沙げし花
いつか、わたしもそこへたどり着く。
そのとき持つ花が、朱か白かはまだはやい。
そうして選べるうちは上っ面ものばかりに傾いて、後ろをふりかえる。ふりかえれば、それがあると確信している。
道なんてものがあると、ある分だけ次もあるものと思うから始末がわるい。雑草並みなら、それもいい。勝手気儘な種なら、それもいい。
そのときは、ひとだったことも忘れているはずだ。
いつか見た沙げし花たちは、いまもあるだろうか。死んでいるだろうか。
わたしが帰るころには、もういないかもしれない。