2023年 最終戦 リコーカップ
【プレビュー】
今年リコーに出られるのかな。
今季最初のメジャー、サロンパスを吉田優利が制した5月あたりで少し心配になった。
2023年シーズンスタートからなかなか調子の上がらなかった菊地絵理香選手。開幕から3ヶ月が経とうとしていたブリジストンで、ショットとパットがようやく噛み合いはじめ、その翌週のリゾートトラストを8位Tで終えて、やっとランキング50位以内に入ってきた。
そこからの活躍は周知の通り。冒頭の心配は杞憂に終わった。
8月のニトリで雷神を味方につけ見事に3年連続となる優勝を果たし、そして何度でも書くが、今季JLPGAツアー最高試合と名高いナショナル・オープンで、もうひとりのエリカと死闘を繰り広げた。
今年もこのエリートフィールドの舞台に正面入口から堂々と入場、11年連続11回目のリコーカップとなる。
泣いても笑っても今季最終戦。
4日後、どうか歓喜の瞬間が訪れますように。
【初日】
ツアー最終戦、やや風はあるが晴天の宮崎で開幕した。
最終組の山下美夢有と申ジエ、これ本当に初日か?と疑う緊張感だった。スタートからショットが暴れる山下だったが奇跡のチップインでスコアは崩さない。そのショットも後半きっちり修正して、4バーディ・1ボギー、トータル-3でH.O.。一方のジエはいつも通りの安定感、5バーディ・2ボギー、トータル-3で明日も山下とツーサムだ。
「これ、初日のピンポジか?って(笑)」
初日を終えたジエの言葉である。さらに女王を争う山下とのペアであることも手伝って、まるで決勝のような緊張感になっていたのだろう。
もう一人、女王の可能性を残す岩井明愛はダボもあったがアンダーでまとめて、二人と2打差についた。問題なし。まだ初日だ。
初日首位に立ったのは森田遥。バックナイン(5バーディ・ノーボギー!)は一人だけ別コースを回っていたかのよう。その森田を追う2位Tに、シン・イーグル先輩(川岸史果)と櫻井心那。この4日間、2オンできれば楽にバーディが取れる9番で取れない選手は、おそらく上位に食い込むのは厳しいだろう。上位にいる選手は皆ここで貯金をするのだから。
その他、先週優勝の青木瀬令奈+7。い、いったいどうしたのか? そして藤田さいき、上田桃子+4。初日はベテラン勢が苦戦している。
最後に菊地絵理香選手。
EVENで我慢していたが、上がり2Hでボギボギ。まだ初日だ。いや、まだまだ初日だ。だ、大丈夫。明日の奮起を期待しよう。
【2日目】
昨日に続き、最終日最終組風な2人だったが、今日は山下美夢有が安定していた。昨日の15番以降修正されたショットの調子がそのまま維持できていて、首位と1打差にピタリ。一方の申ジエ、13番で珍しくアプローチミス。それ以降集中が切れてしまったか。とはいえ、まだ首位と4打差の5位T。あと2日もあることを考えると問題はない。
森田遥が昨日に続いて首位を守った。バックナインでボギーを打たなかったのも昨日同様だった。18番では旗包みなんて魅せてくれて良い流れのままフィニッシュ。明日は最終組で山下とツーサム。どこかでグッとペースを上げてくるであろう山下について行ければチャンスはあるか。
明日、最終組の一つ前でプレーするのは、同級生の古江彩佳と安田祐香。山下が怖れているとしたらこの古江だろう。週末は急激に気温が下がり寒くなる。となると堅守・古江が生き残る展開になりそう。そして今日唯一のノー・ボギーを達成した安田。寒さに強いならチャンスありか。(強くなさそう……)
リコーカップ初出場の櫻井心那、ホールアウト時にヘトヘトだったのが印象的だった。このセッティングは相当頭を使うはず、明日は糖分を大量に携帯すべし。
最後に、絵理香&ザ・キャディ鴨川。
風に飛ばされた1日だったが、バーディも1コ出たし、17,18番とパーで上がれたし、ポジティブに明日を迎えられるのではないか。明日(波が来るのであれば、その)波に乗って爆発してほしい。1イーグル・12バーディ・1ボギーくらいでいいので。
【3日目】
8番のダボで怒って後半5バーディ。
見てないが容易に想像ができる。
こうなった山下美夢有が明日負ける理由を探すのがちょっと難しい。
菊地絵理香選手。
明日ラスト、悔いのない来季につながるプレーを!
