【読書会】第56回乱読の読書会(2022年6月)レポート
こんにちは!
6/11(土)の夜に、定例で行なっているオンライン読書会(乱読の読書会)を開催いたしましたので、その内容をレポートしたいと思います!参加者の読んだ本のリストもこのレポートの中で紹介しますので、もしよければご覧ください。
概要
この読書会は知識や知恵を得るための本をよく読んでいる方が集う、ボイスチャット形式のオンライン読書会です。 具体的には月に10冊以上の本を読むというのを一つの目安とし、コンセプトは「多様な本が行き交う場」!
全体の流れとしては、まず順番に自己紹介を行い、その後に読書会のメインイベントとして①月間ベスト本の紹介と、②読んだ本リストを見ながらのQ&A形式のフリートークです。
今回の参加者はオブザーバーの方を含めて6人。事前に参加者の方から1月に読んだ本のリストを頂き、主催である私がそれを一つの表にまとめて参加者の方々に配布しました。実際の読書会ではそれを見ながらの進行になります。↓が実際に使ったリストです。
個人利用の範囲で閲覧・ダウンロードは自由にしていただいて問題ありませんが、二次使用・無断転載等はご遠慮願います。
ベスト本紹介
リスト内の黄色塗りのセルは各参加者の月間ベスト本です。ここでは、それぞれの本について簡単に説明します。
〈わたし〉はどこにあるのか――ガザニガ脳科学講義 / マイケル・S・ガザニガ (紀伊國屋書店)
こちらはわたくしKJが紹介させていただいた本です。この作者の本は前からちょくちょく読んでいて、結構前から気になっていた一冊でした。内容としては、「わたし」という意識の在り方はどうなっているのか、また責任という概念をどのように扱うのかなどを認知科学的アプローチで解き明かすというもの。
個人的に面白いと思ったのが、巧みに設計された心理学実験の数々。そしてなによりも、あまりにも予想外なその実験結果。「わたし」という概念について一般的な認識を覆すような発見が多く、読んでいて非常に刺激的で知的好奇心を掻き立てられます。
素数たちの孤独 / パオロ ジョルダーノ(早川書房)
この本は以前「さいえんす川柳」を紹介頂いた方のベスト本です。イタリアンの物理学者の書いた小説らしく、映画化されていたり、イタリアでの権威のある賞も受賞しているようで、イタリア国内では爆発的な人気の作品らしいです。
男女の二人の主人公の幼いころから30代くらいまでの半生を描いた作品で、お互いに心の傷や孤独を抱えた二人が惹かれあっていくというストーリーのようで、紹介者の方は情熱的な恋というよりは、愛情を感じる作品だったとのことでした!
フレドリック・ブラウンSF短編全集1 星ねずみ / フレドリック・ブラウン(東京創元社)
この本は以前「戦争は女の顔をしていない」を紹介頂いた方のベスト本です。SFが好きな方だそうで、知人に紹介されて読んだこの本が非常に面白かったとのことです。作者のフレドリック・ブラウンは短編集で有名な方で、その短編集の中の一冊を紹介いただきました。
おおきなどんでん返しが仕込まれている作品が多かったらしく、「アハ体験」的な面白さがあったそうです。天使ミミズという作品が印象的だったとのこと。日本でいう星新一に近い雰囲気があるとのことなので、比較的読みやすいタイプの作品が多いのかもしれません。
黒人に最も愛され、FBIに最も恐れられた日本人 / 出井康博(講談社)
この本は以前「ひとり白虎」を紹介頂いた方のベスト本です。筆者はワシントンD.C.で黒人差別について扱う研修者の方だそうで、タイトルに書かれている通り、反差別の運動をしていた日本人にフォーカスをあてたノンフィクションのようです。
紹介されている人物が活躍していた時代は太平洋戦争の前、アメリカで排日運動がなされていた時代の話。黒人と組んでアメリカ政府に抗議活動をしていた二人の日本人についての本だそうです。なかなか一般に知られていなかった人を掘り起こすという意味で、切り口が面白かったとのことでした。
膚の下 / 神林長平(早川書房)
この本は今回初参加の方に紹介頂いた方のベスト本です。紹介する本を悩んでいたということでしたが、それまでの流れでSFが多かったということでこちらの本を紹介いただきました。なんでも、この作品は3部作の最終作だそうですが、時系列的にはじめということもあり、単体でも読めるそうです。
人間が住めなくなった世界。人は火星でコールドスリープをしているあいだアートルーパーという人造人間が地球の復興作業をしているという設定。アートルーパーの主人公がいろいろな人間と出会いながら、成長していくというなかなか考えさせられそうな話です。
Q&Aタイム
今回もこれまでと同様に、Q&Aタイムとして、リストを見ながら1人1回づつ他の参加者に自由に質問ができるという時間を設けました。この読書会では、話していない人もミュートの必要がなく、どんどんコメントしていい形式にしているので、ひとつの質問から話題が広がることがあってなかなか楽しいですね。
まず、こちらが今回オブザーバーとして初参加された方が紹介していただいた一冊。非常に有名な古典的作品で、日本では「巌窟王」として有名なモンテクリスト伯という小説。結婚のタイミングで謀略にかかり、冤罪によって長い時間を刑務所で過ごした主人公が復讐にうってでるという話。ナポレオンの時代に書かれた本ということもあり、現代人からするとピンとこない部分もあるかもしれませんが、こういった古典作品に触れることで見えてくることも多いのでしょうね。
また、フリートークの中で話題になったのが「植物は知性をもっている」という本について。読んだ方は知人の勧めで手に取ったとのことでしたが、内容としては一般に知性がないかのうように扱われがちな植物について、その「知性」とも呼ぶべき生存戦略についていろいろと書かれているそうです。読んだ方としては、植物が言語を持っているという話が非常に興味深いと思ったそうです。
また、それにもちょっと近しいかもしれませんが、「流れとかたち――万物のデザインを決める新たな物理法則」という本も話題になりました。著者は熱工学の分野の方で、工業的なデザインなどを手掛けている方だとのこと。植物であったり、地形であったり、自然は流れをよくするためにデザインされているという少し変わった視点から物事をとらえる一冊だそうで、なかなか興味深い本ですね。
そんなこんなであっという間の90分でした!
まとめ
今回は先日行ったオンライン読書会のレポートを書きました。今回は久しぶりに人数が多く、いろいろな話が聞けて面白い時間となりました。今後の読書会の予定としては7/9(土)の20:00~21:30となります。
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それでは、また!