「入院患者と外来患者でCOVID-19の後遺症に違いはあるか?」 3 KINGSTONE_PROJECT 2022年6月11日 08:00 TONOZUKAです。入院患者と外来患者でCOVID-19の後遺症に違いはあるか? 入院患者と外来患者でCOVID-19の後遺症に違いはあるか? 英国ImperialCollegeLondonのHannahRWhittaker氏らは、イングランドのCOVID-19入院 medical.nikkeibp.co.jp 以下引用英国Imperial College LondonのHannah R Whittaker氏らは、イングランドの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者と入院せずに済んだ患者を最長で9.2カ月追跡し、後遺症に違いがあるかを調べるために、回復後の一般開業医(GP)受診情報を調べ、入院した患者の方が後遺症による受診率が高く、多くの症状や疾患は経時的に軽快化するが、不安や抑うつは持続する傾向を示したと報告した。結果は2021年12月29日のBMJ誌電子版に掲載された。 COVID-19を発症した患者は、急性期の症状が治まった後に、さまざまな後遺症に悩まされる可能性がある。これまで、後遺症に関する研究は主に、COVID-19で入院した患者を対象にしていたが、COVID-19を発症した患者のおおよそ8割は軽症だ。そこで著者らは、入院せずに済んだ患者も含めて、COVID-19後の患者に現れる多様な症状や疾患について分析するために、イングランドで住民ベースのコホート研究を計画した。 比較のための対照群として、パンデミック期間のCOVID-19ではない患者の受診動向や、パンデミック前のインフルエンザ患者の受診動向についても調べることにした。また、COVID-19による後遺症は、ワクチンを受ける前に感染した患者と、ワクチン接種後に感染した患者で違いが見られるかも検討することにした。 使用したのは、英国のプライマリ・ケア診療データを匿名化しているClinical Practice Research Datalink(CPRD)Aurumデータベースで、症状、診断、処方、検査結果、ワクチン接種、GP受診、専門医への紹介、入院などの記録があり、イングランドの人口の約23%をカバーしている。 まず入院の有無による違いを比較するため、2つののCOVID-19患者コホートを作成した。対象は、2020年8月1日から2021年2月14日までに検査陽性でCOVID-19と診断された18歳以上の患者。診断を受けた日をindex dateとし、この日から2週間以内に入院記録があった患者を入院コホートに組み入れ、入院していなかった患者を地域コホートに組み入れた。後遺症を調べるための追跡は、終了予定日(2021年5月9日)、患者の移住、死亡、COVID-19ワクチン接種のいずれかまでとした。 比較のための陰性コホートは、2020年8月1日から2021年2月14日までに、COVID-19を疑う症状があったか、COVID-19患者の接触者になったためにGPを受診したが、検査結果は陰性だった人を組み入れた。GPの受診日をindex dateとし、それ以前にCOVID-19の診断を受けたことがある患者は除外した。また、COVID-19による後遺症の特徴を比較するために、インフルエンザコホートも設けた。こちらは対象期間(2020年8月1日から2021年2月14日)よりも前にインフルエンザの診断を受けたが、入院はしなかった患者を対象にした。 さらにCOVID-19の後遺症とワクチン接種の関係を検討するために、ワクチンコホートも設けた。こちらは、既にCOVID-19の診断を受けたことがあるが、入院はしなかった患者が対象で、英国で使用された3種類のワクチン(Pfizer-BioNTech社、Moderna社、AstraZeneca社)の初回接種を受けた日をindex dateとし、他のコホートの同様に後遺症イベントを追跡した。追跡期間中に評価した症状は、息切れ、咳、胸部圧迫感、胸痛、動悸、腹痛、食欲不振、吐き気、下痢、関節痛、筋痛、皮疹、頭痛、ふらつき、不眠、認知機能障害、せん妄、感覚障害、耳鳴り、耳痛、咽頭痛、味覚や嗅覚異常、疲労、発熱、疼痛とした。感染症以外の各種疾患も評価し、GPによる薬剤の処方(気管支拡張薬や吸入ステロイド、アセトアミノフェン、NSAIDs、オピオイド、神経因性疼痛治療薬など)、医療の利用状況(GP受診、救急受診、入院、外来予約など)も調べた。このうち、COVID-19の診断から4週後以降にあらたに報告された症状や疾患を後遺症と考え、COVID-19発症前の1カ月間に既に存在したものは後遺症の分析から除外した。 PCRDのデータでは、2020年8月~2021年2月に45万6002人がCOVID-19と診断されていた。このうち1万8059人を入院コホートに、43万7943人を地域コホートに組み入れた。患者の地域分布は、ロンドン市とイングランド南東部が31.9%、北西部が22.1%、ウエストミッドランド州が16.6%などだった。 年齢の中央値は、入院コホートが61歳(四分位範囲48~76歳)、地域コホートが43歳(30~55歳)で、男性患者の割合は50.6%と44.4%、肥満や過体重の割合は63.2%と43.3%、過去と現在喫煙者の割合は86.0%と63.8%で、入院コホートの方が危険因子を持つ患者の割合が高かった。 入院コホートの1万8059人の患者を中央値2.2カ月間(四分位範囲1.3~3.5カ月)追跡した。COVID-19診断から4週間以上経過して新たに報告された症状として多かったのが、息切れ2.8%、関節痛2.7%、咳1.4%などだった。