2023年の大晦日に思うこと。
日本に遅れてようやく、ユーコンにも大晦日がやってきました。
もう日本は年が明けていますが、私はまだ2023年にいます。
およそ一年前の2023年のお正月、私は人生で初めてお節作りに挑戦しました。
なぜだかわかりません。
子供の頃、一度だけ母が手作りでお節を作ってくれました。お重に綺麗に入れられて、その時しか使わないお盆が並べられて
きっと小学生低学年くらいだった私。お屠蘇を飲まされ、いつもと違う格式的な雰囲気に変な気持ちになったのを覚えています。
正直なところお節の味は子供の私にはあんまり魅力的じゃなかったのだけど、とにかく料理の美しさといつもと違う両親の雰囲気。
それっきりお節は作らなかった母。
結婚して子供が生まれてから、改めて両親とお正月を過ごすようになったのですが(といってもカナダに来てしまったので数回)
その頃、母のお友達の料理人の方が作るお節を注文してくれていて。
大人になってから食べるようになったそのお節がまた美しく、そしてとても美味しい。家族が集まって同じものを食べるその瞬間の幸せ。
両親は少し変わっていて、私が小さい頃家族でアメリカに住んでいたこともあり、私は自由気ままに育てられました。
その自由さゆえか、単に私の持ち合わせているものか、中学の校則に始まり、日本で働いて生きていくことがどうしても嫌。
日本の息苦しさや社会への怒りのようなものをずっと抱えていました。
子供の頃お節は一度しか食べなかった私。
クリスチャンな私。校則が大嫌いだった私。
日本が苦手だった私。
なのに何故か2023年のお正月、ネットで調べ見よう見まねでお節作りに挑戦。
そしてそのすぐ後に不思議な縁で、オンラインで学ぶ1年間の麹の学校に挑戦することになったのです。
1月に初めての味噌作りから始まり、数種のお味噌、醤油、味醂、どぶろく、麹。
そして私、
気づいたんです。
ここに私のアイデンティティがあるんだ。
発酵と向き合う時。
香り、温度、感触、色、静かに、じっとそれを見つめるときに日本をものすごく感じる。
自分のルーツを感じる。
それがとてつもなく愛おしい。
一年間真摯に向き合ってきた麹の学校の12月の課題は、発酵お節。
一年前に手探りで作ったものではなく
私の手元には一年かけて作った濁酒があり、味醂があり醤油がある。
一年かけて向き合った心がある。
そうして作ったお節。一つ一つの丁寧な作業と出来上がっていく過程に感動し、食べてみると心の芯が震えるほど美味しい。
カナダにくるまでの私、いや、
去年までの私は、日本は好きだけど、社会や国民性は苦手。日本人としての誇りは持っていなかった。
だけど、自分の中にある強い芯を見つけたんです。
そしてこれは私だけが持っているものじゃない。
ずっと前から脈々と続いてきたものなんだなと。
そこでようやく美しさに気づいて、私ここに生まれたってすごいことだ。
って。日本ってすごい国だ。
そしてそれは失われつつある。
食は心に根付くもの。
私の息子や娘は日本人の親を持ちカナダで育っていき、いつかきっと自分のアイデンティティに悩む時がくる。
でもルーツはここにある。
海外にいるからこそ、伝えたい。
そんな思いでお節を仕込みました。
2023年は私の麹元年。
年始に掲げていた目標を全て達成はできなかった。
だけど、心に残るとても大切な一年となりました。
2024年からは、伝える側となってまた向き合っていきます。
ではまた、改めて新年のご挨拶を。
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