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阿部智里の八咫烏シリーズに触れて4<『望月の烏』まで読了>



読書が雑


 本の読み方には性格が出ると思う。
私はかなり雑な人間なので読書方法も雑である。
特に面白い本ほど雑になる傾向がある。
1読目は勢いで読み進む。そのせいか細部があまり記憶に残っていない。
物語の先が気になり過ぎて、読んだつもりで読み飛ばしているからだ。
2読目になるとややゆっくり読めるが、1読目が雑過ぎて、え?こんな描写あった? ん? この人こんなこと言ってる! とまるで初見のような驚きがそこそこある。そして2回目でも、内容の面白さに気が焦りやや上滑りしながら読み終える。
3読目でようやく落ち着いてじっくり読めたりする。じっくり読みつつ2回目まで雑だったから、やはり、まだまだ初見のような驚きと出会う。ここに至ってはわが脳みそに不安を覚えるぐらいだ。
 
 
最初からじっくり読める人がうらやましい。
私が3回かかって理解できることを一回でできる。3回も読めばものすごい情報がインプットされているに違いない。どうも私の読書方法は効率が悪い気がしてならない。
そして、いつも3回も読むほど面白い本と出会えているとは限らない。ざっと読みのまま終えてしまう本もかなりある。そのせいか、本屋の立ち読みで気に入り購入したら、自宅の本棚にすでに鎮座していることが昔はよくあった。最近はAmazonのおかげで購入した本は購入日時まで表示してくれるから助かっている。
 
完璧な記憶力というギフトを持っている雪哉には到底理解してもらえない苦労だろうな。
 
阿部先生の八咫烏シリーズも先生には申し訳ないが初回は雑な読み方だった。
面白すぎてついつい先走り読みだった。
何回も読んでようやく人並みの理解力。
このブログも勢いだけで書き込み、推敲もせずアップするためよく誤植している。
谷間を山間、博陸侯の侯は気候の候だったりした。
見つけてはそっと編集で直しているがまだいっぱい誤植があると思う。お許しを。
 

引っかかっている内容


 
『望月の烏』まで読んでいていろいろ気になっている箇所がある。
 
 
●逃がしたのは雪哉?
『黄金の烏』で、朔王に言われ、隧道の先、猿の領域まで骨を取りに行かされた雪哉。そこで小猿に襲われあわやという時、助けに入った若宮。多分、招陽宮から地下街に来るためには抜け道である隧道を利用したと思う。でなければ鴟や鴟の子分に見つからず朔王のもとには行けない。

奈月彦が亡くなった後、浜木綿と紫苑の宮が紫苑寺からわざわざ招陽宮に移動して立てこもった理由は、誰にも知られていない抜け道が招陽宮にあったからではないか。(紫苑寺や明鏡院には隧道があることは山内衆にも知られているはず)。浜木綿たちが向かったのは谷間なのか。

火を放ったのは証拠を隠すためだろう。雪哉は彼女たちが無事逃げ果せたか確認のため火に飛び込んだ。思い出の招陽宮を燃えるに任せたのも証拠隠滅だろう。隧道を抜けているのであれば、羽林天軍の山狩りや朱雀門では発見される恐れはない。これらは雪哉の作戦だったのでは?

『烏の緑羽』で「翠寛が紫苑の宮を抱き上げ招陽宮の奥に向かって駆け出した」という一文が出てきたのでやはり奥に抜け道があったのだと思う。

●茜と葵のこと。
澄生が紫苑の宮ならば葵はいずこに?
葵は今後全てのキーパーソンとして登場するか、本当は葵は存在せず、大方の予想通り架空の戸籍を作っていたか。。

私は架空の戸籍のように思える。この架空の戸籍を用意させたのは雪哉ではないだろうか。奈月彦が亡くなる何年も前から仕込んでいたこの手の策略は雪哉が得意そうだ。墨丸という戸籍で自由に山内を行き来していた奈月彦を側で見ていた雪哉だからこそ何かのために作っておこうと思ったのでは。
そして、葵がこの世に存在しないと知っているからこそ、その存在を一切気にしないで過ごしてきた気がする。
ただ、浜木綿が2度目の妊娠したかのように着ぶくれしている描写があったのは気になる。

●澄尾たちのだんまり
澄生が野良絵のためにヘタをしたら斬足になったかもしれないというのに、親である真赭の薄や澄尾が雪斎に直談判しないことの不自然さ。

●路近
『烏の緑羽』では浜木綿と紫苑の宮を逃がした招陽宮で長束とともに飛んでくる雪哉を待っていた路近、『追憶の烏』の同じ場面では路近はいない。雪哉が降り立つ前に姿を消したのか?
その時から一切出てこない路近。私のお気に入りキャラが出てこないさみしさよりもその理由が気になる。
澄生は『望月の烏』で、好きなときに人にも鳥形にもなって色々なことを教えてくれた存在がいると語っていた。路近は翠寛と紫苑の宮を乗せて移動していたのだろうかとも想像してみるが、人になったときあの風貌では目立って仕方ないだろう。。。路近はどこで何してる?

●雪哉の家族はどうした?
勁草院を出たと思われる雪雉も雪斎の年齢を鑑みると30代。山内衆は辞して羽林天軍にいるのだろうか? 故郷に戻ったのだろうか?
梓や雪馬もどうしているのか?

●朔王
朔王は何人も養子を育てた。彼らは社会的成功者として余裕があるからなのか、兄弟仲がとても良い。小さな時代遅れのタバコ屋を営む安原はじめに対しても対等な意識をもって接している。かなりの出来物ばかりだ。安原はじめを含め彼らは本当に人間なのだろうか? 人間界に住む天狗か、実は八咫烏ではないだろうか?
朔王は長生きしているようなので天狗では?

●情報の提供者
安原はじめが荒山の権利者だと地下街に情報提供した者が朝廷にいると言う博陸侯。私はその張本人があなたですよね? という気持ちでいっぱいだ。

●頼斗
頼斗は3年間留学しており戻ってきた半月後に安原はじめの案内役として安原はじめ本人に指名される。できすぎている。もしかして外界でこの二人はすでに接触があったのでは? 3年という時間はそれなりに長い。新たな価値観を知るには十分すぎる時間だ。
 
●千早
仕える主と親友明留をありえないほど無惨な殺され方をして、千早が何一つ復讐していないのもよく考えれば不思議だ。
安原はじめは初対面の千早の首に手を回し話しかけている。人をうかつに寄せ付けない性格の上に、武人の千早が首を取られて即効払いのけないのか。。。と思いながら読んでいた。実は知り合い?

●博陸侯景樹
彼のプロフィールは雪哉と酷似している。そこに意味があるとしたら景樹は雪哉として新たに生を受け何かをやり直しているのか?
 
いっぱい頭の中に「?」が飛び交っている。
これらがいつか回収されるのだろうか。うーーー、早く知りたい。
 

見たいものしか見ない


人は見たいものしか見ないという。
読書に置き換えると 「読みたいようにしか読まない」と言える。
私の読書はまさしくこれ。独りよがりもいいところだけど、独りよがりに本を読むのもこれ読書の醍醐味だ。
 
 
 


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