金魚初心者の方へ
金魚飼育のはじまり
金魚すくいが日本で広く行われたのは、江戸時代後期にまで遡ると言われています。浮世絵に描かれた姿からも、その歴史の長さがうかがえます。当初は持ち帰らずに楽しむ遊びとして始まり、明治時代から「持ち帰る」スタイルが定着し、現在のような形へと変化してきました。それでも、昭和30年代以降、約70年間変わらないスタイルで続いている金魚すくいは、日本の風物詩として今なお人々に親しまれています。
金魚すくいがきっかけで、金魚に興味を持ち始める方も多いのではないでしょうか。しかし、金魚を持ち帰って育てるのは想像以上に難しいものです。本書では、その「なぜ?」にお答えし、初心者の方でも少しずつ金魚と長く暮らしていただけるための知識を丁寧にお伝えしていきます。
金魚飼育の基本
1. 混ぜるな危険
まず押さえておきたい基本は、「混ぜるな危険」です。異なる環境で育った金魚を一緒にすると、病気やストレスを引き起こしやすくなります。金魚すくいで持ち帰った金魚とショップで購入した金魚は、分けて飼育することをお勧めします。
2. 飼育環境について
金魚を切り花のように一時的に楽しむのではなく、一つの命として長く育てるためには、適切な飼育環境が欠かせません。小さな器や金魚鉢ではなく、45センチ以上の広めの水槽を選びましょう。また、エアレーション(ポンプ)は必ず必要で、投げ込み式フィルターから始めるのが無難です。砂利を薄く敷くことで、バクテリアの住処を作り、金魚のストレス軽減にもなります。
3. 飼育水と水換え
金魚には水道水を24時間エアレーションしたものを使うのが最適です。水換えはPH7.5〜8.5を目安に行い、水温や水質の急変を避けるため、3分の1ずつの水換えを基本とします。金魚の泳ぎを観察しながら、必要に応じて調整してください。
4. 飼育温度について
金魚にはヒーターは基本的に不要ですが、海外産で暖かい環境に慣れている場合や、小さな赤ちゃん金魚には、冬場の水温管理が重要です。
この本を通じて、金魚飼育の奥深さとその楽しさが伝わることを願っています。金魚すくいから始まり、日本人の生活に根付いてきた金魚を、今の時代に合わせた環境で大切に育てる喜びを、ぜひ感じていただきたいと思います。