2023年 第36戦 大王製紙エリエールレディス
【プレビュー】
最終戦リコーカップの出場者がランキング上位者と今季優勝者に限定されるため、実質最終戦となる今大会。今年も愛媛県にて4日間大会で開催される。
ランキング1位の山下美夢有と2位申ジエの得点差が9pt余りと微細なため、年間女王がこの試合で決定することはない。そのため今大会一番の注目ポイントは、ランキング50位以内に付与される来シーズンの出場権、いわゆる「シード権争い」の最終章となるところだ。
現状、下記の選手たちによる最後の争いとなることが予想される。
例えば、55位の堀琴音がトップ10フィニッシュできれば、61.5ptが加算され450ptになり、49位の川﨑春花を上回る。単純にその川﨑以下全員が予選落ちすれば、堀の49位が確定し来季のシード権獲得となる。または、この辺りのボーダーの選手たちが、先週の木村彩子のように2位や3位で今大会を終えることができれば、一気に逆転シード入りも十分あり得るのだが、一年の溜まりに溜まった疲れがピークを迎えている選手たちだ。現実はなかなかそうもいかない。
そこで次に目指すラインが、55位までに与えられる来季前半戦の出場権だ。60位の平岡瑠依くらいまでが可能性を残すだろうか。まずは前半戦にさえ出場できれば、そこでポイントを積み、リランキングによる引き上げを期待することができる。先ほど書いた堀琴音などは、逆転シード入り以上に55位死守を強く視野に入れているかもしれない。
このように選手によっては今季一番必死にならねばならないこの大会、その熱が伝わってくるような好勝負を期待したい。
ちなみに昨季は藤田さいきが11年ぶりの優勝を果たした。鈴木愛との一騎打ちは間違いなく昨年屈指の名勝負だった。ちなみに単独3位は我らの菊地絵理香選手。最終日は5バーディ・ノーボギーのナイスラウンドで、翌週リコーカップでの好試合につなげていった。先週の伊藤園では予選落ちとなったが、内容はそれほど悪くなかった模様。リコーの前哨戦として、今週が充実の大会になってくれることを祈る。
【初日】
さすがに硬かった。
前半の堀琴音である。
4日間大会の初日なんていつもの彼女はもっと饒舌なはず。しかしそこには無口で無表情、スイングはいつもより肩が上がった堀琴音がいた。昨夜書いた「地獄」に近づいているという事実は堀琴音すら硬直させるのだ。
10番からスタートして、なんとかパーを拾い続けたが、13番でボギーが先行してしまう。だが、これで開き直れたのではないか。その後はご覧の通り。お見事。
そして、やはり初日のカメラはランキング上位陣にではなく、シード権ボーダーにいる選手に密着した。
その堀と同組の濱田茉優は、まさにボーダーの50位。苦しい初日だったが連続バーディで上がって+1、66位Tで明日につないだ。
それと、49位のメジャーチャンピオン・川﨑春花。他のボーダーライン選手同様に前半は硬かったが、後半5連続を含むバーディ祭りで2位Tと好スタートを切った。
そのほか、54位の脇元華と56位鶴岡果恋(本日Wイーグル)は首位と4打差13位T、52位の柏原明日架は22位Tの位置から逆転シードを狙う。柏原に関しては、スタンレーレディスの最後の余計な一打がシードに影響しないことを祈るばかりだ。
さて、上位陣は今シーズン散見される「岩井の逃げ」が炸裂したかのように見えたが、川﨑春花を始め後続がそうはさせじと差を2打に詰めて初日を終えた。(馬群に閉じ込めてしまえばメジロパーマーは無力。とは言えまだ2馬身先に行っている事実)
女王になるため山下美夢有を追う申ジエだったが、今日は上手くいかなかった。それでも最後9番できっちりEVENに戻して山下との差は2つ。残り3日で2差は無いのと同じだ。RICOH前にどちらが上に立つのか、見どころである。
最後に我らの菊地絵理香選手。
一切画面には出てこなかったので詳細はわからないが、3バーディ・ノーボギーの22位Tは悪くないスタートだ。初日のきょうは今年のエリエールGC松山を観察、まずはステディに。そしてその準備は完璧に完了した(はず)なので、明日は遠慮なく強烈に爆発してくれるだろう。
Go ! 絵理香選手!!!
