琥珀の水
泥水と夕焼けは似ていた。
おしまいの色だ。
あとは澄んでゆくばかり。
或日に泥を掻いていた。
書くばかりが脳じゃないと、脳は云った。
言葉にも濁りがある。
それは、脳が創り出した原風景と知る。
皆が原始を魅せてくれた。
ありがとう。
恩婆の、言葉の意味を夕焼けに暮れながら噛みしめる。
この梅酒は、この子たちで終わりなんだわ。
ごめんね。そう言って愛しく瓶を撫でた
あの日の恩婆は、もういない。
わたしが伝えるものは何だろう。
まだ、なにも得ていない。
ふとみれば、
泥まみれの手の甲に恩婆がいた。はじめて泣いた。
まだまだ、甘ったれの手だった。
恩婆の手をもっと、握ってやればよかった。