COVID-19感染前の1年間と比較して、感染後のGP受診時に頻度が高かった症状は、吐き気(調整ハザード比4.64:95%信頼区間2.34-9.21)、せん妄(3.24:1.77-5.94)、動悸(2.55:1.61-4.05)、疲労感(2.52:1.81-3.51)、不眠(2.17:1.36-3.49)などだった。 同様に入院コホート患者の疾患の中で、COVID-19感染前の1年間と比較して感染後の受診時に頻度が高くなったものは、静脈血栓塞栓症(調整ハザード比16.21:95%信頼区間11.28-23.31)だった。他にも腎不全(3.42:2.67-4.38)、心不全(3.02:2.07-4.42)、肝疾患(2.71:1.92-3.83)、脳卒中(2.49:1.73-3.59)などのリスクが増加していた。 COVID-19診断から4週間以上後になって新たに処方された薬で多かったのは、オピオイド系2.2%、アセトアミノフェン1.8%、NSAIDs1.6%などだった。中でもCOVID-19感染前の1年間と比較して処方頻度が増えていたのがアセトアミノフェンで、調整ハザード比3.68:2.86-4.74だった。利尿薬(1.93:1.19-3.14)、NSAIDs(1.65:1.34-2.04)、オピオイド系(1.57:1.32-1.87)なども増えていた。 一方、地域コホートでは43万7943人を中央値3.5カ月間(四分位範囲2.0~4.4カ月)追跡した。4週間以上経過してから新たに発症した症状で多かったのが、関節痛2.5%、腹痛0.9%、頭痛0.8%などだった。感染前の1年間に比べて最も受診リスクが増加していたのは、味覚や嗅覚の障害(調整ハザード比5.28:95%信頼区間3.89-7.17)だった。筋痛(1.89:1.63-2.20)、疲労(1.64:1.53-1.76)、不眠(1.50:1.33-1.69)、動悸(1.42:1.27-1.59)なども増えていた。地域コホートの患者で、4週間以上経過してから新たに発症した疾患では、不安症1.2%、抑うつ0.9%、喘息0.7%などが多かった。感染前の1年間と比較して感染後に受診リスクが増えていた疾患は、静脈血栓塞栓症(3.35:2.87-3.91)、肺線維症(2.41:1.37-4.25)、腎不全(1.33:1.17-1.52)、糖尿病(1.13:1.06-1.21)などだった。薬では強力なオピオイドの処方(1.18:1.07-1.31)や神経因性疼痛薬(1.15:1.08-1.23)が増えていた。気管支拡張薬や吸入ステロイドは、感染前の1年間に比べ、むしろ処方機会が減っていた。 陰性コホートには3万8511人、インフルエンザコホートには2万1803人を組み入れた。陰性コホートやインフルエンザコホートに比べ、地域コホートの患者に有意に多かった症状は、味覚や嗅覚の障害、動悸、息切れ、耳鳴り、感覚障害、胸痛、筋痛などで、多く見られた疾患は肺線維症、静脈血栓塞栓症、腎不全だった。 次にワクチンコホートで、ワクチン接種前後の後遺症の変化を検討した。地域コホートの43万7943人のうち、26万7993人がCOVID-19診断後にワクチンの接種を受けていた。このうち1万9151人が、ワクチン接種前にCOVID-19の後遺症について報告していた。ワクチン接種前後の比較で割合が減少していた後遺症は、胸部圧迫感(調整発症率比0.15:95%信頼区間0.07-0.36)、食欲不振(0.32:0.16-0.64)、味覚や嗅覚の障害(0.32:0.17-0.58)、耳鳴り(0.39:0.25-0.59)、胸痛(0.40:0.33-0.48)などだった。加えて、接種後には虚血性心疾患(0.41:0.27-0.63)、喘息(0.63:0.49-0.82)、胃食道逆流症(0.68:0.51-0.89)によるGP受診率も減少していた。薬では強力なオピオイドとアセトアミノフェンを除く薬剤の処方機会が減少していた。 これらの結果から著者らは、GP受診率から調べたCOVID-19感染の後遺症は、入院患者と入院しなかった患者で異なり、後遺症の一部はワクチン接種後に減少していたと結論している。著者らは、COVID-19後の患者に対するケアの質を高めるためには、現れる可能性のある症状や疾患に対する理解を深めることが重要だと指摘している。この研究は英国National Institute for Health Researchなどの支援を受けている。 原題は「GP consultation rates for sequelae after acute covid-19 in patients managed in the community or hospital in the UK: population based study」、概要はBMJ誌のウェブサイトで閲覧できる。 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! 宜しければサポートお願い致します。いただいたサポートはポータルサイトの運営費用として大事に使わせていただきます。 https://music-online.kingstone-project.jp/ チップで応援する #新型コロナウイルス #コロナ #ワクチン #コロナに負けるな #コロナ禍 #新型コロナワクチン #コロナウイルス #ワクチン接種 #新型コロナウィルス #コロナワクチン #オミクロン株 #コロナワクチン副反応 #コロナウィルス #オミクロン #オミクロン変異株 #新型コロナウィルス感染予防 #オミクロンによる規制の強化 3