「医療従事者で確認した新型コロナワクチンの効果」
2021/05/14
TONOZUKAです。
医療従事者で確認した新型コロナワクチンの効果
以下引用
医療従事者に対するModerna社やPfizer社のSARS-CoV-2ワクチン接種により、ワクチン接種前に比べ医療施設内のSARS-CoV-2新規陽性者やCOVID-19発症者が大幅に減少したという報告が、米国とイスラエルの大学病院から3件寄せられ、いずれも2021年3月23日のNEJM誌電子版で公開された。
1件目は、米国UC San Diego HealthのJocelyn Keehner氏らの報告だ。California大学San Diego校(UCSD)と同Los Angeles校(UCLA)の医療従事者への接種は、2020年12月16日に始まった。また、UCSDは12月2日から、UCLAは12月26日から、無症候の医療従事者に対するPCR検査を開始していた。研究者たちは今回、両大学の医療従事者のデータをプールし、ワクチンの効果を分析した。
2020年12月16日から2021年2月9日までに、3万6659人の医療従事者が初回のワクチン接種を受け、このうち77%が2回目の接種も受けていた。医療従事者のうち379人が接種の翌日以降にSARS-CoV-2陽性と判定されていた。それらの71%は、初回接種から2週間以内に陽性判定を受けていた。再接種後には、37人がPCR検査で陽性となった。うち22人は再接種後7日以内に、8人は再接種後8日から14日の期間に、7人は再接種後15日目以降に、PCR陽性になっていた。
2月9日の時点で、再接種から2週間以上経過していた医療従事者はUCSDの5455人とUCLAの9535人だったため、再接種から2週間を経た人のSARS-CoV-2陽性率は1万4990人中7人(0.05%)と推定された。これは接種開始第1週の3万5673人中145人(0.40%)に比べると大きく減少している。
原題は「SARS-CoV-2 Infection after Vaccination in Health Care Workers in California」、全文がNEJM誌のウェブサイトで閲覧できる。
2件目は、Texas大学Southwestern Medical Center(UTSW)の医療従事者を対象とする分析結果で、同大学のWilliam Daniel氏らがNEJM誌に報告した。UTSWは、最前線で働く医療従事者に対するmRNAワクチン接種プログラムを2020年12月15日に開始した。それから2021年1月28日までの期間に、2万3234人中6144人がワクチンの接種を1回だけ受けており、8121人は2回の接種を完了していた。
この間に従業員全体では、350人(1.5%)がSARS-CoV-2に感染していた。このうち234人がワクチン非接種者(8969人中の2.61%:95%信頼区間2.29-2.96%)で、112人が単回接種者(6144人中の1.82%:1.50-2.19%)、4人は2回接種完了者(8121人中0.05%:0.01-0.13%)だった。
2021年1月9日以降は、UTSW雇用者のSARS-CoV-2陽性件数が、同じ期間に同大学の救急部門を受診したSARS-CoV-2陽性患者の数に基づく予測値に比べ、一貫して低くなっていた。接種の影響は劇的で、自己隔離が必要となる医療従事者の数は9割超減少し、スタッフの不足を懸念する必要はなくなった。
原題は「Early Evidence of the Effect of SARS-CoV-2 Vaccine at One Medical Center」、全文がNEJM誌のウェブサイトで閲覧できる。
3件目は、イスラエルHadassah Hebrew大学医療センター(HHUMC)のShmuel Benenson氏らによる報告だ。イスラエルでも、SARS-CoV-2 ワクチンの利用が可能になった時点で、医療従事者に対する優先的な接種が行われた。著者らは、エルサレムにあるHHUMCの医療従事者6680人を対象として、ワクチンの効果を検討した。
HHUMCは、全てのスタッフを対象とする定期的なSARS-CoV-2検査を行ってきた。2021年1月31日までの期間に、6680人のうち689人(10.3%)がSARS-CoV-2に感染していた。それらのほとんどが、院内ではなく地域でSARS-CoV-2に暴露しており、医療従事者の発症率の傾向は、エルサレム住民と同様だった。
Pfizer社製ワクチンの接種は2020年12月20日に始まった。その日までにSARS-CoV-2感染歴がなかった6252人中5297人(84.7%)が、それから8週のうちに接種を受けた。初回接種から21日後まで、SARS-CoV-2に感染してなかった医療従事者の98.9%が再接種を受けていた。
医療従事者の接種状況とSARS-CoV-2感染動向を調べたところ、接種者では初回接種後2週目から、週当たりのCOVID-19の発症率は低下し続けていた。2週目の発症率は1000人当たり9.0人だったが、3週目は5.6人、4週目は2.1人、5週目は0.6人となり、それ以降も低い値に維持されていた。調査対象となった期間には、英国由来の変異株の感染が急増し、感染者全体の8割を超えるようになっていたが、ワクチンは医療従事者の感染リスクを低く抑え続けた。
原題は「BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine Effectiveness among Health Care Workers」、全文がNEJM誌のウェブサイトで閲覧できる。
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