2021年8月5日 M-1 1回戦
1週間前の記憶をなぞりながら書いていく。
8月5日の朝、目が覚めて時間を確認した瞬間ちょっと良くないぞと思った。
というのは、アラームを8時に設定しておいたのだがそれより1時間も早い7時に自然と目が覚めてしまっていたからで、それは普段ならむしろ良いことなのだがその日はM-1の1回戦当日。緊張でいつもより早く目が覚めてしまったんだろう、良くない。
しかもそうやって緊張を自覚するとそれがまた余計に新しい緊張を連れてくる。起きてからもずっとお腹が痛かったし、普通に生活していたら滅多に経験しない緊張やプレッシャーがM-1にはあると改めて思った。
会場のある大宮駅のエスカレーターでたまたま有澤と合流できた。
有澤が駅前の喫煙所でタバコを吸っている間、コンビニで買ったおにぎりを一つ食べた。鮭と明太子で悩んで明太子を選んで買ったはずなのに脳みそは鮭を買った気になっていたらしく、一口食べた瞬間に「ん?鮭じゃない」「そうか明太子を買ったのか」「うーん。明太子かー」などと思ったことを覚えている。
受付が終わり、出場者の待機場所みたいなところで着替えやネタ合わせをしていたらそろそろ始まるとのことで控え室の方へ案内された。いったん控え室に荷物を置いて、引き続き案内された場所は壁一枚隔てた舞台の真裏。その細くて長狭いスペースに僕らも含めた6組くらいの芸人が緊張しながら待機している。「あ、マスクはギリギリまで着けててください」と注意され、折り畳んだマスクを付け直したりしていたら1回戦が始まった。出番は4番目。
1組目、2組目と終わり、自分たちの前のコンビが舞台に飛び出していった。舞台に立っている2分間よりこの2分間が1番緊張する。
1分くらい過ぎたあたり、そろそろ出番だという雰囲気の中、不意に有澤が僕の肩だったか背中だったかをポンと叩いてきた。有澤は普段ほとんど熱いところを見せない奴なのでそれが結構グッときて、おかげで一気に緊張が解けた。全く読んでないのでそんなシーンは無いのかもしれないが、べしゃり暮らし14巻のあのシーンみたいだと思った。とにかくありがとう。
出番が来た。センターマイクの前に立ちさえすれば意外となんとかなる。
出番が終わり、控え室に戻るやいなや互いが「うーーーん」と厳しい顔で唸っておしまい。とりあえず着替えて会場をあとにして改めて出来を振り返る。「ウケ量で審査されると五分五分」「これを落としてるようじゃあかん」「俺が審査員やったら通す」などという偉そうな言葉を3周したあと「まあ結果待つしかないな」の一言で終わり。電車に乗って新宿で別れてお互い帰宅。
時間が経てば経つほど自信は無くなっていくもので、五分五分だと言っていたのが結果発表直前にはもう二分八分にまでなり、一人でうつ伏せで「奇跡おこれー」とか叫ぶ始末。まだ1回戦やで。
そして結果発表。無事になんとか1回戦突破ということで審査員さんとお客さまに感謝。
そして後日。ギリギリの通過やろなーとか思ってたし、実際そんなにウケてなかったのに8月5日の1回戦TOP3の動画がYouTubeにあがる日ちょっと緊張してんねん。なにしてんねん。