手が入り、それを成就させて復活してくる。この2年でそれが顕著な選手が、松ヶ瀬と松本である。
復元力が素晴らしいのだ。
気掛かりがあるとすれば、松ヶ瀬がうちのチームに来た途端、活躍しなくなり、タクシー貴にドヤられることだ。
「センセーも見る目がないね。松ヶ瀬は今年、一服休憩なんだって。そんなことも読めないの?」
そう言われるのが嫌なら、3周まわって多井を1位指名するという手もある。だが昨年のあの手の入らなさが気になる。多井クラスの打ち手にも「全盛期を過ぎたら……」という心配はつきまとう。
むろん多井はレギュラーシーズンの通算が+1000ポイントを超える、唯一にしてダントツの選手だ。全盛期うんぬんを超えて、ずっと強いのかもしれない。
だが私は「いまが全盛期」の方針に則り、松ヶ瀬を1位指名することに決めた。タクシー貴も1位指名してくるかもしれないが、そのときはくじ引きで勝つことを願うのみだ。
1位は松ヶ瀬。3位は醍醐。ここまでは決まった。
そこで私は思った。
(もしかして、2位に多井が空いてたりして……)
いやいや、さすがにそれは無理だろう。
誰かが1位指名するに決まっている。
とくに今年からこの私設リーグには、水谷さんという人が加わり5人になるのだから尚更だ。
となると、2位はーー?
私の脳内にある「いまが全盛期の選手メモ」に記されているのは、次の選手たちだった。
勝又、寿人、コバゴー、伊達、瑞原、黒沢、(松本)。
レジェンド・荒正義プロのエッセイによれば、
麻雀打ちがいちばん勝てる「全盛期」は40歳〜55歳だそうだ。
私が言うのもなんだが、たしかにそんな気がする。
麻雀は「理」のゲームであると同時に、「パターン認識」のゲームでもある。だから経験値や大局観がものを言うのだ。
それが将棋指しと、決定的に異なるところだろう。
棋士がいちばん強いのは20代から、せいぜい35歳くらいまでである。
それでいうと堀、白鳥、渋川、優、仲林あたりはこれからが全盛期だ。
今回は見送ろう。あと大介や太や猿川の麻雀はあまり見たことがないので、指名候補にはできない。
例外は松本だ。彼はいま32歳だが、そろそろ前倒しで全盛期を迎えそうな気配がある。メタボリック健も昨年「松本はそろそろ本格化しますよ」と言っていたし。松本はMリーグに参加したのが若かったから、歳のわりに経験値が高いのかもしれない。
これは余談だが、放送対局にたくさん出ている選手は強くなりやすい気がする。対局中の自分の読みがどれほど合っていたか、あとで映像で答え合わせができるからだ。
映像は便利だ。紙の牌譜や、終局図のスマホ撮影を頼りにする答え合わせとは雲泥の差だろう。とくに大舞台のMリーグでの試合ともなれば、1試合から得られる経験値はハンパじゃない。松本にはそのアドバンテージがある。
ところで伊達や瑞原を「全盛期枠」に入れたのは、女流プロの全盛期は男子プロより早い気がしたからだ。
これはプロスポーツの世界にも当てはまる。女性アスリートは10代から頭角を現し、わりと早く全盛期を迎える。女性は男性よりも知能や体格や情緒の発達が早いから当然のことなのかもしれない。
それはともかく、2位はどうしよう?
女流枠についても考えねばならない。
これまでユーミン一本槍で来たから、迷うところだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?