2023年 第33戦 NOBUTA GROUP マスターズGC レディース
【初日】
初日トップは尾関彩美悠。出れば予選落ちだったのが嘘のように、後半戦から見事に息を吹き返した。気合の入った尾関の応援団、今日はいつもよりさらに大きな声が出ていたようだ。
2位Tに6人。天本 ハルカ、ペ ソンウ、福田真未、大出瑞月、藤田さいき、そして菅沼菜々。天本は現在MR54位。今大会上位で終えることができれば初シードも見えてきそうだ。しかし、堀琴音、柏原明日架、浜崎未来、脇元華といったMR50位以降の選手も、初日上位でがんばっている。優勝争いだけでなく、こちらの争いからも目を離せない。
ところで解説の佐伯三貴も言っていたが、たしかにいつも初日上位に居るイメージの大出瑞月。MRランキングは62位なのか。50位までは100pt以上あるが、ここで優勝すればすべてチャラだ。
新モンスター櫻井心那も2打差8位Tと、どこからでも勝ちに行ける良い位置で2週連続優勝を狙っている。
一方、先週復活の兆しをみせたディフェンディング・チャンピオン川﨑春花だが、幸先よくバーディでスタートしたものの、やはりショットが安定感を欠いているのか、3バーディ・5ボギーで56位Tと出遅れた。先週得たポイントでMR44位としたが、もちろんまだシードは確定していないのだ。2日目うまく修正できるといいのだが。
そして菊地絵理香選手。スタートのティーグラウンドで稲見萌寧とキャディと“こんなことがあったのよネタ”を話していた。何かルール上の問題的な内容だったのか。割と強めの口調だった。
※後で検証したところ、おそらくこの件の話だったよう。↓
さて1番Par.5、順調に3オンからのバーディパットが、ほんのひと筋カップの左を抜けた(下の動画)。お分かりだろうか。なんならカップの上をボールが通過してないか?
このひと筋に今日1日じゅう悩まされ続けることになる。とにかくパットが入ってくれないのだ。その後もなんとかバーディをもぎとっても、次のホールでボギーが出る。終いには本人も苦笑い。それほど流れをつかみきれないままの初日だった。
とはいえ、カットラインはたったひとつ上だ。明日は先週見せつけたあの修正力で、爆発的スコアアップを期待したい。
【2日目】
菅沼菜々が1イーグル、7バーディ、2ボギーで、Todayベストスコア-7を叩き出し首位に立った。8月の軽井沢、神谷そらとのプレーオフを制しての初優勝から2ヶ月あまり。このまま今季2勝目を手にすることができるだろうか。ただあの時と状況が違うのは、今大会は追っ手に山下美夢有が、否、“帰ってきた”山下美夢有が居ることだ。
ニチレイの6月以来、優勝から遠ざかっている山下。ここ最近はまあまあな成績を納めてはいるが、昨年から今年始めにかけてまとっていたオーラ、勝ち負けへの迫力みたいなものが足りずに勝てていないようにみえた。しかし今日、最終9番の4mほどのミドルパットを決めたときに、画面からあの鼻息の音が聞こえた。「山下に追われたら終わり」と前を行く者にこう思わせるほど強かった時の山下のパットには、この「鼻息音」が常に伴っていたのだ。
菅沼菜々に2勝目を、と私は願っている。しかし今回の山下美夢有から逃げるのは、相当難度の高いミッションなのではないか。明日できるだけ遠くに逃げようとする菅沼、それを追う復活寸前のモンスター。これは明日かなり激しいムービング・サタディになりそうだ。
ちなみに菊地絵理香選手は残念ながら予選落ちとなった。ほとんど画面には映らなかったが、首位を行く同組の菅沼菜々のホールアウトのシーンでチラッと。
女子オープン以降の疲労が目立ってみえる。リコーカップに賭けるなら、この後2つくらい休んでも良いのでは? 同い年の申ジエは18、2つ上の上田桃子は23、6コ下の鈴木愛も23。これは先週の富士通までの全32試合で出場した試合数だ。菊地選手はなんとほぼフルの30よ。今週末はもう温泉でも行ってガッツリ休んでください。
そして今日はイ・ボミのラストラウンドになった。
1番ホールに現れたときにすでに泣いていたボミだったが、最後は笑顔、笑顔。
6番で最後のバーディが決まったときの、ホッとしたような、ドキッとしたような、うれしいような、悲しいような、それらのどれとも違うようなボミの表情がとても印象的だった。
ボミちゃん、おつかれさまでした。今まで日本女子ゴルフを盛り上げてくれて本当にありがとう。
15番Par.5。
-12で並ぶ菅沼菜々と山下美夢有。7mのパーパットを残す菅沼に対して、山下は2.5mのバーディチャンス。ボギーとバーディで2打差になると誰もが、当人同士でさえもそう思ったのではないか。
しかし結果は、菅沼が見事にパーセーブしたのに対し、山下はまさかの3パットでボギー。
16番Par.4。
2ndを2mにつけバーディ確実とした山下。一方さっきより長い距離を残す菅沼。このホールで山下がバウンスバック、再び菅沼に追いつくと誰もが、当人同士でさえもそう思ったのではないか。
しかし結果は、菅沼が見事にバーディを決めて山下に並ばせなかった。
さらに次の17番Par.3、山下痛恨のボギーで菅沼と2打差に。最終ホールでもうひとつ山下を突き放して、3打差で最終日を迎える菅沼菜々。こんなムードに見えたが、最後に菅沼ボギー。明日の最終日は山下と1打差しかないスタートになった。
そして、尾関彩美悠が今日3つ伸ばして菅沼と並び首位に。明日は最終組でふたりと戦う。しかしこの安定感、今季中に優勝しておかないともったいない。
最後に菊地絵理香選手。せっかくの連休をちゃんと休んでくれていることを祈る。
【最終日】
菅沼菜々が優勝。
終盤若干ショットが乱れたが、アプローチで問題なく回収。終始冷静な試合運びで、山下や尾関ほか追撃者のスイッチを入らせることなく、8月の軽井沢に続いて見事に今季2勝目。
おめでとう。本当に強かった。