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「Ad26.COV2.Sのブースター接種にはmRNAワクチンが有望」

TONOZUKAです。


Ad26.COV2.Sのブースター接種にはmRNAワクチンが有望

以下引用

オランダErasmus University RotterdamのRoos S.G. Sablerolles氏らは、Janssen社の単回接種用新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンAd26.COV2.Sを接種してから3カ月経過した医療従事者を対象に、同じワクチンを追加接種した場合と、Moderna社またはPfizer/BioNTech社のワクチンを追加接種した場合の有効性を検討するランダム化比較試験を行い、mRNAワクチンを追加接種に用いた方が、抗スパイク蛋白質IgG抗体価、中和抗体価、スパイク蛋白質特異的なT細胞応答が有意に高かったと報告した。結果は2022年1月19日のNEJM誌電子版に掲載された。

 Ad26.COV2.Sの臨床試験では、単回接種でも液性免疫と細胞性免疫を誘導し、効果は8カ月後まで持続することが示されている。しかし、mRNAワクチンと比較すると、接種後に誘導されるスパイク蛋白質に対する抗体価は低かった。欧州で使用されている4種類のワクチンのうち、AstraZeneca社のChAdOx1 nCoV-19接種者に、BNT162b2を追加接種すると、同じワクチンの追加接種よりも免疫誘導効果が高いことが報告されているが、Ad26.COV2.Sでも同様の結果が得られるかは確認されていなかった。そこで著者らは、Ad26.COV2.Sの単回接種を受けた人を対象に、同じワクチンの追加接種と、mRNAワクチンの追加接種を比較する臨床試験を計画した。

 対象は、オランダの大学病院に勤務する18~65歳の医療従事者で、Ad26.COV2.Sの単回接種を受けてから3カ月経過した人。既にSARS-CoV-2感染歴がある人、癌治療を受けている人、免疫抑制状態の人などは除外した。条件を満たした参加者は、1対1対1対1の割合で、追加接種なし、Ad26.COV2.Sを再接種、mRNA-1273を追加接種、BNT162b2を追加接種にランダムに割り付けた。血液標本の採血は0日目と28日目に実施した。接種から7日間は有害事象を記録するよう参加者に依頼した。

 主要評価項目は、28日時点のスパイク蛋白質に対するIgG抗体価に設定した。副次評価項目は、SARS-CoV-2 D614G変異株を用いたプラーク減少法(PRNT)により評価した中和抗体価と、インターフェロンγ放出試験により評価したスパイク蛋白質特異的T細胞応答とし、各群の半数程度の患者を対象に評価した。

 697人の医療従事者をスクリーニングして、条件を満たした461人がランダム割り付けに参加した。割り付け後に過去の感染が判明した人などを除いて、434人をper-protocol分析の対象とした。内訳は、追加接種なし群105人、Ad26.COV2.S群106人、mRNA-1273群112人、BNT162b2群111人だった。初回接種から追加接種までの日数の中央値は94日(四分位範囲86~98日)だった。4群の参加者の、ベースラインのIgG抗体価、中和抗体価、スパイク蛋白質特異的T細胞応答に差はなかった。

 主要評価項目のIgG抗体価は、追加接種なし群に比べると、どのワクチン群も有意に上昇していた。Ad26.COV2.S群と比較すると、mRNA-1273群とBNT162b2群の抗体価は有意に高かった(いずれもP<0.001)。幾何平均抗体価はベースラインに比べ、追加接種なし群が0.97倍、Ad26.COV2.S群では3.32倍になっていたのに対して、mRNA-1273群は41.86倍、BNT162b2群は20.54倍まで増加していた。

 中和抗体価の評価は、計213人(追加接種なし群54人、Ad26.COV2.S群51人、mRNA-1273群54人、BNT162b254人群)を対象に行った。28日後の時点で、追加なし群に比べるとどのワクチン群も中和抗体価は有意に上昇していた。やはり、Ad26.COV2.S群と比較すると、mRNA-1273群とBNT162b2群の抗体価は有意に高かった(いずれもP<0.001)。PRNT50の幾何平均抗体価は、追加接種なし群が1.13倍、Ad26.COV2.S群が4.75倍になっていたのに対して、mRNA-1273群では41.14倍、BNT162b2群では23.98倍まで上昇していた。

 インターフェロンγ放出試験による評価でも、追加接種によるT細胞応答の有意な上昇が見られた。追加なし群と比較したAd26.COV2.S群(P=0.01)、Ad26.COV2.S群と比較したmRNA-1273群(P=0.006)、Ad26.COV2.S群と比較したBNT162b2群(P=0.02)の差は有意だった。

 接種後7日間の局所と全身の反応の頻度が最も高かったのはmRNA-1273群で、持続期間も長かった。しかし、全ての有害事象は軽症から中等症で、入院を要した患者はおらず、症状は一般に48時間以内に消失していた。

 これらの結果から著者らは、Ad26.COV2.Sの接種歴がある医療従事者に対するブースター接種の安全性は許容範囲内で、追加接種による抗体価の増強が見られたと結論している。どのワクチンを使用してもブースター接種の利益は期待できるが、効果が最も大きい組み合わせはmRNA-1273の追加であることが示唆された。この研究はNetherlands Organization for Health Research and Developmentの支援を受けている。

 原題は「Immunogenicity and Reactogenicity of Vaccine Boosters after Ad26.COV2.S Priming」、概要はNEJM誌のウェブサイトで閲覧できる。




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