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「新型コロナワクチンで回避できた感染・入院・死亡をカリフォルニア州で推定」

TONOZUKAです。


新型コロナワクチンで回避できた感染・入院・死亡をカリフォルニア州で推定

以下引用

米国California大学San Francisco校のSophia T. Tan氏らは、新型コロナワクチン接種により回避されたSARS-CoV-2感染、COVID-19による入院および死亡の件数を推定するためにモデルを用いた分析を行い、カリフォルニア州の感染者数の相対減少率を約72%と推定した。結果は2022年4月22日のJAMA Network Open誌電子版に掲載された。

 著者らは、California Department of public Health(CDPH)から、2020年1月1日から2021年10月16日までの、SARS-CoV-2感染者(症候性の患者と無症候性の感染者を含む)、COVID-19により入院した患者、COVID-19による死者に関する患者レベルのデータと、公開されているSARS-CoV-2ワクチン接種者に関する情報を調べた。2つの統計学的モデルを用いて、ワクチン接種が始まった2020年11月29日から2021年10月6日までの期間に、接種が行われていなければ発生したであろうSARS-CoV-2感染者数を推定した。

 まず、2021年10月6日までワクチン接種対象外であり続けた12歳未満の小児の1週間当たりの感染者数(対数変換値)に対する、ワクチン接種が開始される前6カ月間の、12歳以上の4群(12~17歳、18~49歳、50~64歳、65歳以上)の1週間当たりの感染者数(対数変換値)の比を推定した。続いて、ワクチン接種が開始されから10カ月間の、12歳未満の小児の感染者数に基づいて、ワクチン接種が行われなかった場合の4年齢群の感染者数を推定し、実際の感染者数と比較して、差をワクチンにより回避された感染者数とした。

 ワクチンにより回避された入院患者数と死者数は、ワクチンにより回避された感染者数に対して、入院リスクと死亡リスクを用いて推定した。

 2つ目のモデルでは、ワクチン効果に関する公表データとワクチン接種時期(2020年11月29日~2021年10月16日)のCOVID-19の推定リスクを用いて、ワクチン接種による直接的な防御により回避されたCOVID-19症例数を推計した。まず、2020年1月1日から4つのワクチン対象集団(12~17歳、18~49歳、50~64歳、65歳以上)それぞれについて、州レベルのCOVID-19患者の週間発生率(感受性者10万人当たりの全患者数と定義)を推計した。自然免疫とワクチン接種の両方に基づいて、年齢層別に経時的に感染しやすい人口の割合を推定した。自然感染についてはCOVID-19の症例報告データを用い、公表されている年齢別の臨床的割合の推定値を用いて、総感染者数(不顕性感染を含む)を推定した。自然感染により完全な免疫が得られるという単純化した仮定をしたが、感度解析ではこれを変化させた。

 COVID-19発症者の臨床アウトカムは、医療従事者の臨床経験とCOVID-19治療法の進歩の影響を受けるため、月ごとに年代別(18~49歳、50~64歳、65歳以上)の特入院と死亡のリスクを推定した。

 主要評価項目は、ワクチン接種により回避されたと見なされるSARS-CoV-2感染者数、入院患者数、死者数に設定した。
 2020年1月1日から2021年10月16日までのSARS-CoV-2感染者数は458万8146人で、年齢の記載がなかった人を除く458万5428人を分析対象とした。うち、327万6260人が2020年11月28日以降に報告されていた。全感染者のうち、24万718人が入院しており、7万406人が死亡していた。

 12歳以上でワクチン接種対象としての条件を満たした人の79.5%に相当する2716万4680人が、1回以上接種を受けていた。56%にBNT162b2、36%にmRNA-1273、7%にAd26.COV2.5ワクチンが接種されていた。

最初のモデルは、ワクチン接種により152万3500人(95%予測区間97万6800-223万800人)がSARS-CoV-2感染を免れており、感染リスクの相対減少率は72%(53-91)だったことを示唆した。年齢群ごとのワクチン接種機会を考慮すると、感染リスクの相対減少率は86%(81-92%)になった。年代別に相対減少率を推定すると、12~17歳は57%、18~49歳は83%、50~64歳は66%、65歳以上は49%になった。また、18歳以上の7万2930人(5万3250-9万9160人)の入院と、1万9430人(1万4840-2万6230)の死亡が回避されたことが示唆された。

 2番目のモデルを用いた推定の結果もおおよそ同様だった。ワクチン接種によりSARS-CoV-2感染を免れた人は140万2100人(95%不確実性区間119万2100-161万5600人)で、感染リスクの相対減少率は68%(61-75%)であり、年齢群ごとのワクチン接種機会を考慮すると93%(86-99%)と推定された。年代別に相対減少率を推定すると、12~17歳は97%、18~49歳は71%、50~64歳は68%、65歳以上は61%になった。また、ワクチン接種により、18歳以上の8万4330人(7万1760-9万7510人)が入院を、2万2620人(1万9280-2万6190人)が死亡を回避できたと推定された。

 感度解析も行ったが、入院数や死亡数は同様の結果だった。

 これらの結果から著者らは、米国において、新型コロナワクチンは公衆衛生上の大きな利益をもたらしており、ワクチン接種の継続が重要だと結論している。この研究はカリフォルニア州政府の支援を受けている。

 原題は「COVID-19 Vaccination and Estimated Public Health Impact in California」、概要はJAMA Network Open誌のウェブサイトで閲覧できる。

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