けっこう頑張って書いたが全部消えた
アメブロの下書き機能の不安定さよ
追記:その夜の絵理香先輩。
【最終日】
「不動さんを見ているみたい」
16番、勝負を決めたティーショットを見て、解説の福嶋晃子がつぶやいた。
不動さんとはもちろん、不動裕理のことだ。
全盛期の不動のプレーを知る者がそう言うのだ。彼女のプレーやそれらの振る舞いすべてが、通算50勝を誇るレジェンドにすでに比肩しているように見えたのだろう。
リコーカップ、今季JLPGAツアー最終戦の最終日。2位と2打差でスタートした山下美夢有だったが、前半あまりピリッとせず、高橋彩華に一時首位を譲る展開に。しかし8番のバーディでスイッチが入り、9番で連続バーディをゲット。冒頭の16番Par.3のティー・ショットがベタピン。ここで勝負あり。
山下美夢有、2年連続このリコーカップを制し、そして2年連続の年間女王を決めた。
終わってみればやっぱり山下は強かった(各メディアにおいて「終わってみれば……」という枕詞が並ぶであろう)。
昨今の「叩いてしまったボギーは次のパー5、2オン・イーグルで取り返そう」という、かっ飛ばしブームの中で、山下はそれを実現できる“飛距離”を持たざる者だったが、その飛距離以外のすべてのスペックを最大値にし、見事に2年連続の女王となったのだ。
詳しいレポートは今シーズンの総括と合わせて後日掲載させていただくつもりで、今日は結果だけをさらっと……。そのように表彰式を眺めながら割りと淡々と書いていた私だったが、最後にこのシーンで泣かされた。
これは……この振る舞いは、なかなかできないぞ。
ジエの年間女王獲得への思いは誰もが知るところ。その中で最終戦のついさっきまでそれを争っていた相手に対して、ちょっとした合間にこんなにさらりと。
ああ、スポーツって本当にいいな。
申ジエ選手(菊地絵理香選手以外にめったに“選手”の称号を付けない私だがここはもうしょうがない)、スロープレーなどでいろいろ言われることもある。だが、それ以上に見習うべき点が多いのも事実だ。それは日本の若手プロゴルファーの育成に確実に繋がっている。試合後の公式会見で山下が申ジエについて、一緒に回れることの有意義さをかなりの尺で語っているのがその証左だ。それと金澤志奈がオフにどうしても一緒に、と懇願し誰とキャンプするかを調べてみたらいい。どうか来季もJLPGA女王目指してまだまだ頑張ってほしい。
また、普段いかにキャディが選手と一緒に懸命に闘っているのかが分かる写真がこちら。
そして、明日から米レギュラーツアー初挑戦に旅立つ2人。
最後に菊地絵理香選手。今季本当の最後だ。
今大会はスコア的には厳しかったが、後半の修正は利いていたと思うので、今オフでまた準備をしっかりとしつつ、“春娘”の称号復活とばかりに、3〜4月のうちに1勝してしまい、残りの半年はリコー対策にあてて、来季こそぜひともあの「レッド・シャワー」(って呼び名でよいのか?優勝すると39人に浴びせられるあの赤いクラッカー)を背景にシーズンを終えたいところ。
それと鴨川キャディ、最後まで絵理香選手の側で味方でいてくれてありがとう。来季も開幕からきっと一緒に闘ってくれるのでしょう。本当にお疲れさまでした。
そして最後(あ、2回目)に選手のみなさま、関係者のみなさま、そして選手を一生懸命に応援したすべての方々、たいへんおつかれさまでした。
みんな今夜はもう、呑もう!
2023.11.26 了
追記:ゴルサバSPの収録が明日あり、絵理香先輩出場だそうです。2020年に続きこっちでも優勝しちゃってください。(ゆかり先輩、情報ありがとうございます)