メジャーを獲ったら
今季優勝こそ無いが、ランキング上位をキープしているベテラン上田桃子。言わずもがな悲願のメジャー獲得を目標としてトップフォームを保ち続けている選手のひとり。
だがもし、その目標が達成されてしまったとき、上田桃子は今までと同じようにツアーで上位争いを続けるだろうか。
菊地絵理香選手がニトリで優勝した記者会見で、引退後の自分に言及する場面があった。年齢のことをとやかく言うのは控えるが、菊地選手もすでにカテゴリーはベテラン勢。現役後の身の振り方を考えて悪いわけがない。ただその時はメジャーを勝ってから、という前提を言外に匂わせていたように見えた。
今季残された国内メジャーは、11月4週目のリコーカップのみ。昨年リコーにおける菊地選手の感動的なプレーについては何度も書いたし、先日の女子オープンについても然りだ。その女子オープンの激闘の後に、体も心もヘトヘトのはずが一切休みを入れないのはなぜか。最終戦を獲りにいくなら、(上田桃子がそうしているように)2試合くらいスキップして体調を万全にした方が良いように思うのだが。
「わたしにはもう、そんなに時間がない」
そうなのだ。この雰囲気が今季の菊地選手からびしびしと伝わってくる。
メジャーを獲れずに一線を退いたことが唯一の後悔だったと佐伯美貴プロが言っていたのを覚えている。プロゴルファーのメジャーへの強い思いが伺い知れる。
しかしそれは逆に、メジャーで勝てさえすればもう思い残すことはない、ということを意味するのではないか。
もちろん菊地絵理香選手にメジャーを獲ってもらいたい。しかし優勝してしまうと、来季はもうそのプレーを見ることができなくなるんじゃないか、とも思ってしまうのだ。菊地選手がリコーカップを勝って今季が終われば最高、と思う自分と、来季また高いモチベーションで試合に臨むためにリコー敢えて獲らないのもアリ、と思う自分がいま混在している。
いや、本当に懸念しているのは、リコーで勝ったとしても勝てなかったとしても、もう……
ざわ、ざわざわ……
わたしの週末の飯能行きが決まった。
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