レディ・ハザード 〜渡邉彩香〜
6月のニチレイが今季初の現地観戦だった。初日に菊地絵理香選手に帯同したとき同組だった渡邉彩香。
彼女の持つその飛距離は、時として次の1打を難しくしてしまう。砂や木の大小は問わずで、森の中、一本松、そしてトールサイズの木、またガードバンカー、クロスバンカー、ディボット、さらに隣のホールの深いラフ。何かに操られるかのように、それらの場所に転がりこむ渡邉彩香のボール。すべては無意識にタクトを振るう彼女の指示なのだ。いつしかそんな彼女についた称号が、
「レディ・ハザード」
直訳すると、障害区域の貴婦人。
2022年のほけんの窓口レディスで優勝を決めたのは、プレーオフ2ホール目、身長と同じくらいの木の足元にあるボールを、渡邉自身が木になりきって打ったナイスアプローチを起点に、20mを沈めた神パットだった。
いつもピンチと隣り合わせだった渡邉彩香。そのピンチをチャンスに変える手助けをするため、6年もの間彼女の隣に居続けた川口淳キャディ。そのコンビはこの大王製紙を最後に解消される。
今大会、もし菊地絵理香選手が優勝しないのであれば、渡邉彩香に勝たせてあげてはくれまいか。
そんな気持ちにさせられるニュースだった。