【2日目】
とにかく寒い松山 だったようだ。
絵理香先輩もたいへんよく似合うしかわいいニット帽の出で立ち(画像は日テレジータスより、解説:岡本綾子)。
今日の放送的なハイライトは、女王争いの2人が予選を通過できるのか………に当てられていたようにみえた。だが今大会で女王が決まらないのはわかっているのだから、そこは軽めにして、やはりシード権ボーダーの方に比重をおいてほしかったぞDAZNよ。
ちなみに山下美夢有は首位岩井千怜と7打差25位T、申ジエは9打差47位T(ギリギリ)で予選を通過、ポイント差はそれほど変わらないまま最終戦リコーへ、となりそうだ。
シード権ボーダー組はどうだっただろう。
先日貼った表をもとにおさらいだ。
ランキング48位笠りつ子は見事予選通過、これでもうほぼシード権を獲得したといっていいだろう。
49位の川﨑春花は千怜と4打差、優勝争いをしている。これもほぼOKかなと。
50位濱田茉優と51位宮澤美咲は残念ながら予選落ち。
決勝でトップ10入りすればシード獲得の可能性がある堀琴音と脇元華はそれぞれ6位T、10位Tと良い位置で予選を見事通過、56位鶴岡果恋、57位浜崎未来は決勝での爆発に望みをかける。
最後に菊地絵理香選手。前半オール・パーと我慢して、後半3バーディと攻撃開始。だが上がり3ホールで2つボギーがきてしまった。Today-1、トータル-4、25位Tでフィニッシュ。予選は見事に通過したし、首位と7打差だがあと2日ある、と考えればまだまだ可能性のある週末となりそうだ。
【3日目】
荒天により中止。54H短縮競技となる。
今年は中止が多い(またイメージで書いているが)。
現在トップの岩井千怜は少し楽になっただろうか。普段以上のモチベーションを持った選手たちに36H追われ続けるのはさすがにキツかったはず。また、そのモチ高な選手のうち、堀琴音、脇元華、宮田成華あたりの今大会優勝の可能性がある順位にいる選手も、3日目を落とす、または猛者たちに突き放されるくらいなら中止にしてもらい、明日全集中でカップを獲りにいく、と考えていても不思議ではない。
最後に菊地絵理香選手。7打差25位では逆転は厳しいだろうが、明日ベスト10フィニッシュ目指してがんばって!
そして私。今週は土曜を観戦日にあてようとお仕事の調整をしてきたが、見事にアテが外れた。これは明日の観戦がままならないことを意味する。荒天で中止は仕方ないことだが、大事な残り2試合でこれはキツいなあ。
【最終日】
この大事な大会の最終日の視聴を逃すとは………己の調整能力の低さに失望しつつ録画で視聴。
昨日3日目の中止は、2日目までトップに立っていた岩井千怜に有利には働かなかった(ニトリレディスで雷神様を味方につけて優勝した菊地絵理香選手の域にはまだ達していないということだ)。
2位青木瀬令奈との差2つは、たった2Hで0になり、次の3番でボギーを叩いて順位が入れ替わった。
その後9番で今日初バーディを奪い、青木に1打差と迫りホッとした表情を見せたのだが、10秒後、背後からコンと冷酷な音が。青木が計画通りのバーディ、2打差キープでサンデー・バック・ナインへ。
結局千怜はそのまま一度も青木に追いつけず、3位Tでホールアウト。パターが入らない今日は勝てない日だった。
首位青木、西郷真央と原英莉花(今季4つ目のイーグル)に17番で並ばれるが、それ以上近づくことは許さないという青木のオーラが強かったのだろう。同じ17番3rdを50cmにピタリ、このバーディで勝負あったか。
それでも最終ホール、2位との差は1ストローク。たいへんしびれるところだが、冷静にゲームを終わらせた青木瀬令奈が、3月のTポイントENEOS以来今季2勝目をあげた。
表彰式。前回Tポイントのときも書いたが、つくづく青木選手は挨拶がとっても上手だなと思った。さすがブライトナー・リーダー。
さて、シード権争いもこれで終わり。
結果は表の通り。
逆転でシード入りした選手はいなかったが、55位以内に飛び込んだのが浜崎未来だ。18番の7mスーパースライスラインを見事読み切りバーディ。この1打で来季前半戦出場権をゲット。一方鶴岡果恋、脇元華ともに上位を伺える位置にいたが、最終日は伸ばせずQTファイナルへ。
それと僅・僅・僅少差でシード権に届かなかった堀琴音選手。
「こっちゃん、これで良かったんだよ」と言ってあげたい。この結果は、今オフの彼女を死に物狂いにさせるだろう。来季開幕ダッシュで前半戦のうちに1勝を達成するために。
それにしても最後のベタピンショットは鳥肌が立った。
最後に菊地絵理香選手。
試合中まったく映像には載らず、自身を発信するプラットフォームも持たないので、その動向が分からないが、RICHOはもう目の前にきてしまった。良い準備を!
追記:菊地絵理香先輩、ぜんぜん元気でした!
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